2015.12.22 00:00 更新
2015.12.22 取材
こんなスマホやあんなタブレットをちぎっては投げ。なんと半年足らずで40台以上を使い倒すという、筋金入りのスマホオタクがお気に入りの端末をアレコレ語る「ギークの殿堂」。今回登場するのは、ガラケーにWindows 7を搭載させるという壮挙を実現した、富士通の名機(迷機?)「F-07C」だ。Windows Phoneスマホですか?いいえ、PCです。(???)
どうもこんにちは、モバイルならおまかせなイオシス アキバ中央通店スタッフの太田です。マニアの視点からスマホやタブレットをご紹介していくこのコーナー、今回はちょっと趣向を変えまして、やや懐かしめの端末をご用意しました。今日の主役はこちら、2011年に富士通から発売された「F-07C」です。こう見えてスマホではなくガラケー、しかもこのサイズにWindows 7を搭載させるという、なんとも冒険的な端末でした。
同時期のマイクロソフトのスマホ用OSといえばWindows Phone 7ですが、コレが搭載しているのはWindows 7 Home Premium(32bit)。れっきとしたPC用OSです。富士通のサイトでも「パソコンが手のひらサイズに!」と謳われている通り、コレはPCなんですよ。
とは言え端末的にはガラケーですから、CPUは600MHzのAtom Z650でメモリは1GB、これでフルWindowsが快適に動くはずがありません。そんなわけで、マニアの間ではCPUを1.2GHzにオーバークロックするのが流行ることになります。なにやら、のっけから人柱臭がする端末ですよね(笑)。
裏返すと、“Intel入ってる”なロゴに並んで、誇らしげにWindows 7のロゴが貼られている。さらに“PC”を謳うだけのことはあり、富士通のノートPCブランド「FMV LOOX」のロゴも発見。ウィルコムのVista搭載端末などもあったが、同様のWindows搭載機でこのサイズは驚異的に小さい |
もちろんずっとWindowsで動いているわけじゃありません。コレは「Windows 7モード」と「ケータイモード」の2モードを切り替える仕様でして、普段はiモードなどに対応した“ケータイ”として動いています。ただしいざ「Windows 7モード」で動かそうと思ったら、基本的には別売りのクレードルがほぼ必須。なにしろWindows状態ではバッテリーの消耗が激しくて、充電なしには30分ほどしか使えないんですよ。
いったいどうしてこうなった的な感じですが(笑)、クレードル自体はなかなか優れものでした。USBハブは4ポートもついていて、HDMI出力にも対応。環境さえ用意すれば、何やら本当のPCみたいに使えるんです。このクレードルのUSBをどう使うか、ここがPCとしての真価が問われるところでしょうか。
とまぁアレコレ言いましたが、使い勝手とかは基本どうでもいいんです。こんなサイズでWindowsが動いている、ということ自体がスゴイことなので、あとはどう遊ぼうかという話ですね。巷ではWindows 8化したとか、先達の方々が参考になりそうなことを色いろやってくれていました。それじゃあ私もということで、この間勇んでWindows 10を入れてみたんですよ。サイドのWindowsボタンを押して切り替えると・・・なんと見慣れたWindows 10の画面が!表示はちょっと怪しいですが(笑)、こうしてガラケーで最新OSが動いてるなんて感激です。これだけでも買った甲斐がありましたね。
実用ではなく遊ぶための端末と、割りきってのWindows 10化を敢行。画面表示はかなり怪しいが、確かにWindows 10が動いている | |
ガラケーとしての機能もしっかり押さえている「F-07C」。おサイフケータイやカメラ機能は特にイチオシなポイントだ。ある意味早すぎた端末ながら、その攻めた仕様はマニアを喜ばせるのに十分だった? |
ちなみにWindowsの方にばかり目がいきがちですが、これで結構ガラケーとしては悪くないんです。おサイフケータイもちゃんと使えますし、カメラも500万画素とガラケーとしてはなかなか優秀。SIMロック解除もできるので、いろいろ遊んでみたい方にはピッタリな端末でしょう。Windows PCを手のひらサイズで――というコンセプトはちょっと早すぎた感じでしたが、その野望はWindows 10 Mobileスマホが受け継いでくれるかもしれませんね。
文: GDM編集部 絵踏 一
イオシス アキバ中央通店: https://www.gdm.or.jp/shop/iosys-chuou/