2013.11.23 00:37 更新
2013.11.22 取材
コンシューマ向けSSDでは、MarvellやSandForceなど、海外製コントローラが大きなシェアを握っているのはご存知の通り。一方で、組み込み向けの高耐久モデルの世界では、国内メーカーのオリジナルコントローラを採用する製品が以外にも多く存在している。そこで、今回はEmbedded Technology 2013で見かけた国産コントローラ採用SSDをまとめて紹介しておこう。
「BMコアテクノロジー」を備えた新型SATA3.0対応コントローラ「BMS3A02K」 |
バッファローメモリブース(ブースB-05)では、同社の独自機能「BMコアテクノロジー」を備えた新型SATA3.0対応コントローラ「BMS3A02K」搭載製品を展示。「BMコアテクノロジー」では、頻繁にアクセスするデータをNANDフラッシュへ書き込まず、キャッシュメモリに保持しておくことで安定したパフォーマンスとNANDフラッシュの長寿命化を実現。さらにキャッシュ内データの紛失を防ぐため、バックアップ用キャパシタが実装され、信頼性も確保している。
今回のSATA3.0(6Gbps)対応コントローラでは、安定性や信頼性を損なうことなく高速化を実現しており、産業向け製品ながら、コンシューマ向け製品に近いパフォーマンスを備えているとのこと。
SATA3.0対応モデルは現在も開発中。予定通りなら2014年半ば頃には製品が登場するだろう |
またキャッシュメモリに、不揮発性高速メモリ「MRAM」を採用した次世代モデルも開発中。MRAMはNANDフラッシュと違い、シャットダウン時のデータ書込や起動時のデータ読込が不要になるため、さらにパフォーマンスの向上が期待できる。さらに基板上のバックアップ用キャパシタも不要になるため、処理が簡略化できるメリットもある。ただし、現状では容量が小さいこと、そして価格が非常に高価なため、コストとのバランスが取れる頃合いを見極めて発売を開始するという。
MRAMキャッシュを搭載したSSDも準備中。MRAMキャッシュの転送速度は、DRAMと変わらずパフォーマンス的にはまったく変わらないイメージで使用できる | |
組み込み向け製品らしく、2.5インチモデルやmSATAなどの標準フォームファクタ以外に、特殊形状モデルにも対応する |
ハギワラソリューションズでは、徹底した品質管理を行うためほぼすべての製品の設計・開発を国内で行っている |
産業機器向けフラッシュストレージを手がけるハギワラソリューションズ(ブースA-15)では、同社のコントローラに内蔵された「Q-MLC」機能をアピール。これは、MLC NANDフラッシュの一部をキャッシュとして使い、SLCのような書き込みを行う「擬似SLCモード」を拡張した機能で、高速なデータ書き込みと安定したパフォーマンスを実現。さらに耐久性も標準的なMLCに比べて約10倍まで向上できる。
SLCとMLCのいいとこ取りができる「Q-MLC」機能。低コストながら高い耐久性と信頼性を実現できる | |
同社ブースに展示されていた、SATA-Ultra SCSI変換アダプタ。自作市場ではすっかり見かける機会もなくなったが、産業向け機器では、まだまだSCSI世代の機器が使用されており、こういったニーズもあるとのこと |
TDKブース(ブースD-41)では、エンタープライズ向けコントローラ「GBDriver RS4」を搭載した2.5インチSSD「SDG4A」シリーズとハーフスリム型SSD「SHG4A」シリーズを見ることができる。
こちらはDRAMキャッシュを敢えて排除し、コントローラ内に書き換え前データを保持する独自機能を備えることで、高い電源断耐性を実現しているのが特徴。また新開発の「エンハンストECC」搭載により、71bit/512Byteという強力なエラー訂正能力とリードリトライ機能を実装し、データの信頼性を高めている。
下段のハーフスリム型SSD「SHG4A」シリーズは、今月より発売が開始された最新モデル。W54×L40mmのハーフスリム型ながら128GBの大容量を実現する |
文: GDM編集部 池西 樹
Embedded Technology 2013: http://www.jasa.or.jp/et/