2018.08.27 18:57 更新
2018.08.27 取材
株式会社ロジクール(本社:東京都港区)は2018年8月27日、手首への負担を軽減するエルゴノミクスデザイン採用のワイヤレスマウス「ロジクール MX Vertical アドバンスエルゴノミックマウス(MX Vertical)」を発表した。フラッグシップシリーズから登場する、同社初の縦型エルゴノミクスマウス。その完成度を発売前にチェックしておこう。
エルゴノミクスマウスの新製品発表会のため来日した、Logitech本社におけるヘルシーコンピューティング・エルゴノミクス分野の責任者であるLars Holm Lauridsen氏。アーロンチェアなどで有名なハーマンミラージャパンのショールームが会場となった |
本格的なエルゴノミクスデザインを採用する、縦型マウスの新モデル「MX Vertical」がロジクールから発表。同社としても初めて手がけるカテゴリの製品とあって、発表会にはスイスのLogitech本社より開発を担当したグローバルプロダクトマネージャーのLars Holm Lauridsen氏が駆けつけ、直接解説を行った。
現在エルゴノミクス製品は、北欧を中心に海外で急速に関心が高まりつつあるという。アメリカでの調査では、PCユーザーの57%が手のひらや手首、前腕に不快感や痛みを経験したことがあり、さらに12%は毎日の不快感・痛みに苦しんでいるという調査結果が報告されている。世界中のPCユーザーの大多数は、より使いやすい、疲れにくいデバイスを必要としているというワケだ。
海外の調査では、かなりのPCユーザーがデバイスに不満をもっているという結果に。実際に科学的な見地からも、マウス操作は腱鞘炎を起こしやすい筋への負担が大きいことが分かっている |
発表会で機能解剖学の解説を担当した、理学療法士でもある株式会社キネティックアクト 代表取締役の岡崎倫江氏。身体の構造や筋肉の働きの専門家として、マウス操作の負担や新型マウスのメリットを語った |
働きすぎが話題になっている日本でも、その傾向は同じなはず。経済産業省からは、従業員への健康投資による生産性向上と組織の活性化、それに伴う業績向上などに期待する旨の声明も出されている。
こうした時代の要請もあり、デバイスの巨人・ロジクールから登場したのが、同社初となるエルゴ設計の縦型マウス。健康投資に関する企業意識の変化をビジネスチャンスとしても捉えているようで、今後もこの分野の開発には力を入れていく構想のようだ。
後半のパネルセッションに参加した、株式会社ロジクール 代表取締役の笠原健司氏。個人的にも肩こりに悩まされているようで、新製品のエルゴマウスには大いに期待をよせていた | ロジクールの発表会に会場を提供した、ハーマンミラージャパン株式会社の代表取締役 松崎勉氏。他業種ですでに協力関係にある両社は、ともに日本法人設立30周年という節目でもあり、その記念も兼ねて今回のコラボが実現した |
先週にグローバルリリースが打たれたばかりの「MX Vertical」。首や肩、手首への負担を低減するために、ロジクールが数年がかりで開発を行った |
「MX Vertical」は、ロジクールのフラッグシップ「MX」シリーズから登場する、縦持ちスタイルのエルゴノミクスマウスだ。Lauridsen氏が率いるチームが「MX ERGO」に続いて開発を行ったマウスで、フランスの著名な人間工学の研究機関である「CEVRES Sante」と協力し、数年がかりの研究開発を経て完成した。
EMGセンサーで筋活動や負担を測定、電子角度計により姿勢を計測して導き出されたのが、「最も疲れにくい」という握手の角度をベースにした57°の傾き角。関節の動きが制限された中で手指を動かす通常のマウスと異なり、負担をかけない自然な姿勢での操作を可能にしている。これにより、従来型マウスに比べ筋緊張は10%低減しているという。
手首にとって最も自然な角度である、握手の姿勢と同じ57°の傾き角がキモ。「MX ERGO」とも同様のコンセプトだが、トラックボールと異なり習熟不要ですぐに使いこなせるエルゴ製品として開発が進められた |
ロジクールが「誰の手にもフィットする」と謳う、錐状のボディ。筋に負担をかけずにグリップできる前腕回内角度33°に設定され、サムレスト表面には手触りの良いテクスチャード加工が施された |
サイドには、「進む」「戻る」などが割り当て可能なカスタムボタン、トップにはdpi切り替えボタンを備えている |
マウスセンサーには、エルゴノミクスマウスとしては高解像度な最大4,000dpiの「ハイプレシジョントラッキング」センサーを内蔵。分解能は2パターンを設定して切り替えが可能であり、400~4,000dpiの間で50dpi刻みで設定できる。
搭載ボタンは、アイランド仕様の左右クリックとスクロールホイール、カスタムボタンなど合計6ボタンを実装。接続インターフェイスは2.4GHzワイヤレスまたはBluetooth、さらに有線接続の3-Way仕様だ。バッテリーライフは内蔵バッテリーで最大4ヶ月、1分間の充電で3時間使用できる急速充電機能も備えている。
そのほか、最大3台とペアリングしてワンタッチ切り替えできる「Easy-Switch」、ソフトをインストールするだけで異なるPC・OS間でファイルのコピーやデバイス切り替えが可能な「Logicool Flow」にも対応する。
コネクタはUSB Type-Cを搭載。充電による2.4GHzまたはBluetoothのワイヤレスと、USBによる有線接続に対応。底面には電源スイッチと、デバイス切り替え用「Easy-Switch」ボタンを備えている |
なお、発売は9月20日(木)の予定で、市場想定売価は税抜12,880円。ハーマンミラーとのコラボレーションとして、アーロンチェアを購入したユーザーに「MX Vertical」を無料でプレゼントするキャンペーンも行われる。
ハーマンミラーのショールームおよび販売代理店にて「アーロンチェア リマスタード」を購入すると、ロジクールとハーマンミラーのデュアルロゴ入り「MX Vertical」がもらえる。9月29日(土)から始まる、1,000台限定のキャンペーンだ |
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社ロジクール: https://www.logicool.co.jp/