2017.06.01 02:01 更新
2017.05.31 取材
Mini-STXフォームファクタのベアボーン「DeskMini」が大ヒット、たちまちコンパクトPC分野の成功者になったASRock Incorporation(本社:台湾)。もちろんCOMPUTEXに合わせて新モデルを用意していたのだが、これが実にとんでもないモンスターだった。
Mini-STXは小型PCとして優秀だけど、もっとパワーとストレージが欲しい。新型「DeskMini」は、そんなリクエストから生まれた新規格のMicro-STXを採用している |
Mini-ITXより小さくNUCよりパワフルという、小型PCフリークに大ウケしたMini-STXフォームファクタの「DeskMini」は、そのサイズ感と圧倒的なコストパフォーマンスが魅力だった。わずか1.92リットルの筐体にデスクトップCPUを搭載、それ以外は必要最小限に留めるという思い切った仕様。ところがASRockが今回持ち込んできた新モデルは、それとはまったく異なるコンセプトを追求したものだ。
ほぼ同じようなサイズ感でディスクリートのグラフィックスカードが使いたい、もっとストレージを積み込みたいという、ムチャなリクエストに対応。フォームファクタは、Mini-STXを2インチ延伸させた最新規格のMicro-STXを採用した。
これにより筐体は2.7リットルへと大型化したものの、なんとこのサイズでGeForce GTX 1080が搭載可能という、超ハイエンド構成が可能になった。さらにM.2 SSDのトリプル実装までできるというから、往年のASRockを思い起こさせる“変態仕様”のマシンといえる。
搭載されていたマザーボードは、Intel Z270チップセットの「Z270M-STX MXM」。もちろんこのサイズでは通常のグラフィックスカードを組み込むのは不可能なため、ノートPC向けのMXM(Mobile PCI-Express Module)規格の拡張スロットが用意されている。そしてMXM規格のグラフィックスカード自体が市販されていないため、「あらかじめグラフィックスカードが組み込まれたベアボーン」という形態で販売されるようだ。
選択できるグラフィックスカードは、GeForce GTX 1080/GTX 1070/GTX 1060、Radeon RX 580/RX 570/RX 560(GPU非搭載モデルも選択可)と、パフォーマンスは申し分なし。CPUはTDP最大65Wまで対応するため、Core i7-7700も搭載できる。
さらにストレージはPCI-Express3.0(x4)インターフェイスのUltra M.2スロット×3に加え、特殊コネクタでSATA3.0(6Gbps)×2も搭載可能。ハイエンド構成のデスクトップマシンと並べても、まったく遜色ないPCが出来上がってしまう。
さらに額面上のスペックだけでなく、インターフェイスも超優秀だ。ネットワークはIntelチップのギガビットLANを備えるほか、無線LANモジュールの組み込みも可能。画面出力は、DisplayPort×1、miniDisplayPort×1、HDMI×1の最大3系統で、USB Type-CポートをはじめUSBポートも複数装備。電源は搭載GPUに合わせ、90W~270WのACアダプタが用意される。
このサイズ感でモンスタースペックが組める新生「DeskMini」。側面メッシュで通気性はかなり良好だが、フルロード時はCPU・GPUともに70℃、クーラーもかなり頑張っている |
現状では、早ければ8月にも発売できるらしい。ただしグラフィックスの換装が不可能なことから、ショップでの全力展開はやや難しいかもしれない。価格面でも、コスパ重視だったかつての「DeskMini」とは似ても似つかない、かなりプレミアムなプライスになると思われる。
実際ASRockも「限られた環境で可能な限りのパフォーマンスを求めるような、特別な法人ニーズを見込んでいる」と考えている模様。果たしてこの規格外な“モンスターベアボーン”を店頭で目にする機会はあるだろうか?
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
ASRock Incorporation: http://www.asrock.com/
COMPUTEX TAIPEI 2017 記事一覧: https://www.gdm.or.jp/computex2017/