2012.11.29 20:09 更新
2012.11.29 取材
OCZ Technology(本社:アメリカ カリフォルニア州)は2012年11月29日、国内正規代理店株式会社アスク(本社:東京都千代田区)本社において、同社の新型フラグシップSSD「Vector」シリーズのメディア向け製品説明会を開催。「Vector」シリーズの特徴とその優位性について“Johnny Preston”氏による解説が行われた。
エルミタではおなじみのJohnny Preston氏。記者からの質問に時折日本語を交えながら答えていた | 会場の一角には「Vector」シリーズと共に同社のハイエンド向けSSD「Vertex 4」と「RevoDrive 3X」が展示 |
OCZ製SSDの採用コントローラの遷移。2009年の「Vertex」シリーズ以来、久しぶりにIndilinxコントローラを採用する | 「Barefoot 3」コントローラのスペック。TSMC 65nmプロセスで製造され、8チャンネルの同時アクセスをサポートする |
「Vector」シリーズを語る上で外せないのが100%自社開発となる新型コントローラ「Barefoot 3」の存在だ。実際にはOCZが買収したIndilixがファームウェア部の設計を、PLX Technologyの開発チームがハードウェア部をそれぞれ担当している。ちなみにプロセッサには、デュアルコアのARM Cortex 9が採用され、その内1つをフラッシュマネジメント専用の「OCZ Argon Co-Proseccor」とすることで、Write Amplification削減、ECCコレクション処理の高速化などを実現している。
「Vector」シリーズの基板構成。NANDフラッシュはIMFT製25nmプロセスで、キャッシュには動作クロック1,600MHzのMicron製が搭載されていた |
「Barefoot 3」に組み合わされるNANDフラッシュは、IMFT製25nmプロセスのSynchronous MLC NANDフラッシュ。最近では20nmやそれ以下の世代を採用する製品も増えているが、OCZではパフォーマンスと安定性を考え25nm世代の製品をチョイス。ちなみにToggle NANDを使用したハイエンドモデルやAsyncronous NANDを使用した廉価モデルについて質問してみたが、現在のところ予定はないとのこと。またキャッシュメモリは動作クロック1,600MHzのDDR3メモリで、128GBと256GBモデルは512MB、512GBモデルは合計1GBを搭載する。
主なスペックはシーケンシャル読込550MB/sec、書込530MB/sec(128GBモデルは400MB/sec)、ランダム読込100,000 IOPS(128GBモデルは90,000 IOPS)、書込95,000 IOPSで、特にランダム性能では他社の競合製品を上回るパフォーマンスを実現している。
エラーチェックコレクションや独自NANDフラッシュマネジメント機能で高い耐久性を実現 | 独自ガーベッジコレクション機能を搭載し、長期使用時でもパフォーマンスが低下することなく利用可能 |
また「Vector」シリーズでは、データ非圧縮によるLow Write Amplification削減や独自NANDフラッシュマネジメント機能により耐久性が向上。1日当たり20GBのホスト書込が発生する条件でも5年間の安定利用を可能にした。ちなみに一般的なユーザーが1日あたりに行うホスト書込は10GBということで、かなり余裕を持った設定となっている。
さらにガーベッジコレクションを最適化したことで、長期使用や大量データの書き込み後でもパフォーマンスが低下することなく一定の性能を維持することができる。
100%フルにデータが書き込まれた状態でも8,000 IOPSのハイアベレージを維持できる |
テストセッションで使用されたデモ機。Intel Z77 ExpressのオンボードRAIDを使ってRAID 0環境が構築されていた |
セッション後半では、実際に「Vector」シリーズの256GBモデルを2台使用したRAID 0環境のパフォーマンステストも行われた。シーケンシャルアクセスだけでなくランダムアクセスも大幅に向上しており、単体からほぼ2倍の性能を実現していたのが非常に印象的だった。
シングル時(左)とRAID 0(右)を比較するとASSSDでは、4K読込以外すべてのパフォーマンスが向上しており、総合スコアもほぼ2倍までアップしている |
SSDの新勢力として非常に期待がかかる「Vector」シリーズだが、明日30日から国内発売開始される。ちなみにエルミタ編集部ではすでにサンプルを借り受けテストを開始しており、近日中に詳細レビューをお届けする予定だ。こちらもぜひ楽しみにしていて欲しい。
文: GDM編集部 池西 樹
OCZ Technology: http://www.ocztechnology.com/
株式会社アスク: http://www.ask-corp.jp/