2017.07.06 00:00 更新
2017.07.06 取材
ROSSO(赤)とNERO(黒)を纏ったスタイリッシュなケーブルを作る、エスエスエーサービスとはオレたちのこと。密かにサプライ業界の天下を狙うアキバのケーブル屋さんが、ケーブルの魅力を解説する「はじめてのケーブル道」。今回は「急速充電ケーブル」の番外編として、充電しているのに全然回復しない「充電しているフリ」について語ります。身近だけど意外に知らない、奥深いケーブルの世界を“その道のプロ”がご案内しましょう。
どうもこんにちは、ROSSO(赤)とNERO(黒)のカッコいいケーブルでアキバでもお馴染み、エスエスエーサービスの担当Tと申します。毎日使っているけれど、意外に知らないことが多いケーブルの世界。これまで「急速充電ケーブル」の話題でお伝えしてきたように、どの方式でも環境や機器に応じたケーブルをチョイスする必要があります。それができないと発熱などのロスが発生するワケですが、それ以外に「寝る前に充電器に挿したのに、朝になっても充電されていない・・・」というような経験はありませんか?充電のインジケータはしっかり点灯しているのに、バッテリーは空っぽ。いわば端末が「充電しているフリ」をしていたという、そんな状態です。
アキバのケーブル屋さんが、知られざるケーブルの世界を解説してくれる「はじめてのケーブル道」。今回は、充電しているはずなのに全く充電されていない・・・という現象から、ケーブルの大切さを考えます |
最近のスマホ・タブレットは、高機能化にともなって消費電力も大きくなりがちでして、半ば当たり前のように急速充電を要求する機器も増えています。今回ご用意した「Surface 3」もその手合いで、純正アダプタの仕様はなんと5.2V/2.5A。それを異なる仕様のケーブルを使って、充電の状況をモニターしてみようと思います。
標準で5.2V/2.5Aの給電を要求する「Surface 3」。必ずしも手元に純正アダプタがあるとは限らないが、この手の端末は環境の変化で充電状況はどう変わってくるのだろうか |
ウチの製品の中でも最も抵抗が高いと思われる、充電・転送両対応で3mというロングケーブル「SU2-MC300NR」では、5V/1.2A前後の充電。一応インジケータが点灯してはいますが、よくよくWindows上で確認すると「充電していません」と表示されていますよね。まさに“充電しているフリ”な状態で、当然このまま放置してもバッテリー残量は変わりません(むしろ減っていきそう)。3mフル結線で5V/1.2Aが出ているワケですから、ケーブルとしては優秀といえる結果ですが・・・「Surface 3」の充電用には、明らかに向いていないと言えます。
低出力での充電環境を想定し、最も抵抗の高いであろう3mの充電・同期ケーブル「2.SU2-MC15R」をチョイス。一応インジケータは点灯しているものの、実際には「充電していません」という状態だ |
さらに対極の環境として、2.4A対応かつ15cmという、急速充電に最適化されたケーブル「2.SU2-MC15R」ではどうなるでしょう。チェッカーを見るとしっかり5V/2.45A前後で充電されていて、Windows上でも充電完了の見込み時間が表示されています。ほぼ純正アダプタで要求されている仕様で充電できているので、「Surface 3」の充電環境としては申し分ありません。
もうお分かりかと思いますが、前者の場合は機器の消費電力を供給電力が下回っているので、まったく充電されない状態になっています。仮にインジケータが点灯していても、ケーブルの選択一つで充電状況は大きく変わるというワケですね。
最も低抵抗な急速充電向きのケーブル「2.SU2-MC15R」で接続したところ、しっかり充電要求を満たす環境で充電中。充電完了見込みも表示されている |
それと出力以外に、ケーブルの抵抗が高い場合は、かなり発熱してしまう場合があるので要注意。材質にもよりますが、芯が細ければ細いほど抵抗が高くエネルギーロス(発熱)も多く発生します。極細ケーブルや巻取り式ケーブルは携帯に便利ですが、充電性能をフルに活かしたい場合は、できるだけ太めのケーブルを使うのが望ましいですね。
似たようなケーブルでも、仕様一つで充電状況はガラリと変わる。急速充電環境なら、使われている芯線も太めのものがベターだ |
ちなみに余談ですが、ケーブル芯線の規格で、「米国ワイヤゲージ規格(AWG)」というものがあります。表記にすると「28AGW/1P + 28AWG/2C」といった具合で、まぁ普通はまずお目にかかることはないですよね(笑)。この末尾/1P(またはX1P)が通信結線、末尾/2C(またはX2C)が給電結線を意味していて、数字が小さいほど芯線が太く抵抗(シールド含まず)も小さくなります。
一般的にはUSB2.0で「28AWG/1P + 20~28AWG/2C」、USB3.0で「28~34AWG/1P + 20~28AWG/2C」くらい。一方で我らSSA製品の場合は、急速充電対応ケーブルで約「21~22AWG/2C」相当、充電・転送ケーブルが約「28AGW/1P + 22AWG/2C」相当と、高品質なケーブルを使っているんです。だからSSAのケーブルを使っていれば安心!(笑) 物によってはシールド表面に印字があったりするので、参考にしてみてください。
実はケーブルの芯線には、「米国ワイヤゲージ」という業界標準規格もアリ。SSA製品は特製のため表示がないものが多いが、無垢のケーブルの場合はこうした表記を見かけることも |
さて、全6回にわたってお届けした「急速充電ケーブル」のお話はこれまで。次回の「はじめてのケーブル道」では、ケーブルにまつわる別な話題をご紹介しましょう。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社エスエスエーサービス: http://ssa.main.jp/