2017.06.26 00:00 更新
2016.06.26 取材
ROSSO(赤)とNERO(黒)を纏ったスタイリッシュなケーブルを作る、エスエスエーサービスとはオレたちのこと。密かにサプライ業界の天下を狙うアキバのケーブル屋さんが、ケーブルの魅力を解説する「はじめてのケーブル道」。今回は、接続端末を自動認識してスマートな急速充電を行う「PowerIQ」について語ります。身近だけど意外に知らない、奥深いケーブルの世界を“その道のプロ”がご案内しましょう。
どうもこんにちは、ROSSO(赤)とNERO(黒)のカッコいいケーブルでアキバでもお馴染み、エスエスエーサービスの担当Tと申します。毎日使っているけれど、意外に知らないことが多いケーブルの世界。何やら前回からそれなりに間が空いてしまいましたが(笑)、今回は「急速充電ケーブル」の第5弾として「PowerIQ」を取り上げようと思います。「Quick Charge」のようにICチップで出力を制御しつつ、まったく異なるアプローチで高速充電を行う技術ですね。この名前はAmazonなどで人気のAnker社製品で使われているものですが、他社製品でも似たような機能をよく見かけます。おそらく類似のコントローラが広く出回っているんでしょう。
アキバのケーブル屋さんが、知られざるケーブルの世界を解説してくれる「はじめてのケーブル道」。今回は、独自に接続端末を認識して最適給電を行う「PowerIQ」を紹介するぞ |
一部のモバイルバッテリーやUSB充電器が搭載しているこの方式ですが、それら電源機器側に電流値を制御するICチップが内蔵されています。そして接続された端末をチップが認識、最大5V/3Aまでの範囲から充電できる最大値を割り出して供給するという、スマートな仕組みです。最大値の判定には電源供給結線を使っているので、「Quick Charge」と違ってデータ線を使いません。つまり充電専用の従来型な急速充電ケーブルが、そのまま使えるというワケですね。
安価ながら信頼性に定評がある、Ankerのモバイルバッテリー。こちらは担当T氏が公私ともに活用しているモデルだが、出力ポートが「PowerIQ」仕様になっている |
一番のメリットは、接続機器に合わせて出力を最適化できるので、「Quick Charge」非対応の機種(iOS機器含む)でも充電速度が出やすいという点でしょう。Ankarの場合でも、一般的な充電器やバッテリーに比べて、50%以上の高速充電を謳っています。
もっともUSBの定格である最大1.5A(microUSBでは最大1.8A)以上の電流を流すワケですから、電源やケーブルでロスが発生します。そのおかげで、やや発熱しやすいのがデメリットということになるでしょうか。
端末それぞれの最大効率で充電できるため、QC非対応のiPhoneでも効果的。純正ACの出力は5V/1Aだが、iPhone 7を「PowerIQ」で充電すると、5V/1.8A前後まで出力がアップしていた |
ちなみに電源と端末が相互通信する「Quick Charge」と違って、電源側が一方的に電流値を算出して判断している都合上、端末側に保護回路は要求されません。そのため、仮に保護回路がない端末が電源のスペックを大きく上回る電流値を要求した場合は、給電システムが自動でシャットダウンする仕組みになっています。
さらにAnker製品(ACアダプタなど)は各ポートにヒューズを持っていて、シャットダウンが間に合わない場合はヒューズを飛ばして電源を保護する備えもアリ。ヒューズも現行品は再利用できるリセッタブルタイプを採用していますから、しばらく時間を置けば普通に使えるようになります。要するに、保護回路を持たないようなスマホ以外の古めの端末であっても、「PowerIQ」は早く安全に充電できるということですね。
「PowerIQ」のスペックを活かすには、ケーブルも大容量対応モデルを選びたい。これまでに紹介した2.4A対応ケーブルのほか、頑丈な蛇腹シールドが人気の「SU2-MC100SJ」もオススメ。2.4Aの入出力が可能で、「Quick Charge」にも対応している。 |
さて、機器を問わずお手軽にスマートな急速充電ができる「PowerIQ」のお話はこれまで。次回の「はじめてのケーブル道」では、また違うエピソードをご紹介しましょう。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社エスエスエーサービス: http://ssa.main.jp/