2016.11.25 10:00 更新
2016.11.25 取材
東プレ株式会社(本社:東京都中央区)は2016年11月24日、静電容量無接点方式のスイッチを採用するフルカラーイルミネーション対応キーボード「REALFORCE RGB」を正式発表した。搭載される高度な独自技術は注目度抜群、いよいよ来月にも店頭にやってくる。
高級キーボードの代名詞的存在である、東プレ「REALFORCE」の15週年の節目に新製品投入。入力の快適さや確実性を求めるユーザーの厚い支持を受け、累計で37万台出荷を達成した |
高級キーボードの「REALFORCE」シリーズを展開する東プレから、来月発売される新製品がメディア向けに正式発表された。同社の代名詞ともいえる静電容量無接点方式のスイッチを採用したシリーズ15周年のモデルにして、初のプロダクトとなるゲーミングキーボードだ。
静電容量無接点方式は、機械的な接点が存在しないことから接点不良によるチャタリングとも無縁で、圧倒的な高耐久を誇るスイッチ機構。東プレ独自の方式が完成したのは35年前のことだが、以来データセンターや金融機関など、入力の専門分野にて高い評価を受けてきた。
“フェザータッチ”と通称されるなだらかな荷重特性は、指への負担が少なく打鍵感も極めて快適。そのコンシューマ向け製品である「REALFORCE」シリーズもまた、文筆業やエンスーな自作PCマニアを中心に高い支持を受け、(最高級キーボードにも関わらず)これまで累計台数37万台の出荷を達成している。
業務用製品として静電容量無接点方式のキーボードを開発したのは、1981年のこと。コニカルスプリングのたわみで静電容量変化を読取り、ラバードームでキー荷重を個別に設定できる | |
自作ユーザーには高級キーボードメーカーとして名高い東プレだが、余談ながら板金や車用冷蔵庫、空調機器の製造なども主力事業として手がけている |
たびたびイベントに出展され話題になっていた、東プレ初のゲーミングキーボード「REALFORCE RGB」。同社初のフルカラーイルミネーション対応モデルでもある |
そして今回発表された、東プレ初のゲーミングキーボードが「REALFORCE RGB」だ。COMPUTEXや東京ゲームショウのブースレポートでも取り上げた製品で、静電容量スイッチ搭載モデルとして、初めて1,680万色のフルカラーイルミネーションに対応している。
基板上に載ったコニカルスプリングとラバードームなどで構成される静電容量スイッチは、本来LEDをそのまま組み込むことができない。そのため、面実装タイプのLEDモジュールを基板上に実装、「ハウジングなどを透過させてLEDをキレイに発光させる点に非常に苦労した」(担当者)という技術的チャレンジを経て、鮮やかなイルミネーションを実現させた。LEDモジュール実装後にも追加で検査を行うなど、従来から検査工程も増えているという。
スイッチ機構の仕様上、技術的困難をともなったRGB化。ハウジングやプランジャーはじめ完全新設計の機構で、よく見るとプランジャー形状が“例のスイッチ”によく似た十字形状になっている |
ちなみにイルミネーション機能は、複数のプリセット設定のほか、キーごとの個別設定にも対応。専用ソフトウェアを使用して、ゲームにおける使用・未使用エリアを色分けしたり、押下されたキーのみ発光するなど、使い方に合わせたカラーカスタマイズが楽しめる。
また、新たに2種類の樹脂を組み合わせる2色成型のキーキャップにより、物理的に刻印が摩耗しない。さらにキャップ形状を「一般的なメカニカルキーボードと同一形状」とすることで、市販のCherry MXスイッチ用の交換用キーキャップに対応した。
そしてイルミネーション以上の注目機能として、あの“アナログ入力キーボード”と同様のコンセプトを採用する「APC(Actuation Point Changer)」が搭載された。静電容量変化をリニアに読み取る東プレ技術の真骨頂で、なんとアクチュエーションポイントを1.5mm / 2.2mm(標準) / 3mmの3パターンに変更できる。要は入力した際に認識する“深さ”を設定できるというワケだ。
最も浅い1.5mmに設定すれば、軽めに押し込んだだけで入力が認識され、最大25%の高速入力が可能という。さらに誤入力を避けたい重要なキーは通常より深めの3mmに設定することで、多少指が触れた程度では認識しないようになる。これらの設定はワンタッチでまとめて変更できるほか、キーごとの詳細な個別設定が可能だ。
なおキーボードの基本仕様は、レイアウトが108キー(104+特殊4キー)英語配列で、全キーの同時押しが可能なフルNキーロールオーバーをサポート、押下特性(キー荷重)は45g±15g(等荷重仕様)だ。接続インターフェイスはUSB(ケーブル長1.5m)で、外形寸法W455×D142×H30mm、重量1.4kg。
また、神奈川相模原工場にて開発・設計・製造・品質管理すべてを統括する、キーボードとしては珍しい完全日本製の製品。厳格な工程による全数検査のほか、認定制の“キーボードマイスター”が指で荷重や異常を検品する「フィーリング検査」を経て出荷されるという念の入りようだ。
信頼の完全日本製。何重にも及ぶ厳格な検査工程が設けられ、最終的には“マイスター”が人の手で検品を行う | |
いよいよ発売準備完了の「REALFORCE RGB」。まずは英語配列からで、日本語配列モデルも来年発売予定だ。残念ながら、現時点でテンキーレスモデルの発売予定はないとのこと |
発売は12月9日(金)の予定で、予価は税抜28,800円。年に1,200台の出荷を見込んでおり、日本語配列モデルも2017年春~夏にかけての発売が予定されている。
さらにアクチュエーションポイントを変更できるという仕様から、キーストロークを短縮するための専用スペーサー「KEY SPACER」(予価税抜2,500円)もオプションとしてラインナップ。底打ち時の指の負担軽減と静音化が期待できる。こちらはキーボード本体から、やや遅れてのリリースになるようだ。
浅めの認識点に設定したら、底打ちしないよう挟み込みたい「KEY SPACER」。2mm厚と3mm厚の2タイプ、WASDキー部分と1キー用が同梱されている |
文: GDM編集部 絵踏 一
東プレ株式会社: http://www.topre.co.jp/