2016.04.01 13:00 更新
2016.04.01 取材
Elitegrpup Computer Systems(ECS 本社:台湾)国内正規代理店の株式会社リンクスインターナショナル(本社:東京都千代田区)は2016年3月31日、人気の超小型PC「LIVA」シリーズのメディア向け新製品発表会を開催した。熱いリクエストに応えて登場した法人向けモデルやスマートフォン連携の新型、さらに文教向けのCherry Trailタブレットも発売される?
コンパクトデスクトップPCの人気モデル「LIVA」から、新たに登場したのは法人ユーザーをターゲットにしたWindows 10 Pro搭載モデル。機能制限なしの上位OSへ刷新され、ビジネスシーンでもフル活用できるようになった |
小さな弁当箱ほどのボディに見た目以上のパフォーマンスを秘めた、超小型のデスクトップPC「LIVA」シリーズから、久しぶりの新モデルが発表された。
まず発表会のトップバッターとして登場したのが、Windows 10 Proをプリインストールした「LIVA X2 Pro」だ。Homeエディションを搭載していた従来モデルの「LIVA X 2」(リバスクウェア)をベースにOSを刷新、新たに法人を主要なターゲットとして販売される。
これまでもビジネス用途を見込んで多数の問い合わせが舞い込んでいたという「LIVA」。しかし機能が制限されたHomeエディションでは、「最終的に導入検討の候補に残るのが難しかった」(担当者)とのこと。そうした状況を踏まえて、実は“小型デスクトップPCでは初”というWindows 10 Pro搭載モデル「LIVA X2 Pro」が誕生したというワケだ。
発表会の冒頭で挨拶する、株式会社リンクスインターナショナル代表取締役の川島 義之氏 | 今回の発表会のために駆けつけた、日本エリートグループ株式会社代表取締役の岡山 偉信氏 |
発表会の進行と解説セッションは、株式会社リンクスインターナショナルの阪口 貴紀氏が担当した |
基本的には「LIVA X 2」のWindows 10 Pro版といった製品であり、OS以外の仕様は同等だ。プロセッサはBraswell世代の省電力SoC Intel Celeron N3050を実装。小さいながらにギガビット有線LANやUSB3.0×3、HDMIとD-Subのディスプレイ出力2系統など、豊富なインターフェイスを備えている。
また、IEEE 802.11ac対応の無線LAN、Bluetooth 4.0といった、ワイヤレスネットワークも完備。内部的にはストレージ用にM.2スロットが実装されており、拡張性も担保されている。
「LIVA」シリーズは、小さいボディに詰め込まれた豊富なインターフェイスが魅力。多数のUSBや有線LAN、画面出力、さらにワイヤレスネットワークも完備している |
製品ラインナップは、メモリ4GBとストレージに64GB eMMCを実装した「LIVAX2-4/64-W10Pro」の1モデルのみ。市場想定売価は税抜48,800円と優れたコストパフォーマンスも魅力で、4月9日(土)の発売が予定されている。
ゲストとして登壇した、プラネックスコミュニケーションズ株式会社副社長で製品開発統括を務める藤澤 利之氏。「LIVA X2 Pro」と同社のネットワークカメラを組み合わせた、パッケージの提案を行った |
GalaxyシリーズなどQi対応スマホを持っているなら大注目、ワイヤレス給電のQiに対応した「LIVE STATION」が登場した。ケーブルに縛られず、置くだけの手軽な充電が可能になる |
コンシューマ向けのモデルとして、スマートフォン連携を意識した新モデルも同時に発表。どこかで見たことのありそうなボディ形状の「LIVE STATION」がそれで、なんと天板に「Qi」に対応した給電パッドが内蔵されている。
日本ではそれほど一般向けに浸透していないものの、Qiはワイヤレス給電規格の世界標準。国内の現行スマートフォン・タブレットでも標準でサポートする機種は多く、非対応機種を“Qi化”するケースなども発売されている。手軽に置くだけの充電が可能なことから、海外では注目度の高い機能であり、リリース前に出回った「LIVE STATION」のリーク情報で掲示板が盛り上がる、といった一幕もあったらしい。
どこかIntelのNUCをほうふつとさせるデザイン。天板がQi準拠の給電パッドになっており、ちょうどロゴ部分にコイルが埋め込まれている。充電状況は左上のインジケータで確認可能だ |
プロセッサはBay Trail世代のIntel Celeron N2830で、省電力な組み込み向けストレージSATADOMを採用。「LIVE」シリーズの代名詞である豊富なインターフェイスは健在で、USB3.0×2、USB2.0×2、ギガビット有線LAN、HDMIなどを装備。ワイヤレスネットワークは、無線LANとBluetooth 4.0をサポートしている。
製品ラインナップは選べる2モデル。メモリ2GB+ストレージ32GBにWindows 10 Home 64bitを搭載した「LS-2-32-W10」と、メモリ4GB+ストレージ64GBのOS非搭載モデル(ベアボーン)「LS-4-64」が4月9日(土)より発売される。市場想定売価は、2モデルともに税抜34,980円だ。
自分のスマホがQiに対応していなくても、“Qi化”するケースがあれば大丈夫。こちらも「LIVA X 2」同様に、必要なインターフェイスはすべて網羅されている |
組み込み向け需要に応えて製品化された、“基板のみ”の最新世代「BAT-MINI 2」。先代の「BAT-MINI」の成功を受け、より拡張性の高いモデルとして出荷が開始される |
続いて解説が行われたのが、組み込み向けに出荷される「BAT-MINI 2」。もとは企業からの「LIVAに使われている小さい基板を組み込みで使いたい」というリクエストで誕生したシリーズで、先代の「BAT-MINI」は2015年に10,000台を出荷するなど、ビジネス的に成功している。今回新たにその第2世代モデルがリリースされたというワケだ。
「BAT-MINI」が初代「LIVA」の基板を使用していたのと同様、「BAT-MINI 2」には2015年に発売された「LIVA X」の基板がそのまま使用されている。プロセッサにAtom N2808を採用するほか、多数のインターフェイスやネットワーク機能を搭載。mSATAの増設にも対応することで、拡張性も「BAT-MINI」から向上している。
こちらは従来モデルの基板を使用する関係上、メーカー在庫は潤沢であり、即時の出荷が可能。価格は見積りによる。
基板は先代の「LIVA」である「LIVA X」そのもの。Atom N2808や多彩なインターフェイス、mSATAなどを実装している |
ECSが文教向けに出荷を予定している、デタッチャブル仕様の「学習(文教)向け 2in1ノートタブレット(仮)」。IntelのCherry Trailを搭載した最新仕様のタブレットだ |
以上で「LIVA」シリーズの新製品は打ち止めだが、会場ではECSが新たなチャレンジとして現在取り組んでいる文教向けのタブレットが注目を集めていた。実はかつてIntelと組んでスクールPCを多数出荷した実績をもつECSが、再びIntelとのタッグで文教分野に乗り込もうとしている。
その尖兵として公開されたのが、6月の発売を予定しているという「学習(文教)向け 2in1ノートタブレット(仮)」。ディスプレイとキーボードが分離するデタッチャブル仕様のタブレットで、Intelの最新モバイルプロセッサ“Cherry Trail”を搭載した端末だ。
生徒が多少乱暴に扱っても壊れにくい、70m落下に耐える耐衝撃設計。さらにIP52準拠の防水・防塵に対応しているなど、タフなボディを採用している。
生徒が乱暴に扱っても大丈夫なタフネスボディを採用。ディスプレイが完全に分離するため、逆向きのスタンドスタイルに入れ替えて使ってもいい。なお、付属スタイラスによる手書き入力にも対応する |
ちなみに展示用のサンプルには、Atom x5-8300と2GBメモリ、さらにファーウェイのLTE対応モジュールが組み込まれていた。側面にはSIMスロットも備え付けてあり、受注に応じて柔軟な仕様での出荷が可能なようだ。
こちらは出荷時期が6月とスクールシーズンとはズレてしまうものの、「現状は市場調査がメイン。来年から本格的な出荷を目指す」という目論見のようだ。もっとも、防水・防塵・耐衝撃仕様でLTE対応のCherry Trail端末とあって、何やら一般向けに販売しても売れそうな気がする。
サンプルには、Atom x5-8300のほかファーウェイ製のLTEモジュールが組み込まれている模様。SIMスロットも備えられ、一般向けに展開しても話題になりそう | |
こちらは同じく文教向けに出荷予定のノートPCで、現状開発中とあって持ち込まれていたのはモック。Braswell-Mや最大8GBメモリ、デュアルストレージ構成(オプション)などが組み込まれるという |
文: GDM編集部 絵踏 一
株式会社リンクスインターナショナル: http://www.links.co.jp/
Elitegroup Computer Systems(ECS): http://www.ecs.com.tw/