2018.10.18 22:51 更新
2018.10.18 取材
Synology Japan株式会社(本社:東京都千代田区)は2018年10月17日、都内某所で報道関係者向け「新製品&ソリューション発表会」を開催。同社初となるメッシュルーター「MR2200ac」や、NAS向け次期OS「DiskStation Manager 7.0」(DSM7.0)の新機能を紹介した。
Synology初のメッシュネットワークに対応する無線LANルーター「MR2200ac」。もちろん単体でも利用できるが、その性能を活かすためには複数台用意したい |
今回のイベントで最も注目のアイテムは、5GHz帯(最大通信速度867Mbps)×2と、2.4GHz帯(同400Mbps)×1のトライバンドに対応する無線LANルーター「MR2200ac」だ。「COMPUTEX TAIPEI 2018」でも披露された製品で、Synologyブランドでは初のメッシュネットワークに対応。複数台の製品を組み合わせることで、家や社内へくまなく電波を届けることができるようになる。なお国内での発売は11月下旬予定で、価格は2万円前後の見込み。
インターフェイスはギガビットWAN×1、ギガビットLAN×1、USB3.0×1を搭載 |
ルーターそれぞれが相互に通信し、メッシュ状のネットワークを構築することで、これまで電波の届きにくかったところでも安定した通信が可能になる |
ベースとなる機能は、昨年7月に国内発売が開始されたハイエンドモデル「RT2600ac」を踏襲。OSはルーター向け最新バージョン「Synology Router Manager 1.2」(SRM 1.2)で、自動更新式Webデータベースとの連携により、不適切なWebサイトの遮断などができる、詳細なフィルタリング機能を備えた「Safe Access」や、「WPA2」の拡張版として約14年ぶりに策定された次世代Wi-Fiセキュリティ機能「WPA3」などに対応しているという。
「SRM 1.2」で搭載された新フィルタリング機能「Safe Access」。時間帯や会社の部署ごとなど、法人利用を想定したプロファイルの設定も可能 |
次世代Wi-Fiセキュリティ機能の「WPA3」にも対応済み | iOS12の「Siriショートカット」に対応。「Hey Siriゲストがきたよ」と話しかけると、ゲストネットワーク用のQRコードが表示される |
NAS用OS「DSM」の大型アップデートを予告 |
全世界での累計販売台数は600万台以上。さらに20%以上の成長率を誇るというSynology製ネットワーク機器。イベントに合わせ来日したSynology本社CEO Derren Lu氏は、今後のさらなる躍進に向け、より「安定性」「安全性」「サービス」を重視した製品提供を進めて行くと力強く語った。
その施策のひとつとして用意されているのが、NAS向けOSの最新バージョン「DSM 7.0」だ。解説を担当したSynology Japanセールスマネージャー田野 久敏氏によれば、直感的なわかりやすい「ビジュアルデザイン」や「対話型インターフェイス」、障害発生時にガイダンスで対応策を提案する「マルチガイダンスデザイン」などの機能が強化されているという。
「対話型インターフェイス」によって、操作の待ち時間が直感的にわかるようになる | 対応策を提案し、ユーザーがいち早く障害を解決できる「マルチガイダンスデザイン」には、1,500種類以上のメッセージが追加 |
NASのセットアップや情報の確認をスマホで可能にする「DS finder」 | 「DS finder」では、QRコードを読み込むことでログインも可能 |
また、OneDriveなどのクラウドストレージと同じように、必要に応じてファイルをダウンロードできるファイルストリーミング機能が「Synology Drive」に追加。容量が限られるSSDを搭載するPCなどで、ストレージの消費を抑えることができるようになる。
Windows 10の標準機能「Windows Cloud Filter」を利用する「Synology Drive」 | ファイルストリーミング機能で提供されているファイルには、「状態」に雲のイラストが描かれている |
ダウンロードするまではストレージ容量が消費されないため、無駄を最小限に抑えることができる | 「Cloud Station Backup」に実装されているバックアップ機能は「Synology Drive」に統合予定 |
その他、リビルド時間を大幅に短縮する「RAIDクイックリビルド」や、過去300万台のHDDから取得したデータと機械学習機能を組み合わせ、90%の確率で故障を予測する「HDD予測検知」、問題のあるHDDから事前にデータをコピー・保護する「HDD交換・即時データコピー」など、HDDの保護機能が大幅に強化されている。公開時期は来年予定でまだ先になるが、「DSM 7.0」の提供によりSynology NASは、より安全かつ便利に使えるようになりそうだ。
特許出願中の新機能「RAIDクイックリビルド」。通常8時間かかるリビルド作業を3時間に短縮できたという(RAID 5/使用率40%/4TB HDD×3台) |
機械学習技術を使用して、HDDの故障を予測する「HDD予測検知」 | 「HDD交換・即時データコピー」では、故障が予測されるHDD内のデータを事前に別のHDDへコピー。なおコピー完了後は、新たなHDDでRAIDを運用し、古いHDDは取り外す |
最後に会場に展示されていた、今後発売予定のNAS製品を画像で紹介していこう。
1UサイズのラックマウントNAS「RackStation RS1619xs+」。Xeon D-1527や2基のNVMe対応M.2スロット、8GB DDR4Lメモリを搭載 | 奥行が通常の半分に抑えられている1UサイズラックマウントNAS「RackStation RS819」。CPUにはAtom C2538を搭載し、発売は2019年中予定 |
Atom C3538を搭載する12ベイNAS「DiskStation DS2419+」。PCI-Expressスロットを備え、10GbEネットワークカードなどが搭載可能。年内発売予定 | 「DiskStation DS2419+」の8ベイモデル「DiskStation DS1819+」 |
Celeron J3455搭載の5ベイNAS「DiskStation DS1019+」。4ベイでRAIDを構築、残りの1ベイに「HDD予測検知」の交換用HDDを搭載可能。発売は2019年中予定 | 2.5インチベイを6基備える「DiskStation DS619slim」。CPUはCeleron J3355で最大6GBまでのメモリを増設可能 |
Synology初のiSCSI専用ストレージ「UC300」。デュアルコントローラを搭載することで、接続の安定性を高めている |
文: テクニカルライター・藤田 忠
Synology Japan株式会社: https://www.synology.com/ja-jp/