2018.08.16 00:00 更新
2018.08.16 取材
ガジェットライフにどっぷりハマる、ギークな野郎は毎日何を考えている?「ギークの殿堂」でお馴染みなアノ人が、スマホやデバイスのアレコレから、業界事情やオトクな契約プランに至るまでを徒然に語る。今回は、アキバの街を巡りつつ電測を楽しむ「電波浴」を堪能してみよう。
LTEが普及し始めた頃、都内をぐるぐると練り歩いては新しい電波を観測して回るのが何よりの楽しみだった。iPhoneや当時のGalaxyスマホには電波を確認する“隠しモード”があり、それをレーダー代わりに使って街をうろつき回る。珍しい電波を受信した際には、ドヤ顔でスクリーンショットを撮り、速攻でTwitterにアップ。この瞬間がサイコーに気持ちよかった。いったいコイツは何をやっているんだと引いた人もいるかもしれないが、世間にはこうした趣味をもつ人間がそれなりに生息しているのだ。
スマホ画面を叩いて一喜一憂。でもゲームで遊んでいるワケじゃなく、電波を掴む“電波浴”を楽しんでいるのです。なんでもアキバでの電測はだいぶ久しぶりなのだとか |
もっとも最近はすっかりLTEの設備が整ったこともあり、電測の最中の意外な発見や出会い(いずれも電波の話)も減ってしまった。そんなわけで、ここしばらくは電測をサボリ気味だったワケだが・・・ちょうど出歩く機会の多いお盆シーズンということもあり、久しぶりにやってみるか!と思い立った。海水浴ならぬ“電波浴”を楽しむために、早速アキバの街をぶらついてみよう。
本来はあてもなく街を歩き回るのが電測のスタンダードだが、さすがに今回はあらかじめ電測場所を決めることにした。その場所とは、アキバのスタートラインとも言える「JR秋葉原駅前」と勤務先の「イオシス アキバ中央通ヨコ店前」、さらに見晴らしのいい「秋葉原某所」の3箇所だ。そして計測に使うのは、auおよびソフトバンクのサブブランドと呼ばれる「UQ mobile」と「ワイモバイル」。まさに因縁の対決だ。
アキバの街を巡りつつ、電波浴を楽しむ。最初の計測場所は、アキバの玄関口でもあるJR秋葉原駅前だ |
その他の計測場所は、マニアが働いているイオシス アキバ中央通ヨコ店前。さらに見晴らしの良い“秋葉原某所”でも試してみることに。ちなみに某所については、ちゃんと許可を得て電測・撮影しています |
なお、計測したのは速度が出やすい「快速タイム(自称)」と、通信が混雑して遅くなる「ピークタイム(通称)」。一般的に通信しているユーザーが少ない午前中は速度が出やすく、その一方でお昼休憩時間の12~13時や帰宅ラッシュになる18~19時は、大勢が一斉に通信をするため目立って速度が出なくなる。
はたして久しぶりとなるアキバの電測では、どんな出来事が待っているのか。案外退屈な周回になってしまうのでは・・・などと考えていたら、早々に3.5GHz帯を使う「バンド42」に遭遇!まだ受信できる機種が少ないこともあり、立派な“ドヤ顔案件”と言えるだろう。気持ち悪い?お褒めにあずかり光栄です。
いきなり奇声を上げるマニアに面食らいつつ聞いてみると、なんとバンド42をキャッチしていた。このバンドを受信できる端末は、まだそれほど多くない |
“電波浴”の結果はどうだった?ひとまず結果を表でチェックしつつ、マニアに解説してもらおう |
まず快速タイムに計測してみると、なんと駅前におけるUQ mobileは200Mbpsを超える驚速ぶりを発揮。ワイモバイルを実にトリプルスコアでぶっちぎるという結果になった。その一方でヨコ店前と秋葉原某所ではワイモバイル以下に速度を落としているが、ひょっとすると秋葉原駅の目の前に基地局があったのかもしれない。基地局が近すぎると、こうした異常な速度を叩き出す場合があるのだ。
なお、駅前では劣勢だったワイモバイルは、場所を変えても60~70Mbpsと安定している。基地局が偏在していることもないようで、安定性ならこちらに軍配だろうか。
電測を終えた後の反省会にて。やはり200Mbps超えのインパクトはかなり大きかった。ピークタイム時の挙動もキャリアごとに個性があるようだ |
そしてピークタイムではどうだろう。一般的なピークタイムは先ほど触れたように12~13時だが、今回は仕事の都合もあり、歩行者天国で人がごった返す日曜日の昼過ぎに計測を行っている。
先ほどとは逆にワイモバイルから結果を見ていくと、快速タイムのほぼ半分程度に速度を落としていることが分かる。それに対するUQ mobileは速度低下が少なく、駅前では150Mbpsオーバー。どうやら中央通りでは分が悪いようだが、それでもピークタイムの影響をあまり受けていない。もしかすると、本家auと遜色のない、混雑時に備えた強い設備が整備されているのかもしれない。
なかなか甲乙つけがたい結果だったが、やはり環境が整えば爆速が味わえるUQ mobileのスピードは格別だ。こうした気持ちよさにどっぷり浸れる“電波浴”、ついつい何度も試してみたくなるほど(一部の人には)中毒性がある。しかし“やりすぎ”に注意しなければならないのも、電測の心得だ。なにしろ想像以上にパケットを消費する作業のため、アプリによっては1回の計測に100MBを使ってしまう場合もある。気がついたら1GB以上使っていた・・・なんてことはよくある話。スピードテストのやりすぎで速度制限がかかる、という笑えない事態は避けたいところだ。
かつて都内にて、3CA(キャリアアグリゲーション)を初観測した際の電測画面がこちら。「Galaxy S7 edge」の隠しモードで計測したもので、バンド1/3/19が同時に受信できている(という画面らしい)。興奮しつつ即アップ、Twitter上でも「やりおった」と(好事家間で)話題になったとか |
ちなみもう4Gの時代も終わりに近づき、早くも5Gの足音が聞こえ始めている。最大で20Gbpsという超高速通信が可能になるとも言われているが、それだけ速ければYouTubeでスムーズに4K動画を視聴できたり、大容量コンテンツも一瞬でダウンロードできるようになるのだろうか。当然、“電波浴”でもぶっちぎりの速度が堪能できるに違いない。
そうなれば、もちろん4G時代が始まった時のように、端末を手に再びアキバを練り歩く日々が来るかもしれない。そんな近い将来に思いを馳せつつ、今年のお盆はぜひ皆さんもアキバで“電波浴”を!オススメは、まだお店が開いていない午前11時前。快速電波を堪能した後で、たっぷり買い物を楽しもう。
文: 太田 文浩(イオシス アキバ中央通ヨコ店)