2015.11.02 00:01 更新
2015.11.02 取材
自作派たちの周りで発掘された、懐かしのPCパーツを紹介する「懐かしのPCパーツ図鑑」。今回は以前、Intelが自信を持って提唱したマザーボード規格「BTX」、その対応PCケースが登場。もちろんマザーボードやCPUクーラーも搭載済みだ。紹介してくれたのは、TSUKUMO eX.のベテランスタッフ Sさんと某代理店担当者のSさんの2人だが、なんだかやけに盛り上がったようで。
某代理店のSさん(以下:代理店S)「エルミタの面白い企画があると聞いて、自宅から持ってきましたよ。捨てるに捨てられず困っていた、BTX対応のPCケース&マザーボードです」
TSUKUMO eX. Sさん(以下:eX.S)「いや、急にこんな古いものを持ってこられても困るんだけど。新製品のサンプルでも持ってきてよ」
某代理店の営業担当が持ち込んできたCooler Master「Centurion B541」。Centurionシリーズは、現在でも人気のフロントメッシュデザインの先駆けとなった名機だ |
代理店S「まぁそう言わずに。私がその昔、店員になった記念にと先輩に勧められて(騙されて)購入した思い出のケースなんですから」
eX.S「それにしても、よくもここまで、古いケースとマザーを持っていたよね」
代理店S「なにを隠そう、BTX対応のPCケースとマザーボードを買ったら最後。ATXと互換がないため、完全に専用パーツですから。それに気付くのは、働き始めてしばらくたってからなのですが、乗り換えるには、ほぼ買い替えが必要なので、我慢して4~5年は使いましたよ」
eX.S「改めて、眺めてみると面白い構造だ。Pentium 4の発熱に悩まされた結果、フロントから強力に吸気してリアに排気する。このCPUクーラーなんかサーバー用みたい。よく冷えそうだな」
向かって左がフロント側。マザーボードの搭載エリアが、ATX対応のケースとは反対側となるBTXフォームファクターは熱源を一直線に冷やす、フロント吸気のリア排気が基本コンセプトだった |
代理店S「とにかく熱いCPUを冷やしたいというワケで、こんな構造になったんでしたよね。よく見ると素材にいいものを採用したヒートシンクです。ケースはCooler Masterなのに、CPUクーラーはThermaltakeですが。ちなみに電源を入れると、飛行機が離陸する様な音がして。初めは、いきなり壊れたのか思いましたよ」
Thermaltake製のBTXおよびmicroBTXフォームファクタ対応のCPUクーラー「Silent BTX」。ファンのスペックは回転数4,500rpmでノイズレベルは驚異の53.5dB。銅ベースと複数のアルミフィンで構成された豪華な作りだ |
eX.S「ハイエンドなPCに静音性を求めるのはナンセンスな時代でしたよね。PCケースは当時よく売れたCenturionシリーズだけど、BTX専用モデルなんてあったんだ」
代理店S「ええ。正確にはmicroBTX対応のケースで、マザーボードはIntel純正の『D945GBO』。i945Gチップセットを搭載し、メモリはDDR2対応。今見てもそんなに古いスペックではないですよ。PCI-Expressも載ってますし」
かつてはマザーボードメーカーとしても人気を博したIntelの純正モデル。VGA機能内蔵のi945Gチップセットを搭載した「D945GBO」 | |
Intel純正といえばブルーの基板。メモリには、今も秋葉原で新品が購入できるDDR2を採用している |
eX.S「いや、十分古いけど。それはさておき、ここなんか見て。スイッチ周りもアルミ製になっている。シルバーの部分は全てアルミだ。デザインは2015年でも通用するかな。Centurionシリーズはいろいろあって、自分も型番は忘れたけど使っていたなぁ」
代理店S「PCケースはかなり古いモデルでも、昔のものはしっかりした作りの製品が多かったですから。今も、数年前のモデルを使い続けている人は多いですよね。もちろん、ATX対応のモデルに限った話なんですけど」
電源ボタンやリセットボタンを含めアルミをふんだんに使った作り。ちなみに、発売当時の価格は約10,000円だ |
eX.S「つくづくBTXにまつわるエピソードは悲しいね。その後、Core 2 Duoの登場でTDPが低下。一気に終息に向かっていく」
代理店S「言いだしっぺのIntel自身がやめる宣言ですからね。パーツメーカーや代理店、ショップ、ユーザーに至るまで、皆『は?何言っていんの』となったのを覚えています。なんか当時のことを思い出したら、少しムカムカしてきましたよ」
2基の80mmファンを搭載することができる、リア側のインターフェイス類もATXとは逆向き。全ては発熱するCPUをいかに効率よく冷却するかがキモだった |
eX.S「まぁまぁ、ここで少しでも日の目を見る事が出来たので、よしとしましょうよ」
代理店S「言いたいことはまだまだたくさんありますが、仕方ないですね。500円、いや100円でもいいですよ。欲しいと言う方がいたら売ってあげてください。思い出がしみ込んでいますが、譲りますので」
eX.S「いや、今すぐ持って帰って」
文: GDM編集部 Tawashi
TSUKUMO eX.: https://www.gdm.or.jp/shop/tsukumoex/
Intel Corporation: http://www.intel.com/
Cooler Master: http://apac.coolermaster.com/jp/