2014.10.10 00:00 更新
ワイヤレス充電の世界標準規格「Qi」の策定を行っているWireless Power Consortiumでは、日常空間にQi対応機器が溶け込んだ「Qi Life ~Qiのある生活」と題したブース設営を行っている。リビングやベッドルームを模したコーナーが連なるほのぼのとしたエリアだが、キッチンにはちょっと見逃せないデモ機が持ち込まれているようだ。
木製テーブルの上でワイヤレス駆動していたミキサー。大出力デモのためワイヤレス給電仕様にカスタマイズされた、PHILIPSの製品だ |
いまやワイヤレス給電の国際標準になっている「Qi」だが、現在は5Wまでの低電力規格のみが策定されている。対応スマートフォンが増加したこともあり、それほど物珍しい機能でもなくなってきた印象だ。
ところが今回Wireless Power Consortium(WPC)のキッチンエリアに持ち込まれていたシステムは、出力なんと2kW。ブース担当者によれば「世界初公開」という大出力デモで、木製テーブルに置かれた1kWの調理器具を2基駆動させていた。テーブルを開けると内部には大型の送電コイルが隠れており、これが2kWのハイパワーを生んでいるようだ。
テーブルの中心にあった、意味ありげなマーキング。中を開けてみると、ちょうどその位置には大型の送電コイルが隠されていた | |
送電コイルの中心だけで1kW、外周を合わせて2kWの大電流を供給できる。このクラスであれば、火を使わなくともグリルで調理ができるとか |
そもそもWPCでは出力5W以下の現行Qiを「Low Power」と呼称しており、将来的に規格化を予定している120Wまでを「Middle Power」、さらにそれ以上のキロワット級出力「High Power」も想定しているという。今回のデモ機は、その中の「High Power」に属するもの。曰く、「Middle Power」まではQiとの互換性を確保する予定ながら、それ以上は安全性の観点から「名称を含め、まったく別の物になるだろう」(担当者)とのこと。
なお、現行Qiに続く「Middle Power」の先鞭として、手始めに15Wの新規格が来春にも策定される見込みだという。スマートフォンやタブレットの急速充電を想定したもので、ほぼ規格化は完了しており、すでに各メーカーでは対応製品の製造が始まっているようだ。
エリアごとにシーンにマッチしたQi対応機器が設置されているブース。期間中はアンケートに答えることで、「Qi Life バッグ」がプレゼントされる |
“枯れた”技術である「電磁誘導方式」がベースの規格のため、大出力化はそれほど難しくないながら「金属片など異物混入による信頼性確保に時間がかかった」という新規格。さらなる大出力化を目指す、ワイヤレス給電のこれからに注目だ。
文: GDM編集部 絵踏 一
CEATEC JAPAN 2014: http://www.ceatec.com/ja/