2016.05.30 02:57 更新
2016.05.30 取材
台湾の自作PC市場の今を探るべく、台湾No.1のPCショップ「原價屋」への突撃取材を敢行。日本では考えられない超高速組み立てサービスや、組み立て経過が確認できる通販BTOシステムなど、その驚きの現場を紹介しよう。
「原價屋」は、台北を中心に全13店舗(+サポート店1店舗)を展開する台湾No.1のPCパーツショップ。今回はその中から台北の旗艦店となる「數位三創店」と、BTO PCの販売・組み立てなどを中心に行う「八徳現代店」を取材。その独自サービスと台湾自作市場の今を聞いてみることにした。
三創生活園区の真裏に位置する、台北地区の旗艦店「數位三創店」 | 「數位三創店」から歩いて5分ほど。八徳路一段沿いにある「八徳現代店」 |
まず取材をしていて一番驚かされたのが、即日持ち帰りができるBTOサービス。「八徳現代店」では専門スタッフが常駐しており、ユーザーがチョイスしたパーツをその場で組み立て。そのスピードは圧巻で、OSをインストールしない状態であれば最短30分で完了。もちろんOSを同時購入すればその場でのインストールもでき、当日の持ち帰りができる。取材中にも実際に2名が完成したPCを受け取っていた。
ピットさながらの組み立て現場。あっという間にPCが組み立てられていく | |
店内にあるPCで好みのパーツをチョイスすると、即座にパーツの組み込みが開始。完了後はしっかりと動作チェックをした後に引き渡しが行われる |
また通信販売で受注したすべてのBTO製品に対して、組み立て中や組み立てが完了した際の画像を表示するサービスも面白い。これにより通販で購入したユーザーも仕上がりに不安を感じることがなくなる他、まるで店頭で購入したかのような擬似体験ができ、注文も順調に増えているとのこと。
一般的には、通信販売で注文したBTOは受け取るまで中を確認することができない。そんな不安を解消するため、画像投稿サービスを実施 |
さらに誰でも最適なパーツが選択できるよう、Webシステムが充実しているのも特徴。製品により動作クロックがまちまちなグラフィックスカードの性能がひと目で比較できる「ベンチマークデーターベース」や、カスタマイズに合わせて即座に消費電力が表示される「BTO構築システム」は、ユーザーにとても好評だという。このような独自サービスを提供することで、台湾No.1のPCパーツショップの地位を確立しているわけだ。
通販サイトはPCだけでなく、スマートフォンやタブレットにも対応し、すべての機能が利用できる |
続いて、同店バイヤーの王氏に、台湾の自作市場について話を聞いてみることにした。CPUはIntelが約9割、AMDが約1割で、日本市場とほぼ同様。特に最近ではDDR4メモリの下落もあり、Skylakeプラットフォームへの移行が加速しているという。ゲーミングユーザーはもちろんCore i7を、ゲームをしないユーザーでもCore i5クラスの比較的上位のCPUに人気が集まっている。
CPUは圧倒的にIntelが優勢。さらに同店では比較的ハイエンドの製品が人気という |
グラフィックスカードについては、NVIDIAが優勢。特にアキバでも瞬殺となったGeForce GTX 1080の人気は高く、台湾全体の約8割(系列店全体で)を入荷したという「原價屋」でも、現在は品切れ中だった。また最近では価格が下落傾向のGeForce GTX 960やGeForce GTX 970も好調。一方、日本で値下がりが始まっているGeForce GTX 980以上のモデルは、台湾ではあまり値段が下がっておらず落ち着いている。
ちなみにAMD Fijiについては、パフォーマンスよりも入手性の悪さを指摘。まもなく登場予定のPolarisではこの状況が改善されることを期待したいとのこと。
「原價屋」でバイヤーを務める王氏 | |
店舗に残っていたGeForce GTX 1080の在庫はいずれも予約済み | ASUSやMSI、GIGABYTEなど主要メーカーの製品が揃う |
ここまでは国内と同じような状況だが、電源ユニットやケースでは少々異なる。ケースは1,000~1,500台湾ドル(日本円で4,000~6,000円)の比較的安価な製品が人気。またミドルタワーやミニタワーが中心で、Mini-ITXケースを使いPCを組む人はあまり多くない。そして電源ユニットは400~550Wクラスのモデルが売れ筋。国内では余裕をもたせる人が多いが、台湾では必要な容量に合わせた製品を選択する人がほとんどだ。
PCケースや電源ユニットは比較的安価な製品が人気。またアフターサポートに定評のあるメーカーを好む傾向があるという | |
マザーボードでは、国内ではあまり見かけることのないSupermicro製品が充実しているのが印象的。ハイエンドゲーマーを中心に人気があるという |
文: GDM編集部 池西 樹
原價屋: http://www.coolpc.com.tw/