2016.06.07 12:25 更新
2016.06.07 取材
Phanteks(本社:オランダ)が今回最も見せたかったのは、エンスージアスト向けPCケース「Enthoo Elite」だ。間違い無く歴代「Enthoo」シリーズの中では最上位であり、これまで培ってきたもの全てが凝縮されている。売価約10万円クラスのアッパークラスPCケースをじっくり見よう。
再び登場頂くプロダクトマネージャーBoon Tuoh Khor氏の傍らにあるのが、ウルトラハイエンドPCケース「Enthoo Elite」だ。Phanteks史上類が無いアッパークラスモデルは、組み込まれた状態で展示されており、見た目にもほぼ完成版と考えてよさそうだ。
フォームファクタは、SSI-EEB(305×330mm)やE-ATXフォームファクタに対応。外装はサンドブラスト処理を施した4mm厚アルミニウムが使用され、強化ガラス製の左サイドパネルはリア側に蝶番を設けた左開き。右サイドパネルはハンドスクリューにより固定されていた。
次に外形寸法を確認すると、幅は270mm、高さは750mm。奥行きにいたっては620mmで、かなり広い設置スペースが必要になるだろう。また内部構造をスペック表からチェックすると、ドライブベイは3.5インチシャドウベイ×13段(x5 incluede)、2.5インチシャドウベイ×7段(x5 included)で、いかにもフルタワーらしい収納力は規格外だ。
冷却ファンは最大でそれぞれフロント部に140mm×4基、トップ部に140mm×3基、内部中央部に140mm×3基、ボトム部に140mm×3基、リアに140mm×1基が搭載できるという。ロングサイズのラジエターが複数同時マウント可能で、現状考えられるフルスペックPCを構築できるだけの準備ができている。
Boon Tuoh Khor氏は「Enthoo Elite」を歴代「Enthoo」シリーズを世に送り出していく中で「最終的にたどり着いたひとつの形」であると語る。なるほど組み込まれた内部をじっくり見ると、これまでの「Enthoo」シリーズで採用されていた部分が点在している。
とはいえ単なる焼き直しではなく、改良を加えつつブラッシュアップされ、じっくり煮詰められた構造である事は明らかだ。もちろん新たなアイデアを取り入れた箇所も多く見られる。次に「Enthoo Elite」ならではのメカニズムをチェックしていこう。
ボックス状のユニット(画像左)には、光学ドライブが搭載可能。この場合、トレイのイジェクトは、左サイドパネル方向になる。使用頻度が低い光学ドライブだけに、必要なユーザーのみの設置とした。また「Enthoo Elite」ではラジエターの豊富な搭載スペースが自慢。縦に4台実装されたSSDのマウントスペースも、付属のステイに付け替える事で、ラジエターが設置可能(画像右)。この場合、右サイドパネル側に装着されるフタを取り外し、排気口を”増設”する事ができる。
また広い内部容積を有効活用。ボトムマウントの電源ユニットカバー上部には、専用トレイの増設によりMini-ITXマザーボードも搭載できてしまう。1台のPCケースに2つのシステムを同時稼働できる、ヘビーユーザーの夢をかなえてくれる。
なお2つのシステムを動作させるには、電力供給の問題をクリアする必要がある。電源出力を2分配するワイヤーハーネスは以前から存在するものの、Phanteksが販売する「POWER SPLITTER」を使えば一発解決。設置用の専用ステイも用意されている。
ちなみに電源ユニットはボトム部に縦マウント。右側のエリアにも搭載スペースが設けられ、2台の電源ユニットが設置できる。ただしボトム部はラジエターの搭載スペースとしても利用可能。多彩な仕掛けは、各パーツ同士で折り合いを付ける必要があり、構成を練る段階から”脳内自作”を楽しむ事ができそうだ。
また既存モデル同様、イルミネーションはトップからフロントにかけて1ライン、さらにボトム部に搭載。フロントアクセスポート右側にはスイッチが設けられ、RGBカラーの任意変更にも対応する。
ここだけではとても紹介しきれない「Enthoo Elite」。国内発売は9月頃を予定しているという。恐らく別の機会に詳細をお届けできるだろう。今回はここまで。
文: GDM編集部 松枝 清顕
Phanteks: http://www.phanteks.com/