2014.06.10 00:00 更新
2014.06.09 取材
Noctua(本社:オーストリア フッテンガッセ)ブースレポートの最後は冷却ファン編をお届けしよう。2年前のCOMPUTEXではすでに開発が進められていた「Active Noise Cancellation」に加え、ポリアミド合成繊維を貼り付けた「Flocked Surface Fan」にも着手している。
「Active Noise Cancellation」の解説のため、昨年のCOMPUTEXで展示されていたデモ機がそのまま持ち込まれていた |
まずは「COMPUTEX TAIPEI 2012」で初披露されたノイズキャンセラー技術、「Active Noise Cancellation」(以下:ANC)の進捗状況について紹介しておこう。
ANCでは、熱に弱い磁石をインペラに実装する過程が最も難しい。Noctuaではこれを解決するため、プラスチックの整形後すぐに冷却するシステムを工場に導入したという |
ANCは、インペラに組み込まれた磁石とフレームに内蔵されたコイルを使い、冷却ファンのノイズとは逆位相の信号を意図的に発生させることで、ノイズを打ち消す静音技術。仕組み自体は2年前からほぼ完成していたが、熱に弱い磁石を、磁力を維持したままインペラに組み込む工程で難航。最終的には工場内に新たに冷却システムを導入することで解決したという。
ANCファン量産化の暁には空冷だけでなく、簡易水冷用ラジエターへの実装も検討している |
同社のJakob Dellinger氏によれば、完全量産までの進捗率は80~90%、大きな問題が発生しなければ来年春には量産を開始できるだろうとのこと。
微細な凹凸のあるポリアミド合成繊維をファンに貼り付けた「Flocked Surface Fan」 | |
ポリアミド合成繊維がゴルフボールのディンプルのような役目を果たす | ブレードとフレームの2パターンでチェックしたところ、ブレードに貼り付けたほうが静音効果が高かったとのこと |
また冷却ファンの新たな静音手法として「Flocked Surface Fan」を発表。こちらは微細な凹凸のあるポリアミド合成繊維をファンに貼り付けることで、フィンの表面にゴルフボールのディンプルのような乱気流境界層を作成。これにより空気の流れが整流され、静音性が向上する。
今後は、合成繊維へのホコリの付着をどうするかや、ファンと冷却機器の位置が近いと静音性が損なわれてしまう点などを修正しつつ、製品化を目指していくとのこと。
文: GDM編集部 池西 樹
Noctua: http://www.noctua.at/