2016.11.03 00:01 更新
2016.11.03 取材
Synology Inc.(本社:台湾)は2016年11月2日、東京秋葉原にて新製品・ソリューション発表会「Synology 2017」を開催。同社初のオールフラッシュNASや国内初投入の高速ルーターが発表された。いずれもターゲットとなるスモールオフィス向けでは破格のパフォーマンス、そしてSynologyらしいユーザビリティを実現している。
アキバでは昨年に続き2回目の開催となった、Synologyの新製品イベント。企業の担当者が仕事上がりに参加できるように、ユーザーイベントも夕方以降のスタート。取材時点では設営準備が進められていた |
秋葉原UDX GALLERYにて、Synologyの新製品・ソリューション発表会「Synology 2017」が開催された。秋葉原での開催は昨年に続く2回目で、前回の盛況を受けてさらに規模を拡大。ユーザー参加イベントの前には、近く投入予定の新製品について、プレス向けの説明会が行われた。
ユーザーイベントに先立ち、プレスを集めて行われた新製品説明会。会場には同社の製品やソリューションの展示が行われていた |
今回のイベント開催にあたり、CEOのJames Chen氏も来日。冒頭壇上に立った同氏によれば、同社は80ヶ国を対象に累計400万台のNASを出荷しており、すでに1億人以上のユーザーを獲得。ミドルレンジNASのカテゴリにおいて、トップシェアを競うまでに成長しているという。
同社の製品は、NASをもじって「Network・Application・Storage」の3本柱をコンセプトにしており、ネットワークやストレージのハイパフォーマンスに加えて、使い勝手のいいアプリケーション開発でユーザーの高評価を獲得している。今回発表された製品・ソリューションもそのコンセプトを追求したものだった。
全世界でミドルレンジNASを中心に、豊富な出荷実績をもつSynology。海外の著名なアワードでもトップクラスの評価を受けている | |
今回のイベントに際し、同社CEOのJames Chen氏(左)も台湾から来日。なお、新製品解説は日本におけるセールスマネージャー・Willie He氏(右)が担当した |
ユーザーイベント会場では、同社のラックマウントNAS製品のデモが行われていた。画像は既存のハイエンド向け12ベイモデル「RS3617RPxs」だが、今回新たにオールフラッシュ仕様の24ベイモデルが発表された |
今回新たに発表された注目のNAS製品が、同社初のオールフラッシュモデルとして投入される「FlashStation FS3017」だ。搭載ドライブはすべてSSDで構成され、フロントにはズラリ24基の2.5インチSAS / SATA対応ベイが並ぶ。
プロセッサは6コア / 12スレッドのXeon E5-2620(最大2.5GHz)をデュアル搭載。メモリは基本構成で64GB、最大で512GBのDDR4 ECC RDIMMを実装可能という、スモールオフィス向けでは最高性能のモデルだ。4Kランダム書込最大200,000 IOPSの高速転送を誇り、これは従来のハイエンドモデルとの比較でも5倍以上高速という。また、ネットワークはチーミング動作にも対応する、デュアル10ギガビットLANポートを実装している。
現状では製品評価用のサンプルが完成しているのみで、発売予定や想定売価は未定。会場でも実機の展示はなかったものの、日本国内向けの投入も検討中のようだ。
また、Synologyお得意のアプリケーションについても新要素の「プライベートクラウドコラボレーションスイート」を発表。NAS管理ソフトの機能を拡充するもので、共有ユーザー同士でチャットできる「Chat」やOfficeソフト風のファイルを作成してシェアできる「Office」、NASユーザー以外ともやりとりできるメール機能「MailPlus」など、優れたコミュニケーション機能が統合された。
新実装の「プライベートクラウドコラボレーションスイート」。共有ユーザーでチャットやファイル経由のコミュニケーションが可能という、ユニークな機能が特徴だ | |
こちらが「Chat」の使用イメージ。「Office」では、ファイル作成・共有以外にユーザー同士でダイレクトにグループチャットを形成することも可能だ |
4×4 MU-MIMOアンテナを備え、デュアルバンド接続で2.53Gbps転送を実現する高速ルーター「RT2600ac」。同社のルーター製品としては、日本で初めて投入されるモデルだ |
また、日本向けにルーター製品として初投入されることになった、高速モデル「RT2600ac」も発表。デュアルバンドのワイヤレス接続で2.53Gbpsの帯域幅を実現、同時に複数デバイスから快適にアクセスできる4×4 MU-MIMOもサポートしている。
こちらも発売時期と価格は未定。まだ世界のどの地域でも発売されていない、ピカピカの新製品だ。
背面にはWAN×1とLAN×4、USBポートなどを実装。パフォーマンスに加えて、アプリケーションの使い勝手の良さで勝負するSynologyらしい製品だ | |
先ほどのNAS管理ソフトとほぼ同じUIを採用する。同社製NASのユーザーならスンナリ使いこなせる仕様で、新たに便利な管理機能が盛り込まれた |
また、従来のNAS管理ソフトと同感覚で使用できるグラフィカルUI「Synology Router Manager(SRM)」を採用するなど、アプリケーション分野も進化。デバイス単位で帯域幅を設定してデバイス間のプライオリティを設定できる「トラフィックコントロール」や、同じくデバイスごとにゲームやショッピングなど、カテゴリ単位で禁則事項を追加したり、使用時間の制限やアプリ帯域制限を導入できる「ペアレンタルコントロール」機能が盛り込まれている。
デバイス単位で帯域幅を設定できる「トラフィックコントロール」のほか、かなり詳細な制限設定が可能な「ペアレンタルコントロール」機能は便利そう | |
また、新製品と同時にSynologyによるパブリッククラウドの立ち上げなど、新ソリューションも発表。日本サーバーも新たに設立されることが決定した |
文: GDM編集部 絵踏 一
Synology Inc.: http://www.synology.com/