2016.06.09 03:51 更新
2016.06.09 取材
オープンフレームケース Thermaltake「Core P5」を使った「初音ミクPC」を多くの人が記憶しているだろう。「Core P5」の日本国内販売開始に合わせ、昨年秋葉原の主要パーツショップに展示。話題となったMOD PCだ。その「初音ミクPC」が海を渡り、「COMPUTEX TAIPEI 2016」に登場。このほど世界デビューを果たした。
台北南港展覧館のThermaltakeブース、その一画にMOD PCの展示スペースが設けられた。道行く人の足を止める、実に完成度の高い”作品たち”。その中の1台に、日本から持ち込まれた「初音ミクPC」があった。
魅せるPCケースの代表的ベースモデル「Core P5」を使い、日本で著名なModder 門馬ファビオ氏の手により制作。昨年11月にツクモパソコン本店に期間限定で展示され、MOD PCに初めて興味を持った人もいるだろう。
MOD PC人口は自作PCが盛んなアメリカやヨーロッパに多く、近頃ではアジア圏での秀作もよく目にするようになった。ちなみに昨年10月、スウェーデンのヨーロッパModdingチャンピオン、Frida“Zoyadog”Bergendal氏の来日インタビューをお届けしている。世界の自作PC市場では今、とにかくMOD PCがアツいのだ。
「初音ミクPC」について改めて門馬ファビオ氏にお話を伺ったところ、世界的にも著名なキャラクターである事から題材に「初音ミク」を選定。構想に約2ヶ月、実際の組み込みには約1週間程度を要したという。なお、もっとも苦労したのは、初音ミクのカラーに合わせて統一したクーラント液、グラフィックスカード、SSDの色調整という。
アクリルの加工には、門馬ファビオ氏と協力関係にあるPC工房 X-ZONEが担当。その完成度の高さから、各国の著名Modderの作品の中でもひときわ注目を集め、見事にBEST MODDER賞を受賞。会期中はPTEGチューブのベンディング実演デモも行われ、MOD PCの普及のために奔走したという。
その他Tt eSPORTS「Poseidon」シリーズのプロモーションとして、キーボードのMOD作品も用意。「グリーン・ランタン」をイメージしたMODキーボードの完成度も実に高く、多くの来場者がカメラに収めていた。
これに留まらず、AVEXIRブースにも門馬ファビオ氏の作品を展示。こちらは「COMPUTEX TAIPEI 2016」用に制作した”新作”。新たなスタイルを模索していたファビオ氏がたどり着いたのは、日本の漆工芸技法である「蒔絵」だった。
実に美しい外装の新作は、ファビオ氏を中心に計3名でチームを構成。アクリル部分の加工はPC工房 X-ZONEが担当。蒔絵については、発祥の地である石川県金沢市まで実際に足を運び、本物の蒔絵鑑賞にはじまり、果ては体験講座を受講。とことん研究を重ねたそうだ。ちなみに塗装はチームのミカンさんが担当。イメージに100%と言える完成度で、エアブラシによるペインティングが施されている。
企画自体は昨年12月にはじまり、着手は今年3月から。「アピールポイントは全て」と語るファビオ氏だが、制作にまつわる奮闘ぶりは、その出来映えを見れば明らかだ。
日本国内ではまだまだ発展途上のMOD PC。今回の門馬ファビオ氏による”世界デビュー”により、さらなる普及に向けて弾みが付くきっかけになったに違いない。
(一部画像提供:門馬ファビオ氏)
文: GDM編集部 松枝 清顕
Moma Garage: http://www.moma-garage.com