2014.10.10 00:43 更新
2014.10.10 取材
使いたい端末にタッチするだけでOKなワイヤレスの「ポータブルSIM」に、iPhoneの“おサイフケータイ化計画”。ホール1に入ってすぐの一等地を占める株式会社NTTドコモ(本社:東京都千代田区)ブースから、気になったスマートフォン向けのガジェットをチェックしてみよう。
スタッフが首から下げていたカード型のデバイスが「ポータブルSIM」。ドコモが現在開発を進めているSIM技術で、端末とワンタッチペアリング&ワイヤレス通信できる |
SIMはスマートフォン(あるいはタブレット)に収まっているもの、という概念を変えてくれるかもしれないのが「ポータブルSIM」。NTTドコモが6月に発表した新技術で、ブースの一角では現在開発中の試作環境がデモされていた。
カード型デバイスの中にはSIMカード情報が書き込まれており、Bluetoothを介して端末と通信する仕組み。NFCを利用してワンタッチでペアリングできるため、状況に応じて使いたい端末にタッチするだけで、SIMカードの抜き差しなしに認証が完了する。通勤中はスマートフォン、自宅ではタブレットなど、シームレスに端末を使い分けできるというワケだ。
端末側にSIMを挿す必要はなし。タッチするだけでNFCを利用してペアリング、約20秒ほどの読み込みで番号認証が完了する。ちなみに一般的なSIMを抜き差しした場合も同じくらいかかるとのこと |
さらに複数の番号を利用する場合もワンタッチで切り替えできるため、オンオフで端末設定を使い分けることも可能。さらにこうした「回線認証」のほか、SIMカードのセキュリティ領域を利用してログインパスワードを保存する「ID認証」にも対応。サイトログインなどの手間を省くことができる。
ちなみに試作機ではBluetooth 4.0端末と通信していたものの、「Bluetooth 4.0以降で対応しないSAP(SIM Access Profile)プロファイルを使用して通信するため、カスタマイズを施している」(担当者)とのこと。現状参考出展の技術ではあるものの、実用化された場合も端末側がこの点にしっかり対応する必要がありそうだ。
番号(アカウント)ごとに使用する端末を登録することを想定、登録済みタブレットなら同じくタッチのみで認証完了。番号によっては機能に制限をかけることもできる | |
このカードを持ち歩くのか、というぼやきは早計。会場にはウォッチ型などのデザインモックも並べられていた |
カードとカバーケースがセットになった「おサイフケータイジャケット」。中のカード型ユニットが本体で、バッテリーは2.5ヶ月ほどもつようだ |
iPhoneでもおサイフケータイ機能を使いたい、というニーズに応え、10月中にドコモから新発売されるのが「おサイフケータイジャケット」だ。BluetoothでiPhoneと通信するカード型の本体とカバーケースで構成、サッとかざすだけの決済がついにiPhoneでも可能になる。
10月時点での対応予定サービスは、ANAの「スキップサービス」にヨドバシカメラの「ゴールドポイントカード」、12月以降には「iD」とJCBの「QUICPay」などが控えている。「楽天Edy」や「ローソンモバイルPonta」にも対応予定ながら、「Suicaへの対応は現在検討中」という点は多少残念。今後の調整に期待したいところだ。
カバーケース自体はサードパーティからも発売されるとのことで、デザイン面での心配はなさそう。ただしカード型の決済デバイスはドコモの直販のみになるとのこと | |
コーナーでは実際に決済のシミュレーションもできる。対応サービスにSuicaがないのは残念だが、今後に期待だろうか |
文: GDM編集部 絵踏 一
CEATEC JAPAN 2014: http://www.ceatec.com/ja/