2013.06.05 00:00 更新
2013.06.04 取材
Cooler Master(本社:台湾)はCOMPUTEX TAIPEI 2013のブースにおいて、看板モデルとなるミドルタワーPCケース「CM 690 II」の後継モデル「CM 690 III」を公開した。デビューは今秋の予定で外観は小幅な変更ながら、細部に改良が加えられていた。
注目のCooler Masterブースから、まずは同社の大看板を背負うミドルタワーPCケース「CM 690」シリーズの最新モデル「CM 690 III」をご紹介しよう。
「CM 690」シリーズといえば、2007年10月に初代モデルがデビュー。「CM 690 II」やそのバリエーションモデル等、多くのモデルを”CM 690ファミリー”に加えつつ、いよいよ今秋「CM 690 III」が投入されることになりそうだ。
外観上は現行モデルと大きな違いは見当たらないのは、Cooler Masterが手堅くまとめたい”勝負モデル”であることの表れだろう。とはいえ、マイナーチェンジやバリエーションモデルではないだけに、小幅ながらトピックとなる仕掛けを用意してきた。
展示ブースでは「CM 693」のプレートが掲げられているものの、実際には「CM 690 III」として発売される。現状の為替レートであれば、14,000円~15,000円程度になるのではないかとみられている |
まず外形寸法は、W230×D502×H507mmで、現行「CM 690 II」に比べ、幅で+15.5mm、奥行きで-26.8mm、高さで+11mmの違いがある。奥行きは若干短くなった半面、幅と高さが長くなった事に、この新型モデルのポイントが隠されている。
「CM 690」シリーズに火が付いた最大の理由は、ミドルタワーPCケースでありながら、強力なエアフローを生み出すその冷却機構にあった。「CM 690 III」は、フロント200mm×1(標準装備/120mmまたは140mm×2、180mm×1に換装可能)、リア120mm×1(標準)、トップ120/140mm×2または200mm×1(オプション)、サイド120mm×2または180/200mm×1(オプション)、ボトム120mm×1(オプション)、HDDケージ部120mm×1が搭載可能。初代、先代モデルの良さが脈々と受け継がれている印象だ。
なお「CM 690 III」では、新たにトップ部およびフロント部に240mmサイズの大型ラジエターがマウントできるように設計されている。これまで冷却ファン搭載スペースはあっても、ラジエターを収めるスペースが無かったが、昨今の自作市場の傾向を取り入れた格好だ。
高エアフローも「CM 690」シリーズのDNAが受け継がれている。さらにトップとフロント部に240mmサイズラジエターが搭載できるように改良。高さがサイズアップされた理由はその辺りにあるようだ |
セールス的にも大成功を収めた初代「CM 690」以降、今日まで多くのPCケースが採用するHDD横置きスタイルとHDDトレイ。特に後者は「CM 690」が世に広めた、小さな発明でもあった。片側各2本のピンに、ABS樹脂の素材特性を活かした”反り”で固定する例の”アレ”は、HDD固定におけるツールフリーの定番。先駆者たる「CM 690」シリーズだけい、最新作では新たな機構を準備してきた。
これが新たに投入されたHDDトレイ。”反り”で固定するツールフリーはそのままに、重ねられた底面2枚の板がワンタッチでスライド伸縮。2.5インチSSD固定時には2.5インチ幅にトレイがコンパクト化され、2.5インチ専用シャドウベイに収まる仕組み |
なお、ドライブベイレイアウトは、5.25インチベイ×3、3.5インチシャドウベイ×7、2.5インチシャドウベイ×10で、ストレージ搭載能力も申し分ない。その他、対応フォームファクタはATX、MicroATX。フロント(トップ)アクセスポートはUSB3.0×2、USB2.0×2、音声入出力端子を備える。
ボトムレイアウトの電源ユニット部には、スライド着脱式防塵フィルタを装備。付着したホコリを簡単に除去できるメンテナンス性を確保 | こちらも新ギミックのトップスライドカバー。スモーク調のプラスチック製で、未使用時はフロントポート類やスイッチをカバー。最後まで開くと、トップ面には小物置き場が姿を現す |
底面にはゴムラバー製の大型インシュレーターを装備。安定性も向上されている | リアで気が付くのは、水冷チューブ用スルーホールがリアファン下に移動した点。拡張スロットは横7段+縦1段が装備されている |
シャドウベイを構成するプレートはハンドスクリューで固定。すべて取り払うことで240mmサイズラジエターがマウントできる他、上部エリア左のプレートをフロント側にずらして固定すれば、2.5インチ専用シャドウベイの出来上がりだ。なお幅+15.5mmの理由は、マザーボードトレイ背面のケーブルマネジメント用で、従来よりも余裕を持たせているため |
文: GDM編集部 松枝 清顕
Cooler Master: http://www.coolermaster.co.jp/