2018.06.11 17:00 更新
2018.06.11 取材
Shenzhen JIUMENG electronic technology(本社:中国)が小振りなブースに展示していた、巨大な新プロダクトをチェックしておこう。「JM-3300W」と名付けられた電源ユニットは、その名の通り3300Wという規格外の大容量モデル。そしてそれを実現しているのは、かなり変態的なアプローチのようだ。
2つの電源をスタックしたような、特異なデザインの超大容量電源ユニットをJIUMENGブースで発見 |
例年COMPUTEXには、大手のメーカーブースだけでなく“小部屋”を連ねたエリアも用意されている。そこで発見したのは、2006年に創立されたという中国・深センの電源専業メーカーであるJIUMENGのブース。担当のお姉さんが抱えていた、“巨大な何か”に目を奪われてしまった。
「JM-3300W」というその電源ユニットは、ちょうどATX電源を2つ横に繋げたような異様なデザイン。当然ながら“規格外”な電源ユニットなワケだが、容量も3300Wと相応のパワーをもっている。+12V出力に至っては、なんとシングルレーン270Aという仕様らしい。
大きさ通りの3300Wという大容量で、なんと+12V出力はシングルレーン仕様の270Aだ |
主な用途はお察しの通りマイニング向けで、直結式のケーブルからは無数のPCI-Express補助電源が伸びている。マイニングマシンでは250W級のグラフィックスカードを10枚前後搭載することも珍しくなく、そうなると消費電力は軽く2000Wを上回る。マイニング用PCの市場においては、このクラスの容量が切実に必要とされているというワケだ。
ちなみにあえて二連結デザインにした最大のメリットは、ズバリこの大容量を(24pin)1系統で出力できるところ。複数の大容量電源を変換などでジョイントさせる必要がない。冷却ファンも大口径を2基備えており、巨大な1ユニットの冷却をしっかりこなしてくれる。
グラフィックスカード複数枚への給電を想定、ケーブルにも無数のPCI-Express補助電源コネクタを用意している |
さらにマイニング向けながら、しっかり80PLUS GOLD認証を取得しており、発熱は低く抑えられている。担当者いわく「高い負荷がかかる状態でも常に3300W出力を維持できるよう調整されている」とのことで、設計には自信を持っているようだ。
なお、そもそも搭載するにあたっての難易度が高そうな印象だが、その点は心配ご無用。基本的にはマイニングリグなどフレーム状のものに搭載することを想定しており、一般的なPCケースのような制約はあまりない。
この大容量を24pin 1系統で出力、冷却にも余裕ができる。おそらく既存モデルの設計を流用できるという、シンプルなメリットもこの形状にはありそうだ |
240V仕様とあって日本国内ではそもそも使用できないのだが、中国市場では実際に販売を予定しているという。この変態的なアプローチが成功かどうかは、今後類似のモデルが登場するかどうかで判断してみよう。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
Shenzhen JIUMENG electronic technology: http://www.sz-jm.com/
COMPUTEX TAIPEI 2018 記事一覧: https://www.gdm.or.jp/computex2018/