2017.03.12 00:00 更新
2017.03.11 取材
ROSSO(赤)とNERO(黒)を纏ったスタイリッシュなケーブルを作る、エスエスエーサービスとはオレたちのこと。密かにサプライ業界の天下を狙うアキバのケーブル屋さんが、ケーブルの魅力を解説する「はじめてのケーブル道」。今回は、「急速充電ケーブル」の話題の一環として、我が道をいく「アップル独自の充電方式」について語りましょう。身近だけど意外に知らない、奥深いケーブルの世界を“その道のプロ”がご案内します。
どうもこんにちは、ROSSO(赤)とNERO(黒)のカッコいいケーブルでアキバでもお馴染み、エスエスエーサービスの担当Tと申します。毎日使っているけれど、意外に知らないことが多いケーブルの世界。今回は「急速充電ケーブル」の第3弾、iPhoneやiPadで使われている「アップル独自の充電方式」についてお話しようと思います。前回ご紹介した「USB BC」と似た方式が使われているんですが、内部的には別物。Windows PCのUSBポートだと急速充電が有効にならないのに、Macからの場合は有効になったりと、アップル製品に特化した独自の規格になっているんです。
アキバのケーブル屋さんが、知られざるケーブルの世界を解説してくれる「はじめてのケーブル道」。今回は、謎や決まりごとの多い優等生的な「アップル独自の充電方式」を紹介するぞ |
そもそもなんで普通のWindows PCのポートでiOS端末の急速充電が有効化されないのか、細かい理由については公表されていません。ただ各結線で複雑な抵抗値の管理がされているようで、Macに繋いだ場合は抵抗値を計測・認証することで給電しているんだと思います。別にWindowsを敵視しているとか、そういった剣呑な理由ではないでしょう(笑)。電流値については、ACアダプタを見る限り最新モデルで最大5V/2.4Aに対応しているようですね。
こちらはiPad向けのUSB-ACアダプタ。各結線ごとに抵抗を計測・認証するなど、アップル製品同士の親和性を意識した仕様になっている模様。MFi認証も取得にさまざまな条件があるが、それにもちゃんと理由がある |
そしてiPhoneはもちろんのこと、iOS端末は総じて保護回路を持っていて、端末側で定められた値以上の電力は入力されない仕組みになっています。3Aで給電したからといって、純正の3倍のスピードで充電できるわけではない、ということですね。
もっともACアダプタやモバイルバッテリーを使った充電の場合、基本的にはアップル製品への対応と1A以上の出力が明記されていれば、iOS端末の急速充電が可能です。むしろ面倒なのはケーブルの方で、非認証ケーブルの場合は満足に速度が出ないものもチラホラ。MFi認証を取得する場合は、ケーブルの太さだったり抵抗だったりと決まりごとが多いんですけど、それにはちゃんと理由があるというワケですね。
ちなみに我らエスエスエーには、Lightningケーブルの取り扱いはありません。絶好の機会にご紹介できず残念です(笑)。
Lightningケーブル自体はないけれど、LightningをMagsaf化できるマグネットコネクタ「SLTM-LTFS」はオススメ。手軽に脱着できるほか、コネクタカバーとしての役目も担ってくれる |
しかし何かと優等生かつ謎が多い規格でして、アップル方式というのはケーブル屋にとってはあまり面白みがありません。ピンアサインも公表されていませんし、そもそもこんなに目が詰まった金属端子がむき出しなLightningを見ていると、たまに不安になります(笑)。
ただこの心配も単なる杞憂ではなくて、扱い次第では面倒な事態を引き起こす場合があります。端子が汗などで腐食してしまったり、サビができた時がそれですね。サビは抵抗の役割を果たしてしまうので、充電効率が落ちたり接触不良を起こす原因になります。腐食してしまった場合も大変で・・・実はこの間、私も所有のiPhone 7を腐食が原因でショートさせてオシャカにしてしまいました(泣)。もしLightningに腐食やサビを見つけたら、大事になる前に適切にお掃除してあげる必要があるでしょう。
さて、急速充電の中でも我が道をいく「アップル独自の充電方式」のお話はこれまで。次回の「はじめてのケーブル道」では、また別の規格についてご説明しましょう。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社エスエスエーサービス: http://ssa.main.jp/