2012.12.08 22:51 更新
2012.12.08 取材
日本AMD株式会社(本社:東京都新宿区)は2012年12月8日(土)、アキバナビスペース1F(東京都千代田区外神田3-1-8)において、液体窒素を使用した極冷オーバークロックイベント「AMD OVERCLOCK CHALLENGE 2012」を開催した。今回はその熱い様子をレポートしていくことにしよう。
フィンランドから来日した“Sami Makinen”氏は「FX-8350」のオーバークロックを担当。ベンチマークの合間にはユーザーの質問や握手に答えるナイスガイだ | 同じくフィンランドから来日した“Roger Tolppola”氏。こちらは「A10-5800K」のオーバークロックを担当した |
日本AMD主催で行われた今回のイベントの目玉はなんといっても、フィンランドから来日した著名オーバークロッカー“Sami Makinen”氏と相棒の“Roger Tolppola”氏によるオーバークロックセッションだ。なんと100リットルの液体窒素を用意し、13:00の開場から18:00の閉場まで、「FX-8350」と「A10-5800K」のロングランオーバークロックに挑戦した。
“Sami Makinen”氏によると、AMDのプロセッサは温度の細かい調整が不要なため極冷が行いやすいとのこと。デモンストレーション中も温度計を気にすることはあまりなく、升の液体窒素が減ると補充するといった流れだった |
イベントは寒空のオープンスペースで行われ、空気も程よく乾燥している好条件も重なり、開始1時間ほどで「A10-5800K」は世界記録7938.14MHzを達成。「FX-8350」も8392.20MHzの高記録を残した。ちなみにAMDは当初、液体窒素(沸点-195.8℃)よりさらに冷却性能が高い液体ヘリウム(沸点-268.93℃)を用意する予定だったが、入手性が非常に悪く今回は断念したとのこと。液体ヘリウムが用意できていれば、さらにこの記録は伸びていたかもしれない。
オーバークロック開始から1時間ほどで「A10-5800K」は世界記録7938.14MHzを達成 | 「FX-8350」も8392.20MHzの高スコアを記録 |
「FX-8350」では、CINEBENCH R11.5も7206.30MHzで完走。8コア16スレッドのXeonを上回るスコアを計測した |
ベンチマークと並行して行われたトークセッションでは、AMDを始めマザーボードメーカー各社(ASRock、ASUSTeK、GIGABYTE、MSI)が空冷かつ650W電源ユニットという制限の中で組み立てたPCを持ち込んで、初心者向けのチューニング手法を解説。安全かつ安価にパフォーマンスが向上できることをアピールしていた。ここではその様子を画像にて説明していこう。
マザーボードメーカーに先駆けて行われたAMDのトークセッションでは、代理店事業部マーケティングスペシャリスト井戸田氏が登場 | イベントを実施していながらと断りを入れつつも“オーバークロックは自己責任で”と釘を指すのも忘れない |
ASRockのトークセッションに登場したのは、国内正規代理店マスタードシード株式会社マーケティング担当高橋氏 | 同社のフラグシップマザーボード「990FX Professional」を採用したオリジナルPC |
ASRock製ハイエンドマザーボードの特徴をスライドとUEFIを交互に使って詳しく解説 |
日本ギガバイト株式会社営業部岩政氏(左)。GIGABYTE製マザーボードでは、発熱を減らした2オンス銅箔層PCBやノイズの少ないICチップにより高いオーバークロック耐性を実現していることをアピール |
セッション後半には「GA-990FXA-UD3」を搭載したPCとEasyTune6を使い5,400MHzのオーバークロックを実施 |
ASUSTeK日本市場担当広報岩崎氏(右)は、台所のスチール製網棚をケース代わりにしたユニークなオリジナルPCを持参。折りたたみも可能で持ち運びがコンパクトに行えるとのこと |
ASUSTeK製マザーボードでは、電力管理チップ「EPU」とオーバークロックチップ「TPU」を実装しており、UEFI上でONにすることでパフォーマンスの向上とアイドル時の消費電力を削減できる |
エムエスアイコンピュータージャパン三好氏は、明らかに他社と違う気合の入ったPCを携えて登場。ちなみにグラフィックスカードにはフラグシップモデルR7970 Lightningを搭載 |
なんと国内有数のオーバークロックチーム「Team KATANA」のメンバーGyrock氏をゲストに呼び、本格的なグラフィックスカードのブッカケオーバークロックを実施 | 途中電圧調整にやや苦戦しながらも3DMark 11を無事完走。余興としてこの後CPUの極冷にも挑戦していた |
オーバークロックでは珍しくAMDプロセッサを使用したイベントということで客足は上々だった。最近ではやや元気の無いAMDだが、今後も同様のイベントを開催してぜひ自作PCを盛り上げていって欲しい。
文: GDM編集部 池西 樹
日本AMD株式会社: http://www.amd.com/jp/