2017.06.04 10:18 更新
2017.06.04 取材
ENERMAX(本社:台湾)の新作オールインワン型水冷ユニット「LIQTECH II」は、デュアルポンプ仕様の変わり種。なぜ2つもポンプが必要なのか、その理由を教えます。
ENERMAXのオールインワン型水冷ユニットと言えば、2013年11月に検証を行っている。「LIQTECH 120X」を2つ用意し、1つを分解。その構造をチェックした。
そして今回の「COMPUTEX TAIPEI 2017」では、後継機種にあたる「LIQTECH II」シリーズを発表。ウォーターブロックとラジエター、それぞれに”ひと工夫”を施し、発売に向け鋭意スケジュールは進行しているという。ではどのように進化しているのか。
「LIQTECH II」最大のトピックは、ポンプを2基搭載する点にある。一般的なオールインワン型水冷ユニットは、ウォーターブロック一とポンプが1つのユニットとなり、ラジエターへクーラント液を送り込む”循環”サイクルを作り上げている。その役割はまさに「心臓」であり、冷却機器として最も重要なパーツと言えるだろう。
これをラジエターにも取り付け、デュアルポンプ仕様としたのが「LIQTECH II」シリーズだ。製品化されれば、これまで例が無い初のデュアルポンプ水冷となるワケだが、なぜコルゲートフィンの一部を削ってまでポンプを取り付けているのだろうか。
通常DIY水冷ですら、シングルポンプで運用するワケだが、その疑問を担当者に投げかけてみたところ、その理由は少々意外なところにあった。
多くの人は「2倍のポンプ能力でパワフルな水流を得るため」と考えるだろう。しかし「LIQTECH II」のデュアルポンプは、片方のポンプが故障した場合でも駆動冗長により、冷却停止に陥らないフェイルセーフが主眼に置かれているという。なんとも用心深いオールインワン型水冷ユニットだが、常時駆動が前提というシステムに取り付ける場合、より安全な選択のひとつにはなり得るだろう。必ずしも必要ではない事を製品化させる点に、「LIQTECH II」の存在意義がある。
そしてもうひとつは、イルミネーションギミックだ。ポンプ一体型ウォーターブロックのヘッド部には、ENERMAXのロゴがあり、これがRGBカラーに発光する。それだけなら珍しくはないが、手をかざすと発光色が変更ができる仕掛けになっている。物理スイッチやソフトウェアを介さずに操作できるとは、なかなか便利な機能だ。
さらにラジエターの側面のENERMAXロゴも発光し、ラジエター側のポンプが故障すると「消灯」または「色が変わる」という(どちらになるかは現在検討中)。
ラインナップはラジエターの長さ違いで240mmサイズ(119.9ドル)、280mmサイズ(129.99ドル)、360mmサイズ(139.99ドル)の3種類。なおラジエターの枠部分の色はレッドの1色展開。TDPは最大400Wまでのサポート。AMD RyzenおよびIntel LGA 2066のサポートも明記されていた。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
ENERMAX: http://www.enermax.com/
COMPUTEX TAIPEI 2017 記事一覧: https://www.gdm.or.jp/computex2017/