2017.12.12 23:00 更新
2017.12.12 取材
AMD(本社:アメリカ・カリフォルニア州)は12月12日(現地時間)、グラフィックスドライバの最新版となる「Radeon Software Adrenalin Edition」を公開した。これに先立ち、都内でメディア向け発表会を実施。初のモバイル向けアプリケーション「AMD Link」など、新たに追加された新機能を確認しておこう。
恒例となっている年1回のメジャーアップデートで公開された「Radeon Software Adrenalin Edition」(以下:Adrenalin Edition)は、従来の「Radeon Software Crimson ReLive Edition」(以下:Crimson ReLive Edition)の後継となる最新グラフィックスドライバ。2年間続いた“Crimson”の名称がなくなり、艶やかな赤いバラ「アドレナリン・ローズ」にちなんだAdrenalin Editionが新たに採用された。
「発表前から、名称についてはさまざまな憶測が流れていた」と語るGlobal Head of VR & Software MarketingのSasa Marinkovic氏 |
メジャーアップデートではないが、今年7月に公開された「Radeon Software Crimson ReLive Edition 17.7.2」では、「Enhanced Sync」のサポートや、「Radeon ReLive」「Radeon Chill」に機能を追加したアップデートが行われている。今回登場したAdrenalin Editionでは、「ゲーマーを繋ぐ」をコンセプトに、さらにゲーム向け機能が強化されたのが特徴だ。
Adrenalin Edition導入のメリットとしてまず語られたのが、「最大で約20%向上」が見込めるという対応ゲームタイトルのパフォーマンス向上。また、2017年から本格的に取り組んでいるというレイテンシ(遅延)の低下も、主要タイトルで軽減されているという。
Crimson ReLive EditionとAdrenalin Editionの比較。ゲームタイトルにもよるが、「Prey」や「PROJECT CARS 2」では20%近いパフォーマンス向上 | レイテンシ(遅延)の低下について。「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」でもその効果はしっかりと出ているようだ |
さらに興味深いのが「Compute Profiles」に追加された新規のオプション。仮想通貨のマイニングを行う場合に選択するとワークロードを最適化。例えばRadeon RX 570(GDDR5 4GB)使用時、Ethereumではハッシュレートを15%改善したという。
マイニング用にRadeonを購入したという人にとっては注目の機能の「Compute Profile」 |
ゲームをする「Gaming Profile」とマイニングを行う「Compute Profile」で何が違うのか。その質問には答えられない「企業秘密だ」(笑)と語る、Software Strategy Senior Manager, Software EngineeringのTerry Makedon氏 |
Adrenalin Editionの公開に合わせて登場する「Radeon Software for Linux」「AMD Vulkan Open-Source Driver」 |
Adrenalin Editionにおいて基本となる4つの機能「Radeon WattMan」「Radeon Chill」「Enhanced Sync」「Radeon ReLive」は、従来のCrimson ReLive Editionから変わらない。細かいアップデートについては下記のスライドを参照してほしい。
電力管理ユーティリティ「Radeon WattMan」。GPUやメモリクロック、ファン回転数や温度等の管理が可能。さらに、設定の保存や共有が可能になった。これにより、人気ゲーマーの設定と同じ環境でゲームを楽しむことができる |
ゲーム内の動きに応じてフレームレートを動的に調節し、合理的に電力消費を抑える「Radeon Chill」。当初こそ30タイトルのサポートに留まっていたが、現在は「ほぼすべて」のタイトルに対応するという |
2017年7月に実装されて以降、一番人気の機能というAMD独自のディスプレイ同期技術「Enhanced Sync」。GCNアーキテクチャのGPUであればすべてサポートされるため、比較的古いGPUにも対応。ノートPCやM-GPU、Vulkanもサポートされる |
そんな中、大幅にアップデートが加えられたのがゲームの録画や配信機能「Radeon ReLive」だ。新たに「Connect」と呼ぶタブを追加。メニューには「Gallery」「Accounts」「Resource Center」が用意され、ゲーム配信に優れた便利な機能が追加された。
「Gallery」では、ゲーム中のスクリーンショットを表示。SNSでシェアすることができる。また動画の編集も可能 | SNSのアカウント管理をする「Accounts」。TwitchとYouTubeなど日本のユーザーおなじみのものから中国のメジャーなプラットフォームもサポート |
Radeonの最新情報が提供される「Resource Center」。メーカーによる最新機能の紹介動画などが用意される予定 | ストリーミングした動画についてはユーザー同士がチャットをオーバーレイ表示で楽しむことができる |
フルスクリーンのみのサポートから文字通りサイズ制限なしのボーダレスサポートに | ストリーミング中に自分の背景を変更できる「Chroma Key Support」 |
「AMD Eyefinity Technology」もサポートされるが、対応GPUの情報などは後日公開予定としていた | 「Separate Audio Tracks」。一方でストリーマーのオーディオ、もう一方でストリーミング中のオーディオを再生できる |
AMDのGPUチームが本拠を置くカナダのトロントにあるStage TEN社と業務提携。ライブストリーミング等で便利なブラウザベースのプラットフォームを開発しており、将来的にAdrenalin Editionで利用できるようになるという |