2016.06.07 19:00 更新
2016.06.07 取材
とかく新技術が話題になりやすいCOMPUTEXでは珍しく、やや懐かしめな仕様が評判を呼んでいたのがENERMAX(本社:台湾)の「Revolution Duo」だ。今ではほとんど見られなくなった、デュアルファン構成を採用する電源ユニット。自作歴の長い各国のメディア関係者の中でも、歓迎する声が多く聞かれたとか。
なにより信頼性を重視するユーザーに向けた、今や珍しいデュアルファン高性能電源ユニット。セミファンレスなどもってのほか、ケーブルタイプは言うまでもなく直結式だ |
電源ユニットは大口径の静音ファンが1基搭載されていて、低負荷時は回らないセミファンレスがスマート。そんなイマドキの自作傾向に逆行するような、デュアルファン構成の電源ユニットが「Revolution Duo」。最近はめっきりお目にかからなくなったものの、かつて電源ユニットといえば、複数のファンを搭載したものこそスタンダードだった。
その懐かしの仕様を復活させた本製品、ボトムにケース内からエアを取り込む100mmファン、リアに排気用の80mmファンを搭載した“DUO Flow design”を採用している。強制的に電源内部のホットエアを排出できることから、内部温度を“確実に”低く保てるのが魅力。仮にどちらかのファンが故障した場合でも、もう片方が残るという冗長性もメリットで、とにかく信頼性や冷却の安定性を求めるニーズにマッチするものだ。
ENERMAXから現行ユーザーへの提案かと思いきや、なんとユーザーから多数の問い合わせがあり、製品化に踏み切ったというモデル。セミファンレスなどの仕様とは真逆の方向性だが、市場にはそうしたニーズも根強く存在しているようだ。
電源ユニット単体で強制的にエアフローを作り出し、ホットエアをケース外に導く仕様。設計思想は昔風だが、電源の高効率(低発熱)化とファンの性能向上があり、騒音はしっかり抑えられている |
なお、物理的に2つのファンを搭載することから騒音が気になる向きがあるかもしれないが、そういった心配は無用。ファンの性能がかつてより向上したこともあり、むやみに騒音値を上げることなく効率的な排熱ができるようになったという。昔の発想と今の技術が融合した、古いようで新しいモデルと言える。
また、リアに搭載したファンは回転数の調整が可能であり、すぐ隣にコントロール用のノブを装備。「FMA(Fan-speed Manual Adjustment)technology」と名付けられたこの機能、回転数を下げても停止まではさせない仕様になっている。実に徹底したコンセプトをもつ電源ユニットだ。
リアに搭載する排気用の80mmファンは、「FMA technology」によるファンコントロールに対応。動作中にリニアに回転数を調整できる |
80PLUS認証はGOLDを取得、容量ラインナップは500W / 600W / 700Wの3モデルをラインナップする。グローバル市場向けには11月の発売が予定されており、市場想定売価はそれぞれ79.99ドル / 89.99ドル / 99.99ドルとなる見込み。
なお気になる国内販売の予定は、代理店担当によれば「まずは製品の完成が前提だが、グローバルからそれほど遅れずに発売したい」と前向きな反応。日本での発売にも期待してよさそうだ。
(Nangang Booth No. Exhibition Hall 1 I0507)
文: GDM編集部 絵踏 一
ENERMAX: http://www.enermax.com/