2018.05.04 00:00 更新
2018.05.04 取材
ガジェットライフにどっぷりハマる、ギークな野郎は毎日何を考えている?「ギークの殿堂」でお馴染みなアノ人が、スマホやデバイスのアレコレから、業界事情やオトクな契約プランに至るまでを徒然に語る。今回のテーマは、LTE通信で高音質通話できる「VoLTE」のよもやまだ。
いきなりだが「VoLTE(ボルテ)」という用語をご存知だろうか。いま徐々に姿を消しつつある旧来のガラケーは、3G回線を用いて通話をしている。その一方で、VoLTE(正確には「Voice Over LTE」の略)とは、文字通りLTE回線、つまり4G回線を使った音声通話を意味した言葉。音声をパケットデータにすることでLTE回線を利用するサービスで、接続も早いし、何より音声帯域が広がったおかげで通話音質がよくなった。
日本初のVoLTE対応スマホとなった「GALAXY S5 SC-04F」。マニアはもちろん開通初日にVoLTE体験。151のドコモお客様センターにかけてみたとか。VoLTE通話中に画面を見てみると、確かに4Gの状態が維持されている |
ドコモやau、ソフトバンクなどの大手キャリアは、2014年から徐々にVoLTE対応端末への切り替えを推進。いまやiPhoneを含めたほとんどのスマートフォンがVoLTEに対応している。それならば(4年も前から開始していることだし)、当然ながら全国的に広くVoLTEが使われているはず・・・と思う人も多いだろう。しかし興味深いことに、実態は必ずしもそうではないようだ。
Xiaomi端末のアンテナピクト。機種によっては、4Gに加えてVoLTEが並んで表記される |
そもそもの話、自分の端末がVoLTE対応のスマホでも、相手がガラケー(3G)ではVoLTE品質の恩恵を受けることができない。自分が4Gで話しても相手は3Gで受け取るしかないし、逆に相手が発する3G音声は4Gで聞いても3Gのまま。3Gのガラケー側がボトルネックになっているという、分かりやすい例だ。
相手が3Gのガラケーではダメ。当然ながらVoLTE品質の恩恵を受けるには、双方がVoLTE端末を使っている必要がある |
なにしろ、いまだにガラケーは根強い人気と需要があり、ユーザー数はまだまだ多い。調べ物や動画を楽しむのはタブレットで、電話はガラケー・・・などといった環境を求めて、ガラケーを探し求める人が後を絶たないという事情がある(大量に買取を続けているイオシスでも、常に在庫が不足気味なほど)。新機種はいくらVoLTE対応だとしても、通話する相手次第ではVoLTEにならないというワケだ。
それに相手が固定電話だったり、050のIP電話を使っている場合もまた、従来品質での通話になってしまう。日常的にVoLTEを使うには、意外に大変なのかもしれない。
それじゃあ最新スマホ同士で通話している自分は、間違いなくVoLTEの恩恵を受けているじゃないか。そう思ったら、実はそれほど簡単な話ではなかった。なんと驚いたことに、VoLTE通話は同じキャリア同士でしか成立しないのだ。つまり自分と相手の両方がVoLTE対応端末を持っていても、ドコモならドコモ同士、auならau同士でなければ、VoLTE通話ができない。これは大きなハードルだ。
なんとキャリアも同じ必要があるという、重すぎる縛りが。ちなみにこちらはauのVoLTE SIM。auもドコモから遅れること半年ほどでVoLTEを導入、今ではスマホはすべてVoLTE対応になっている |
一昔前ならドコモの天下だったため、それでもよかったかもしれない。ところがMNP制度の影響もあり、この10年でauやソフトバンクのシェアはそれぞれ23%を超えて、逆にドコモは40%を割ってしまった(総務省データ)。こうした情勢では、通話する双方が同じキャリアかつVoLTE対応端末同士という条件が揃うのは、決して高い確率ではないだろう。
LTEは全国的に普及しているものの、ドコモとソフトバンクはいまだに予備として3Gを残している。auはスマホに関してはVoLTEに完全移行しつつ、まだVoLTE非対応の4Gや3Gガラケーは多数存在。サービス開始から4年が経った今でも、それほどVoLTEは日常的に浸透しきっていない気がする。
むしろ今までドヤ顔で「VoLTE同士だよね!音質いいよね!」と電話してた二人が違うキャリア同士だったとしたら・・・真にVoLTE通話を実感するには、まず話題に入る前に「そちらの使っている機種とキャリアを教えてください」と聞く必要があるのかもしれない(笑)。
これまでVoLTEで通話をしていたと思っていた人は、今一度環境をチェックしてみる必要があるかも。VoLTE通話の条件は、意外に難しかった |
そんな話はさて置き、早いものであと2年もすればオリンピックが始まる。その頃に合わせてサービスインすると言われている「5G」が登場すれば、このVoLTEのモヤモヤも解決に向かってくれるはず・・・と願ってやまない今日このごろだ。
文: 太田 文浩(イオシス アキバ中央通店)