2018.10.24 00:00 更新
2018.10.24 取材
自由でユニークな発想から生まれる、スタートアップの気になるガジェットをチェックする「次に来るモノ」。今回は、かけるだけで画面が見えなくなるという、不思議なサングラス「IRL Glasses」を見ていきましょう。
周囲にあふれる情報は役に立つけど、たまには見たくない時もある。手軽にサングラスをかけるだけで、それが出来るらしいですよ |
情報社会(情報化社会)と呼ばれて久しく、今や次なる「社会5.0(Society 5.0)」へ向かっているといわれている現代社会。私たちの周囲には、ディスプレイ・スクリーンから発信される情報があふれています。ニューヨーク・タイムズによると、「アメリカ人は1日の11時間をスクリーンを見て過ごしている」という調査結果もあるとか。お国が違うとはいえ、ここ日本でも似たようなものでしょう。
何か他のことをやっていても、画面に目を奪われてしまい集中できない。あるいはメールやSNSの着信に気付いてしまい、つい反応してしまう。今回Kickstarterから紹介する「IRL Glasses」は、そんな画面からの誘惑をシャットアウトしてくれる不思議なサングラスです。
「IRL Glasses」を通して世界を見てみたの図。実際には画面が映っていても、レンズ越しには何も映っていないように見えます |
さてその「IRL Glasses」は、カナダのアーティスト・映画監督のIvan Cash氏によるプロジェクト。ネーミングは、「IRL(In Real Life)で暮らしながら、スクリーン以外のすべてを見ることができる」というコンセプトに由来しています。実はもうキャンペーン締切間近のアイテムなのですが、プロジェクト自体は500%以上の資金を調達し大成功。注目の高さが窺えます。
具体的にどういったものかというと、なんとかけるだけでスクリーン(ディスプレイ)の表示が見えなくなるというもの。普通のサングラスのようでいて、レンズを通して見ると、画面がまるで何も映っていないかのように黒く見えます。ハテいったいどうなっているのやら。
テスト用のフィルターを回転させると・・・アラ不思議、テレビの画面が見えなくなりました。実は偏光フィルターと同じ仕組みを使っていたのです |
実は仕組み自体は非常に単純。偏光レンズを90°回転させると、LCD/LEDスクリーンから放射される光が遮断される・・・という現象を利用しています。カメラが趣味の人はピンと来たかもしれませんが、余計な光の反射を防いでくれる「偏光(PL)フィルター」と同じ原理を使っているというワケですね。かけた感覚は普通のサングラスと変わらず、ちゃんとUVカット(Cat 3 Uv400)の効果もあるようです。
ちなみにサングラスとしてのデザインは、SF映画の「ゼイリブ(They Live)」にインスパイアされたもの。映画におけるサングラスは、特権階級によるメディア洗脳を見破ることができるという、象徴的なツールでした。
普通のサングラスと同じ効果もあり、かけた状態の感覚も同じ。デザインは映画「ゼイリブ」がモチーフになっています |
なお「IRL Glasses」は、ほとんどのテレビやPC用の液晶ディスプレイに対応しているものの、スマートフォンや有機ELを使ったスクリーンはまだブロックできないようです。ただし今回のKickstarterで調達した資金を活用し、「今後はスマートフォンを含むすべての画面をブロックする『IRL Glasses』の開発を目指す」とのことで、次回作にも大いに期待ですね。
キャンペーンは、2018年10月31日17:39(日本時間/UTC+09:00)まで。支援は49ドルからで、市場販売された際の想定売価は79ドルだそうです。
シンプルに簡易のデジタル・デトックスができてしまう「IRL Glasses」。キャンペーン期間はあと一週間ほど残っています |
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
Ivan Cash: http://www.ivan.cash/
Kickstarter: https://www.kickstarter.com/