2017.10.23 00:00 更新
2017.10.23 取材
ROSSO(赤)とNERO(黒)を纏ったスタイリッシュなケーブルを作る、エスエスエーサービスとはオレたちのこと。密かにサプライ業界の天下を狙うアキバのケーブル屋さんが、ケーブルの魅力を解説する「はじめてのケーブル道」。ケーブルに欠かせない「USB(Universal Serial Bus)」のすべてを振り返る「USB全史」の第3回は、大いなる革新とともに登場した最新コネクタの「Type-C」を取り上げます。
どうもこんにちは、ROSSO(赤)とNERO(黒)のカッコいいケーブルでアキバでもお馴染み、エスエスエーサービスの担当Tと申します。「USB全史」と題した連載もはや3回目ですが、実はこれまでの2回でいくつか宿題を残してきました。それというのも、現在の市場における最新規格である「USB 3.1」は、その規格化に前後して大きな革新がいくつもあったからなんです。全部入れるとボリュームが大変なことになってしまうので、細かい部分については別回でやろう・・・と、後回しにしてきたワケですね(笑)。まず「USB 3.1」とは切っても切り離せない、最新コネクタの「Type-C」から話を進めていきましょうか。
USB規格をざっくり解説する「USB全史」、第3回は革新のコネクタ「Type-C」だ。サイズはモバイル向けのmicroUSBとほぼ同じだが、後述の安全機構を組み込む関係上、樹脂部分は大型化している |
最近はスマホにも軒並み採用が進んでいて、すっかりお馴染みになりつつある「Type-C」。USB Implementers Forum(USB-IF)によって「USB 3.1」と同時期に規格化が進められたコネクタでして、最大の特徴は正式なUSB規格では初となるリバーシブル仕様です。いわゆる両面挿しに対応したおかげで、向きを気にせず挿せるようになりました。
一般的にリバーシブル仕様は耐久性の面で不利になるワケですが、見た目にも頑丈な「Type-C」は、抜き差し耐久10,000回とmicroUSBの水準を維持。さらに両面挿しになったこともあり、ピン数は従来の9本から12+12の24本へと大幅に増加しました。これは「USB 3.1」の全機能を有効に使うために必要な拡張であるのはもちん、将来性を確保するためでもあります。すでにドラフト版が発表されている次世代の「USB3.2」は、この24結線をフル活用した高速規格になるそうですよ。
片面12本+アースの合計13本の結線が並んだ、「Type-C」メスコネクタのブレークアウト基板。「USB 3.1」の全機能を有効に使うため、従来の9pinから拡張された |
それとこれまでのUSB規格では、一応ホスト(A型)とデバイス(B型)向けにコネクタが分けられていましたよね。それが「Type-C」では、ついにホストとデバイスで共用になりました。従来のあらゆるType-AとType-Bをこの「Type-C」が置き換えるという、USBコネクタ最大級の革新が「Type-C」というワケなんです。
「USB 3.1」と同時期に策定された「USB Power Delivery」は、なんとUSBケーブル1本でノートPCの駆動が可能になった。もちろん使用するには、Pin数が拡張された「Type-C」コネクタが必要になる |
ときに「Type-C」といえば、2015年発売の12インチ版「MacBook」で給電コネクタに採用されて大きな話題になりました。これは「USB 3.1」や「Type-C」の規格化と同時期に策定された、拡張規格の「USB Power Delivery(USB PD)」に対応した結果です。供給可能な電力は(対応機器に限り)なんと最大100W!USBコネクタ1つで、フルサイズのノートPCに充電・給電できるようになったんです。
なお余談ですが、USB PDによる大電力供給や前述のホスト・デバイス両対応に伴いまして、Type-Cケーブルにはコネクタ内に一定の抵抗を使用するよう定められています。デバイスの方向性や給電限界の判定に使用するためで、「USB2.0 A to type-C」または 「USB3.1(3.0) A to type-C」定格では56kΩ(5V/500mA)、「USB3.1(3.0) A to type-C」の急速充電対応版では22kΩ(5V/1.5A)、10kΩ(5V/3.0A)といった具合ですね。端末側の要求で、充電機器が過大な電力を出力して壊れてしまう・・・なんて危険を防ぐためにも、必要な仕様なんですよ。
「Type-C」では大出力のやり取りも多いことから、非対応機種を交えた運用を想定して抵抗が組み込まれている。こちらはUSB2.0準拠のQC対応ケーブル「SU2-TC100R」(税込750円)。20cmと200cmもラインナップしている |
そして「Type-C」を語る上で欠かせないのが、「オルタネートモード」のサポートです。平たく言えばUSB以外の信号を流す機能のこと。Thunderbolt 3との組み合わせで、DisplayPortやHDMI、PCI-Expressの信号をやり取りできるという、文字通りUSBの枠を超えたコネクタになりました。小型かつ高耐久で、高速転送・高速充電をサポート、さらにホスト機能に映像、音声出力もこなす・・・「Type-C」って、実にとんでもなく多機能なコネクタですよね。
Type-Cケーブル屈指の人気モデル「SU2-TC100SJ」(税込980円)。断線に強い金属シールドを採用、絡みにくいので持ち運びにも便利。デスクでは、磁石を張り付けてまとめておくのがオススメだ | L字コネクタを採用した「SU2-TCL20ALL-P」(税込898円)も需要アリ。右L/左L/ストレートをラインナップ、モバイルバッテリーとスマホの重ね持ちなどに便利だ |
さて、「Type-C」について特集した「USB全史」の第3回はここまで。次回の「はじめてのケーブル道」では、「USB 3.1」と「Type-C」の拡張機能について、さらに掘り下げてみましょう。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社エスエスエーサービス: http://ssa.main.jp/