2016.06.02 02:35 更新
2016.06.02 取材
まだまだアイデアの余地はどこかに隠されているのかもしれない、そう思わせる奇妙なオールインワン水冷キットを発見したのはSilverStone Technology(本社:台湾)ブース。ひねり出したアイデアと引き換えに、なんとポンプをあんなところに隠してしまうとは。
SilverStoneブースに展示されていた、オールインワン水冷の新型「Tundra Series Liquid cooling」。ラジエター違いで240mmモデルと120mmモデルをラインナップしている |
気になるその水冷ユニットの名前は「Tundra Series Liquid cooling」。240mmラジエターモデルの「TD02-PRO」と、120mmラジエターモデル「TD03-PRO」の2モデルが展示されていた。
そこでまず気付かされるのが、ウォーターブロックが驚異的に薄いこと。一般的なオールインワン水冷のヘッドであれば約40mm程度はあろうかというところ、なんとコレが採用するウォーターブロックは最厚部で約17mmしかない。
これは主にコンパクトケースに組み込む際の利便性を追求したもので、開発陣も「取り回しが相当容易になり、小型ケースに組み込める可能性が広がる」とかなり手応えを感じている様子。ちなみに今回の話のハイライトは、それを実現するためにとったアプローチということになる。
最近の傾向として、スリム・コンパクト志向が強いSilverStone。その手のケースでも楽々取り回せるように、驚異的に薄いウォーターブロックを採用した。いったいどのような手法で実現したのだろう |
結論から言うと、このウォーターブロックには水冷ポンプがない。基本的に(デザインの差はあれど)ポンプはウォーターブロックと一体化しているのが一般的なオールインワン水冷の設計だが、いわく「薄くできる箇所がそこしかなかった」(担当者)という理由から、哀れ取り外されることになった。
もちろんポンプがなければ水冷機構自体が作動しないワケだが、なんとSilverStoneの開発陣は、行き場を失ったポンプをラジエターに埋め込むというアイデアを思いつく。一方でポンプをねじ込まれたラジエターは放熱面積が減りそうなところ、「冷却性能に関する悪影響はない」(同)らしい。
なんとポンプをウォーターブロックから追い出してしまった。逃げた先はラジエターの内部、冷却性能に影響はないというが果たして | |
ちなみにポンプと分かれたことで振動と無縁になるといった、副次的なメリットも。さらにスライドで換装できるマウンタを採用、グラフィックス向けに転用することも目論んでいる |
むしろポンプと分離したことでウォーターブロックが振動することもなく、静音化も期待できるとか。何やらいいコト尽くしのように聞こえるこの“発明品”、積極的に製品化の計画が進められているらしい。なんと、コンセプトモデルではなかったのか。
(Nangang Booth No. Exhibition Hall 1 I1009a)
文: GDM編集部 絵踏 一
SilverStone Technology: http://www.silverstonetek.com/