2018.06.07 03:43 更新
2018.06.07 取材
Cooler Master Technology(本社:台湾)ブースレポートの第3回は、デュアルラジエターを備えた変わり種簡易水冷。異なるサイズのラジエターは、異なる冷却方法が採用されている。
大型展示会のブースでは、発売が決まった製品版だけでなく、技術評価サンプルとして製造された製品を眺めるのも楽しみのひとつ。Cooler Masterブースの片隅で見つけたのは、もしかするとコンシューマ市場で化けるかもしれない(現時点)珍品だ。
一瞬目を疑う風貌。しかしよく見ると間違い無く、1つのウォーターブロックに2つのラジエターが連結された、大掛かりなオールインワン水冷ユニットだ。現状名も無きプロトタイプは、ほぼ完成しているようにも見える。
担当者の話によると、120mmサイズラジエターと、240mmサイズラジエターを使い、1つのウォーターブロックで冷却するスタイルは、標準モデルに比べ10%以上の冷却性能が向上できたという。冷却能力には限界があるものの、クーラント液を冷やせば冷やすほど(または素早く冷やすほど)、理論上ウォーターブロックの冷却能力は向上する。どんなCPUに見合うシステムかは不明だが、リアに120mmサイズ、トップに240mmサイズラジエターをデュアルマウントする様は、ちょっぴり自作魂がくすぐられる。
単なる評価サンプルを装いつつも、ウォーターブロックはしっかりとイルミネーション機能を搭載。ちらちらとコンシューマ市場を意識している |
なおこのシステムは、単に既存のラジエター同士をウォーターチューブに接続したわけではない。よく見ると240mmサイズラジエターのコア部分は、VGAクーラーさながらのヒートシンクを採用。2つに別れたヒートシンクは、ヒートパイプにより連結されている。前出の担当者によると、冷却能力が良いらしい。なお120mmサイズが通常のラジエターコア仕様のままなのは、単にスペース的な問題と、冷却能力に違いが出ないためらしい。
ウォーターブロック下の気になる温度計は、CPU温度ではなくラジエターコア(?)の温度を計測中。通常どの程度かが分からないだけに、この数値はどう考えたらいいのだろう |
Cooler Masterと言えば、今はコンシューマよりもメーカー製や産業用ヒートシンク(冷却機器)に強いメーカー。決して表には出ないものの、多くの熱源に同社製クーラーが採用されている事は、あまり知られていない。多方面にわたる技術の積み重ねは、自作PC向けパーツにも流用できる事があるだろう。デュアルラジエター仕様の簡易水冷があってもいいじゃないか。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
Cooler Master Technology: http://www.coolermaster.com/
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