2013.11.22 00:46 更新
2013.11.22 取材
日本ノーベル株式会社ブースに設置されたケージの中で、ロボットがせっせと動いて何かをしている。実はこの機械、スマートフォンやタブレットのメーカー向けに出荷される高性能な自動テストシステムなのだ。
ロボットアームの先端にはスタイラス。このマシンこそ日本ノーベルが手がけるスマートフォン・タブレットメーカー向けの自動テストシステム「Quality Commander 6」だ。従来人の手で行っていた実機テストを全自動でかつ正確に行うことができるシステムで、テストシナリオに従って24時間体制のテストも実行可能。ちなみにスマートフォンやタブレット以外にもデジカメやカーナビ、デジタル家電のテストにも対応する。
せわしなくロボットアームがタッチパネルを滑り、タブレット上にラインを描いていく。このマシンはタッチパネルが正常に動作するかの「リニアリティ」(直線性)テストを行っている。ちなみに搭載されているロボットはヤマハ発動機製だ |
端末をロボットが操作する状況をカメラで撮影し、判定するという仕組み。テスト状況はシステムとバンドルで供給されるソフトウェア上で確認可能で、画像解析の技術を活かして詳細なデータを取得できる |
そもそも同社はシステム管理・制御ソリューションを手がけるメーカーで、このシステムもそれらで培ったソフトウェア開発のノウハウと画像解析の技術を組み合わせたもの。設置アダプタ(台座)上にセットされた端末を上部に取り付けられたカメラで撮影、強力な画像判定技術を使用して判定している。結果はPC上で確認できるほか、PCを操作して手動でテストを行うことも可能だ。
ちなみに携帯端末のテストは、ガラケー時代から手がける息の長い事業。当時は「女子高生よりも速い入力速度」のテストが行えるという触れ込みで、ニュース番組でも紹介されたことがあるのだとか。
プランジャーユニットが多数接続された凄まじいテスト風景だが、この技術は「女子高生よりも速い」と評判になったらしい |
なお、システムの供給価格は、プランジャーユニットや3軸直交ロボット、XYロボットなど搭載するロボット次第で変動するものの、おおむね600万円から。研究開発の過程で使用するシステムのため、基本的には1台あれば事足りるようだ。
こちらは「3軸直交ロボット」搭載モデルで、可動範囲が広く多数のテスト項目に対応するのが特徴。なお、ソフトウェア上ではアプリアイコンを探して起動、シナリオに従ってアプリを操作することもできる |
ブースの一角では最新モデルの展示も。従来より大幅に小型化しながら、これまで通りのテストが実行できるという優れものだ |
また、ブースには参考出展扱いながら、従来より大幅に小型化した次世代モデル「超小型スカラ型ロボット」搭載システムも展示されていた。小型ながらタブレットのテストを含め、これまで同様のテストシナリオをこなすことができるのが特徴だ。現在は高耐久モーターの供給が遅れているため、製品化の時期は未定。ただし同社担当によれば、これまでより安価な価格設定で出荷できると期待されているようだ。
小型になったロボットアームもタブレットテストをカバーできる高性能タイプ。ただしロボットメーカーによる“モーター待ち”という状況で、製品化時期は未定だ |
文: GDM編集部 絵踏 一
Embedded Technology 2013: http://www2.jasa.or.jp/et/ET2013/