2019.04.28 00:00 更新
2019.04.28 取材
"ド素人”ではなくなったので、「旅する書評家がおすすめ!Fire HD8タブレット完全ド素人レビュー 」改題。世の中はゴールデンウィーク。そんな中、タブレットを片手に、北村さんは今日もどこかで読書を楽しんでいます。
鎌倉の桜も、そろそろ散り時だと判断したようです。
晴れやかな空をバックに見事な咲き誇りを見せていた桃色ですが、少しずつ、葉の色が目立つようになってきました。春は確かに経過していて、やがて、夏がやってくることを予感させます。
私がいま読んでいるのは、須田仁之さんの「捨てる。手を抜く。考えない。」です。このタイトルだけで、これからの時代を生きていく現代人のためにどんなマインドが必要なのか、見えてくるようですね。
旅が趣味だからか、普段の荷物もなるべく減らし、身軽に生きていきたいと思うこの頃。今日のお供に選んだのは、身も心も軽やかに生きたい私の希望が、手に取らせた本なのかもしれません。
皆さまは、「手を抜く」という行為に関して、どんな印象を抱かれるでしょうか?
様々なイメージがあるかと思いますが、そのどれも、ネガティブなものが多いのではないかと思います。手を抜くよりも、時間をかけて丹精込めて仕上げた物や仕事の方が、そうでないものよりも質が良いと感じるのが人情ですよね。
今回タブレットのお供にしている「捨てる。手を抜く。考えない。」は、どれだけ手を抜いて仕事を効率化&スピードアップさせるかを説いたビジネス書です。パソコンで仕事を進める際の有効的なショートカットキーや、メールソフトの使い方などのビジネスハックはもちろんのこと、上司や部下との付き合い方など、メンタル・エモーショナルな部分に働きかける項目まで、幅広く網羅されています。
本書全体を通して読者に投げかけられるメッセージは、「決して手を抜くことそのものが悪なのではない」ということ。得てして日本人は、より時間がかけられたものこそが至高で、それ以外の中途半端なものには価値を感じない気質があるもの。
そうではなく、工数をカットできる部分は積極的にカットして、より時間をかけるべき方向に必要な時間をかけましょう、と投げかけてくれているんです。
部屋のクローゼットに溜まっているもう着ない洋服や、読まない雑誌・本、それらと同じように、旅の荷物や心の重荷も思い切って捨ててしまうことが、余計なことを考えずに自然体で生きるための第一条件になるのでは、と感じました。
手を抜くこと、楽をしようと思うことは、決して悪いことではありません。
自分にとってより大事なものに貴重な時間をかけるための、下準備のようなものなのです。
本書を読んでいて、「私の荷物は何だろう?」と考えてしまいました。
重たいと感じているもの、過去に置いていって身軽になりたいと思っているもの。自分がとらえている以上に、それらはたくさんあるような気が、ふとしたんです。
あなたの「荷物」は、何ですか?
本書は自己啓発・ビジネス書に分類される本ですが、直接的なビジネスハックだけが機械的に詰め込まれている本ではありません。決して目には見えないけれど、確実に枷となっている要素に気付かせてくれます。
私たちは、少し頑張り過ぎかもしれません。
私たちは、少し余計なことを考え過ぎかもしれません。
たまにはふっと肩の力を抜いて、仕事のことや家族のことや恋愛のことや、率直に「重たい」と感じているものをすべていったんどこかに置いてしまって、「どうしたら上手く手を抜いて楽に生きられるか?」と、一緒に考えてみませんか。
頑張ること、時間をかけることが美徳だと思ってきた私たちにとって、いきなり何もかもを捨てるのは難しい。けれど、1人じゃないのなら。ともに考えながら1つずつ1つずつ捨て、身軽になれるのなら、恐怖や不安も一緒に置いていけるのではないでしょうか。
旅の最中に本を読むには、やっぱり電子書籍は欠かせません。
紙の本ではなく敢えて電子書籍で購入したり、内容を電子化することによって、重い本を持ち運ぶストレスから開放されます。
個人的には紙の本の読みやすさを電子書籍が上回ることはまだ厳しく(技術の進歩により、徐々に近づいてきてはいますが。特にこの頃FireHD8は)、すべての本を電子書籍で所有する境地には未だ至れていません。
ですが、旅も読書もどちらも捨てられない私。双方の良いとこ取りをして、今いる環境に合わせて柔軟に楽しみ方を変えていきたい。
それは、少々欲張りな考え方でしょうか。
あなたにも、荷物と心のデトックスとして、おすすめしたい1冊です。
北村有(きたむら・ゆう) 国内一人旅と読書が趣味なフリーライター・旅する書評家。 ブログ:https://kitayu.net Twitter:https://twitter.com/yuu_uu_ |
須田 仁之 (著) かんき出版 (2019/3/18) 税込1,400円 (Kindle版) |
文: フリーライター・旅する書評家 北村 有