2019.02.07 09:00 更新
2019.02.07 取材
アメリカ政府との対立が連日ニュースとして伝えられているファーウェイ。アメリカに続いて日本政府も政府調達から排除するなど、何かとお騒がせな存在になっている。しばらく混乱が続きそうな情勢だが、はたして市場におけるファーウェイは、今どうなっているのだろうか。
日本のSIMフリー市場で急成長を遂げたファーウェイ。昨年は世界初の三眼カメラを搭載した「HUAWEI P20 Pro」で特に大きな注目を集め、NTTドコモから発売されるとテレビCMで一気に認知度を向上させた。ところが昨年12月、日本政府がファーウェイを政府調達から排除する方針を決定。「端末にスパイウェアが入っている」というアメリカ政府の見解が日本にも波及して大きな混乱を招くことになった。
ご立派なカメラが話題になった「HUAWEI P20 Pro」。日本版(ドコモ)はおサイフに対応していた点も人気の理由だった |
そのニュースを聞いて、中には「販売禁止になったのでは?」とか「買ったらいけない物」と勘違いしている人もいるが、排除されたのはあくまでも政府機関での話。民間レベルにおける製品販売に関しては、何の制限もない。
そして風評被害を大きく受けたかと思いきや、元々MVNOやY!mobileとのセット販売で安く購入できる特徴もあり、明らかに低迷しそうな様子は今のところなさそうだ。
2018年で最も売れたと言っても過言ではない、コスパ抜群の「HUAWEI P20 lite」 |
実はスマートフォン分野が急成長する前、同社は無線通信技術が強かった。それまでWi-Fiを外へ持ち出す習慣がなかった日本にモバイルルーター(Pocket Wi-Fi)をもたらしたのは、2010年に登場したファーウェイ製ルーターだった。
その後もソフトバンクの4G規格であるAXGP、UQ WiMAX2+など、いずれも最新無線技術がファーウェイ端末で利用されてきた。需要は今も根強く、ファーウェイ排除が発表された後も製品リリースは続いている。つい先月にも、最大1.2Gbpsを誇るWiMAX2+ルーターが2機種発売。それが両方ともファーウェイ製であったことは素直に驚きだ。
最大1.2Gbps転送に対応する最新ルーター「Speed Wi-Fi NEXT W06」と「Speed Wi-Fi HOME L02」。2つともファーウェイ製という点に注目したい |
このように日本市場におけるファーウェイには、これまで積み上げてきた信頼と実績がある。政府機関では調達が禁止されても、引き続きSIMフリー市場や一般消費者向けルーターといった分野にて、ファーウェイは活躍し続けるのではないだろうか。
それにしても、ファーウェイ製品に入っていた「余計な物」とは一体なんだったのだろう。消すことのできない、キャリアのプリインストールアプリなら納得するのだが・・・。
一連の騒動にも「事実無根」と断言し、強気の姿勢を崩さないファーウェイ。先月には今年初のデバイス「HUAWEI nova lite 3」が堂々とリリースされた |
文: フリーライター:太田 文浩