2016.12.01 00:01 更新
2016.12.01 取材
Elitegrpup Computer Systems(ECS 本社:台湾)国内正規代理店の株式会社リンクスインターナショナル(本社:東京都千代田区)は2016年11月29日、近日登場予定の新製品をお披露目するメディア向け発表会を開催した。よりパワフルに生まれ変わった第5世代「LIVA」シリーズや、カメラ機能内蔵のスティック型PCなど、ユニークな製品を早速紹介していこう。
第5世代「LIVA」シリーズこと「LIVA Z」。筐体デザインは従来の長方形から正方形に近いIntel NUC風スタイルへと変更された |
今回の新製品発表会で最大の目玉となるのが、Intelの最新SoC「Apollo Lake」を搭載する「LIVA Z」だ。ECS「LIVA」シリーズの第5世代にあたる製品で、初めてクアッドコアSoCを搭載。従来モデルの特徴だった「小型」「静音」「低価格」を継承しつつ、やや心もとなかったパフォーマンスが大幅に向上している。
「LIVA」シリーズでは初のクアッドコアモデル。4K動画再生時でもCPUの負荷を10%前後に抑えることができる |
またコンシューマーからの要望が多かったメモリ・ストレージの増設や、ビジネス・組み込み用途で要望が多かったデュアルギガビットLANなど、従来製品で得たフィードバックを元に拡張性も大幅に改善。これにより、使用用途を限定することなく、一般的なデスクトップPCと遜色ない運用が可能になるという。
コンシューマ向けだけでなく、ビジネス・組み込み向けでの採用例も多い「LIVA」シリーズ。本モデルではRealtek製デュアルギガビットLANを備える |
製品ラインナップはPentium N4200(4コア / 定格1.10GHz / バースト時2.50GHz / キャッシュ2MB / TDP6W)の上位モデルと、Celeron N3350(2コア / 定格1.10GHz / バースト時2.40GHz / キャッシュ2MB / TDP6W)の下位モデルの2種で、いずれもOS非搭載とWindows 10 Home 64bitプリインストールモデルが用意される。
歴代「LIVA」シリーズとのベンチマーク比較。初代モデルからパフォーマンスは2倍弱向上している |
その他スペックは共通で、冷却はパッシブヒートシンクによるファンレス駆動、メモリはDDR3L 4GB(SODIMM×2 / 最大16GBまで)、ストレージはeMMC 32GBで、M.2 2242スロット×1を標準装備。ネットワークはRealtek製ギガビットLAN×2、IEEE 802.11ac無線LAN、Bluetooth 4.0に対応する。
ディスプレイ出力はHDMI1.4b×1(4K / 30Hz)、miniDisplayPort×1(4K / 60Hz)の2系統で、SoC内蔵のハードウェア再生支援機能により4Kの高解像度環境でも遅延のない動画再生が可能。インターフェイスはUSB3.0 Type-C×1、USB3.0×3、3.5mmコンボジャック×1を備え、これまで通りVESAマウンタを使えばディスプレイ背面への設置に対応する。
製品の解説を担当した岡山 偉信氏(画像左)と阪口 貴紀氏(画像右)によれば、「LIVA Z」は単なるプロセッサのアップグレードに留まらず、ユーザーの声を可能な限り反映した製品に仕上げられているとのこと |
国内発売はCeleron N3350モデルが2017年1月上旬予定で、予価はOS無しが税込23,800円、有りが税込26,800円。Pentium N4200モデルは1月以降発売予定で、予価はそれぞれ税込29,800円と税込32,800円。
産業向けのバリエーションモデル「LIVA Z-E」 |
「LIVA Z」のバリエーションモデルとして、底面部にCOMポート×4と2.5インチドライブベイモジュールをスタックした産業向けモデル「LIVA Z-E」も展示。こちらは受注ベースでの販売で、今のところ一般販売の予定はなし。またプロセッサはApollo Lakeから、オンボードストレージはeMMC 32GBまたは64GBから選択できる。
COMポートは両側面に各2ポート、計4ポート搭載。ちなみにバックパネルインターフェイスなど、ベースとなる部分に変更はない |
フロント部分に200万画素のWebカメラを搭載するスティック型PC「Smart Camera」 |
HDMI端子に接続するスティック型PCは、Intelをはじめ多くのメーカーから既にリリースされているが、ECSは世界初のカメラ付きモデル「Smart Camera」を近日発売予定。Windows 10と連携した顔認証ソリューションや、遠隔地をつなぐネットミーティング、デジタルサイネージ、防犯用定点カメラなどの運用を想定しているとのこと。
なお台湾のセブンイレブンでは、本PCのカメラ機能を使い顧客の性別と年齢を判別。その情報を元に、顧客に合わせた最適なインスタント広告を表示するデジタルサイネージシステムの運用が既に開始されている。
会場では「Smart Camera」をベースにした、Windows 10による顔認証システムのデモが行われていた |
搭載プロセッサはAtom x5-Z8300(4コア / 定格1.44GHz / バースト時1.84GHz / キャッシュ2MB)、メモリはDDR3L-RS 2GB(1,600MHz)、ストレージはeMMC 32GBで、ネットワークはIEEE 802.11ac無線LANとBluetooth 4.0に対応。インターフェイスはHDMI1.4×1、USB3.0×1、USB2.0×1、給電用microUSB×1、冷却は空冷ファン付きヒートシンクで、OSはWindows 10がプリインストールされる。
フルサイズのUSB3.0とUSB2.0を搭載するなど、拡張性も良好。なお冷却システムはファン付きのためマイクは非搭載 |
会場には文教向けの2-in-1タブレットPCの新モデルとして、「小学生用タブレット (EG20BA)」と「お絵かきタブレット (TE10EA3)」も展示されていた。
耐衝撃性に優れる文教向け2-in-1タブレットPCとして、最新モデル2種を展示 |
「小学生用タブレット (EG20BA)」は360°回転ヒンジを採用する11.6型モデルで、CPUはCeleron N3000またはN3010、メモリはDDR3L 2GB / 4GB、ストレージは320GB HDD、500GB HDD、128GB SSDから選択可能。ネットワークはIEEE 802.11ac、Bluetooth 4.0で、IP5X等級の防塵性能と高さ50cmからの落下に耐えられる耐衝撃性を備える。なお発売日や価格は未定。
「小学生用タブレット (EG20BA)」 | 「お絵かきタブレット (TE10EA3)」 |
「お絵かきタブレット (TE10EA3)」は、ゴリラガラスとワコムの電磁誘導デジタイザペンを採用する10.1型モデル。CPUはAtom x5-Z8300、メモリはDDR3L 4GB、ストレージはeMMC 32GBまたは128GBから選択可能。ネットワークはIEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2で、IP52等級の防塵・防沫性能と高さ50cmからの落下に耐えられる耐衝撃性を備える。国内発売は2017年2月末予定で、予価はeMMC 32GBモデルが税込43,800円、eMMC 128GBモデルが税込58,800円。
ECSでは腕時計型のウェアラブル端末「Smart Campus」を使用した、学校向けIoT / ICTソリューションを開発中。展示されていたのはモックのため動作しないが、学校内に設置されたセンサーとBluetoothを介して通信をして、子供の状況を確認できるようになるという |
文: GDM編集部 池西 樹
株式会社リンクスインターナショナル: http://www.links.co.jp/
Elitegroup Computer Systems(ECS): http://www.ecs.com.tw/