2013.06.09 03:35 更新
2013.06.09 取材
Haswell登場により、PC構成パーツの売上増が期待されている。ことCPUの新製品ともなれば、冷却機器関連の関係者も浮き足立つ。そこで今後選択肢が急激に増加するであろう、オールインワン水冷キット注目のモデルをピックアップしてご紹介する。
今年のCOMPUTEXでは、オールインワン水冷キットの出展が目立った。Intel第4世代Coreプロセッサ Haswellのデビューにより、新規組み換え需要が増加。それに合わせCPUクーラーの売り上げも向上し、オールインワン水冷キットも「今が売り時」というワケだ。
そこで今回は、会期中に見つけたオールインワン水冷キットの中から、3メーカーの注目モデルをピックアップ。国内上陸前にアタリをつけておこう。
Antec(本社:アメリカ カリフォルニア州)は「KÜHLER H2O」シリーズの新製品「KÜHLER H2O 1250」「KÜHLER H2O 950」「KÜHLER H2O 650」の3機種。いずれも市場に出回るオールインワン水冷キットとは大きく異なる、新設計を準備してきた。
これまで冷却液の循環を行うポンプは、”水冷ヘッド一体型”が常識となっていたが、次期「KÜHLER H2O」シリーズでは、ラジエターに装着する冷却ファンにポンプを搭載させているのだ。
特に注目は、240mmラジエターモデル「KÜHLER H2O 1250」ではオールインワン水冷キット初となる「デュアルポンプ」で運用できる。これにより、水冷ヘッドとラジエター間における冷却液の循環が速くなり、冷却能力が向上するという狙いだ。
オールインワン水冷キット初となる、デュアルポンプ仕様の「KÜHLER H2O 1250」 |
120mmサイズラジエターモデルは、「KÜHLER H2O 950」「KÜHLER H2O 650」の2機種。「KÜHLER H2O 1250」同様、120mm口径のポンプ一体型冷却ファンを搭載する。両者の違いはラジエターの幅で、厚みがある「950」とスリムな「650」と覚えておこう。
ポンプ一体型冷却ファンになることから、ラジエターユニットは従来よりも全体幅が増している。小型筐体設置にはスリムタイプの「650」をチョイスする事になるだろう。
ラジエターに厚みがある「KÜHLER H2O 950」。なおシリーズ共通で、ポンプが無くなりスリム化された水冷ヘッドトップ部には、LEDを内蔵。温度上昇によりレッドに発光するというギミックも用意されている | 「KÜHLER H2O 650」のシルエット。薄型ラジエターにより、小型PCケースでの運用に最適化されている |
これらの製品は、7月中旬以降の発売開始が予定されている。Antecの新機軸には大きな注目が集まるだろう。
次に、LEPA Technologyのブースに移り、水冷ヘッドに独自の工夫が凝らされたオールインワン水冷キットをご紹介しよう。
国内市場では、株式会社リンクスインターナショナル(本社:東京都千代田区)が取り扱う、LEPA Technology Corporation社(本社:アメリカ)のオールインワン水冷キット新作を見ていこう。
いずれも7月から8月にかけての出荷が予定されているAIO Liquid cooling system「HDB」シリーズは、240mmサイズラジエターと120mmサイズラジエターの2タイプを用意。いずれも水冷ヘッド部に独自の工夫が盛り込まれている。
CPUと接触するベース部はいずれも銅製で、緩やかな曲面加工。独自の検証により、平面にするよりも受熱効率が高かったためだと説明する。さらに内部はマイクロフィンを貫通するように、中央には溝を設け、水流の効率化を図った。さらにウォーターチューブは取り回しの良さを考慮した、柔軟なPFAチューブが採用されている。
240mmサイズラジエターの「HDB 240」。サポートTDPは300Wで、Haswellプラットフォームには最適としている |
120mmサイズラジエターは「HDB 120」「HDB 120-BL」の2種類。「HDB 240」同様、正方形のポンプ一体型水冷ヘッドを採用。アクリル窓付サイドパネル越しから”見せる”トップカバーデザインも特徴的で、スタイルとしては比較的オーソドックスなモデル。なおサポートTDPは270Wで、搭載ファンはLEDあり「HDB 120-BL」(600~1,600rpm/24.85~63.91CFM/15~25dBA)とLEDなし「HDB 120」(1,600rpm/68.48CFM/24BA)の2種類を用意する。
特許品とするスパイラルLEDが美しい「HDB 120-BL」。控えめなLEDなしモデルもラインナップする |
最後はENERMAX。240mmサイズラジエター、120mmサイズラジエター共に8月~9月にリリース予定の新製品が出展されていた。
ENERMAX(本社:台湾)は昨年も特許取得「QSC technology」採用の「ELC」シリーズを披露したが、今年はさらに進化した「Shunt-Channel-technology」(SCT)を持ち込んだ。
水冷ヘッド改良版で、銅製ヒートシンクに大きく溝を彫り、水流の最適化によりさらに冷却能力が向上。ヘッドカバーも従来のプラスチック製からアルミニウム製に変更されている。
またラジエターは、CPUクーラーの放熱フィンに近い板状に変更が加えられ、搭載される120mm口径「High-perssure airflow fan」とのマッチングも良好だという。なお現時点価格は未定ながら、「ELC」シリーズとほぼ同等になる予定。ラインナップは240mmサイズラジエターの「Liqtech 240」と120mmサイズラジエターの「Liqtech 120」の2種。
「Shunt-Channel-technology」(SCT)を披露したENERMAX「Liqtech 240」。国内市場でも8月以降の投入を予定し、鋭意テスト中だとか |
文: GDM編集部 松枝 清顕
Antec Inc.: http://www.antec.com/
LEPA Technology Corporation: http://www.lepatek.com/
Enermax Technology Corporation: http://www.enermax.com/