エルミタ的業界インタビュー「オピニオン」 Vol.12

今年もやってきた。SilverStoneに聞く、2012-2013の新戦力と展望。

2012.10.16 更新

文：GDM編集部 Tawashi/絵踏一

CPUクーラー Mini-ITX PCケース RAVEN SilverStone 対談水冷静音

Tony氏：
　「Raven RV04」と「Fortress FT04」はともに、冷却は基本的に2基の「Air Penetrator fan AP181」で行うこととなります。リアには120mm口径のファンが取り付け可能となっていますが、普通に使用する場合は装着しない方が良いですね。
編集部：
　そうなんですか？　どうしてでしょうか。

リアには120mm口径ファンが不要とすることを示す資料。PCの熱源はグラフィックスカードとCPUということで、均等なエアフローで排熱する仕組みが記載されている

Tony氏：
　120mmファンをリアに取り付けてしまうと、この資料のように上下でバランスの取れていたエアフローが乱れ、ケース下方向に集中することとなります。フロント吸気のみで内部正圧状態を作り出すのがコンセプトである以上、これはよろしくありません。

開発中の計測テストデータ資料の一部。「Raven RV04」と「Fortress FT04」、「Fortress FT02」などを使って実に様々な環境でテストを行う様子が見て取れる。細かいデータを計測し、製品開発は進められていく

編集部：
　ではなぜオプションとはいえ取り付け可能になっているのですか？
Tony氏：
　1つはユーザーさんによってはどうしてもCPUクーラーを重点的に冷却したいという方がいます。オーバークロックの際など、グラフィックスカードの冷却よりもCPUクーラーの冷却を優先したい場合です。
　もう1つは近年流行している簡易水冷キットのラジエータ用となります。多くのモデルが120mm口径タイプですので、搭載スペースを用意しておく必要は感じました。
編集部：
　もう1点気になるところがあります。COMPUTEX TAIPEI 2012でも見せていただいた、あの新型フィルター。今回「Raven RV04」と「Fortress FT04」のどちらにも採用されていますね。
Tony氏：
　ええ。これはSilverStoneが長い期間にわたり開発してきた自信作です。実際に試していただくのが一番なのですが、ナイロン製の非常に柔らかい素材を目の細かい独特な形状で編み込むことで空気の通過率を従来の約60％から約90％まで引き上げることに成功しました。これにより以前にも増してフロントからフレッシュなエアを効率よく取り込み、強力なエアフローを発生させることができます。

今回の目玉機能のひとつである新型フィルター。今後発売される多くの製品で採用されていくという

編集部：
　なにか手触りはストッキングのような印象ですね。かなり繊細そうですが、ホコリ掃除などはどうすればよいのでしょうか。
Tony氏：
　ナイロン製ですので水洗いしていただいてOKです。その際はなるべく柔らかいブラシを使うか手洗いでお願いします。また乾燥させる際はドライヤーなど使わず自然乾燥で。あまり熱には強くないですから。このあたりの取り扱いについてはマニュアルにしっかりと記載する予定です。
編集部：
　興味深いフィルターですね。是非、単体でも販売してほしいところです。
Tony氏：
　前向きに検討します。

新型フィルターの拡大画像。非常に複雑な編み込みが施されているのがお分かりだろう。試しに息を吹きかけてみれば、従来のフィルターとの違いが驚くほどハッキリと分かる