2018.04.30 12:00 更新
2018.04.30 取材
ROSSO(赤)とNERO(黒)を纏ったスタイリッシュなケーブルを作る、エスエスエーサービスとはオレたちのこと。密かにサプライ業界の天下を狙うアキバのケーブル屋さんが、ケーブルの魅力を解説する「はじめてのケーブル道」。デバイス的側面から「電子タバコの充電」を扱う連載の後半戦は、いよいよ具体的な充電仕様について語ります。電子タバコはどんな風に充電されて、そしてどんなケーブルを選ぶのが正解なのかな?
どうもこんにちは、ROSSO(赤)とNERO(黒)のカッコいいケーブルでアキバでもお馴染み、エスエスエーサービスの担当Tと申します。デバイス的な側面から「電子タバコの充電」を取り上げる連載も後半戦、今回はいよいよ充電に関する話題に移っていきます。何しろ前回は、何種類もあって複雑な電子タバコの機種紹介で終わってしまいましたからね・・・あらためてその中から、充電しながら持ち歩ける「iQOS」と「glo」の2機種について、充電の際に気を付けなければいけないこと、意外な仕様についてもご紹介できればと思います。
タバコも充電を必要とする“デバイス化”の時代。今回は、いよいよ「電子タバコの充電」のテーマ通り、充電にフォーカスした解説を行っていくぞ。電子タバコの機種や違いについては、前回を参照のこと |
たまにお客さんから「このケーブルで電子タバコが充電できなかったんだけど」というお問い合わせをいただくことがあります。確認させてもらうと、たいていは各機種に対応したスペックのケーブル・充電器を使っていなかったという場合がほとんど。でもそもそもの話、電子タバコの充電に必要なスペックはどうなっているのか。基本的な仕様から確認してみましょう。
まず「iQOS」の付属ケーブルとアダプタを確認すると、ケーブルは3A対応かつ充電・転送対応のmicroUSBケーブル、ACアダプタと「iQOS」チャージャー本体には5V/2Aの表記がありました。そして「glo」の方はというと、ケーブルは3Aまでの通電を確認。ACアダプタは現行品で5V/2Aの表記になっているようです。
「iQOS」のACアダプタ(上)と、本体(下)に刻印された仕様。どちらも5V/2Aを要求している | 「glo」の場合も同様で、ACアダプタ(上)と本体(下)では、ともに5V/2Aを要求する仕様になっている |
いずれも要求スペックは比較的高めで、数字上はタブレット用の充電器に匹敵します。これについて関係者に聞いたところ、「加熱を要する製品なので、バッテリー含め要求スペックが高くなっている」とのことでした。つまり一部のスマートフォン向け充電器やケーブルを使った場合、要求値を満たせない可能性がでてくるということですね。
それでいったいどんなケーブルや充電器を選べばいいのか、実際に検証してみることにしました。
検証には、国内で最も普及している電子タバコである「iQOS」を使用。上位モデルの「iQOS2.4 Plus 」(左)と標準モデル「iQOS2.4 」(右)を複数の環境で充電、見比べてみることに |
「iQOS」付属の純正ACアダプタ(5V/2A)。「iQOS」充電の電源としては、最も一般的かつ正統なツールだ |
Quick Chargeにも対応した、XLight製のモバイルバッテリー「XE-T100QC」。通常5V/2.1A、QC時最大12V/1.35Aの出力に対応している。もちろん「iQOS」の充電は5V環境だ | Anker製の5ポートACアダプタ「PowerPort+ 5」。USB PDに対応したType-Cポートも搭載しているが、今回は5V/2.4A対応のUSB Aポートを使っている |
充電ケーブルは、「iQOS」純正ケーブル以外で2本用意。こちらは5V2Aに対応した充電・転送ケーブルの「SU2-MC80NR」だ | 「iQOS」向けを想定した、5V2.4A対応の充電専用ケーブル「SU2-MC80IG」。長さは15cmと2mをラインナップしている |
後ほど解説する検証結果がこちら。「iQOS」本体のバッテリー残量が25~50%(ランプ1~2)の状態で充電。各ケーブル・電源の組み合わせで5分間の充電を3セット行い、その平均値を記載した |
まず「iQOS2.4」の検証結果から見てみると、すべての組み合わせで電圧は約4.9~5.2Vの間に収まりました。それに対して電流値は、電源とケーブルの組み合わせで若干違いが出ているのが分かります。ちなみに純正ケーブルは充電・転送対応で5V/3A仕様と、なかなかいいものが使われているようです。
標準モデル「iQOS2.4」における検証の電流値をグラフ化。組み合わせが変わると、だいぶ電流値が変動していることが分かる |
純正ケーブルを使った場合は純正ACと「XE-T100QC」で最大値が計測されていますが、気になったのはこの際にデータ結線に反応があったこと。詳細な仕様は明らかにされていませんが、「iQOS」はQCのようにデータ結線を使った急速充電方式が使われているのかもしれません。
一方で「PowerPort+ 5」と、合わせて用意したノーブランドのモバイルバッテリー(5V/2.1A)は、データ結線を使わない環境。ここでは「iQOS」向けを想定した充電専用ケーブルの「SU2-MC80IG」が最大値をマークしています。充電・転送対応の他ケーブルを大きく引き離していますね。
注目はノーブランドバッテリーを使用した際、充電・転送ケーブルの2種が充電不可の値を出しているところ。実は“データ結線を使わない2.1Aバッテリー”と一部充電・転送ケーブルの組み合わせでは充電できない・・・ということが分かっているんですが、まさにこのパターンでその相性問題が起きているようです。出力を満たしていても、組み合わせるケーブル次第では「iQOS」が充電できない場合があるというワケですね。
続いては上位モデル「iQOS2.4Plus」検証での電流値。全体的に充電の安定性が向上している |
そして次に上位版の「iQOS2.4Plus」の検証結果をチェックすると、電圧値はこちらも約4.9~5.2Vの間で推移。電流値は、ほぼすべての電源で各ケーブルの数値が横並びになっています。標準モデルでは充電できなかった組み合わせの問題も、ある程度解消されているようですね。ただし数値上は、やはり「iQOS」純正ケーブルか、「iQOS」向けを想定した「SU2-MC80IG」が一歩リードしているようです。
同じ性能のように見えても、ひょっとしたら充電パフォーマンスは違うかも。電子タバコ充電用ケーブルを探すなら、「iQOS」や「glo」対応を謳ったモデルを選びたい |
結果として、「iQOS」純正のACアダプタを使った場合は充電・転送ケーブル、汎用ACやモバイルバッテリーを使った場合は充電専用ケーブルを使った時に効果が大きい(あるいは相性が出にくい)ことが分かりました。ただし出力だけでなく、組み合わせるケーブル次第で電子タバコの充電パフォーマンスが変わる可能性がある点は要注意。ウチの場合は、汎用性が高い充電専用ケーブルで、なおかつ動作検証がとれたモデルを「iQOS」推奨品に採用しています。お探しの際は、それを目安にすればハズレがありませんよ!
こんな具合で、同じUSB充電でもスマートフォンと似ているようでちょっと違う、そんな「電子タバコの充電」をご紹介しました。次回の「はじめてのケーブル道」では、ケーブルにまつわる別な話題をご紹介しましょう。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社エスエスエーサービス: http://ssa.main.jp/