2019.05.12 00:00 更新
2019.05.12 取材
PCやスマホ三昧の僕らに潤いの1冊・・・。旅する書評家・北村有さんが"これぞ”と思った本を紹介してくれます。週末くらいは液晶画面から離れて、ゆっくり読書はいかがでしょうか。
フリーランスとして1人で働くようになってから、半年が経とうとしています。「旅する書評家」という肩書きをつけてはいますが、実質は屋内でせっせとパソコンを前にキーボードをカタカタしていることも多い私です。北村と申します。
私がフリーランスという働き方を選んだのは、「組織に属さないで働く」という未知のゾーンに踏み込んでみたかったから。やったことがないから、興味があるからという好奇心だけで進んではいけない領域な気もしますが、なんとか半年間、生き抜いてこられました。
……と、かっこよく始めてみようとしましたが、やはり本当のことを書きましょう。
私が独立を選んだのは、「チームで働くこと」に苦痛を感じたからというのも、大いにあります。組織として、複数人で働くことに、限界を感じるようになったんです。私は個人プレーが向いているのかもしれない、それはひとえに協調性のなさゆえに、と。
「THE TEAM 5つの法則」という本は、チームを組んで1つのゴールに向かう過程の中で、避けられないであろう様々なすれ違いや齟齬に対する解決策を提示してくれる1冊です。
これが絶対に正しい方法とはいえない、ですが、取り入れることでギスギスとしたチームが生まれ変わるかもしれない可能性を秘めているのも確か。
チームを円滑にまわすためには、5つの法則が大切だったんです。
THE TEAM 5つの法則 (幻冬舎) 著者:麻野 耕司 2019年4月3日発売(282ページ) 定価:1,620円(税込) 判型/仕様:単行本 ISBN:978-4344034549 |
本書「THE TEAM 5つの法則」内で提唱されているのは、以下の5つの法則です。
それぞれ頭文字がABCDEなのでわかりやすいですよね。言葉として見ると、確かにどれも大切そうな要素です。1つ1つの法則を読み進めていくうちに、私たちはそもそも前提として大きな勘違いをしていたことに気づきます。
社会人の全員が共通として持っているこれらの常識、決してそうではないんです。詳しくは本書に譲りたいと思いますが、少し考え方や視点を変えるだけで、これまで鈍化していたチームに光が差すような感覚まで覚えるから不思議です。
もしそうではないのなら、この本を読むメリットは大いにあるといえます。仕事内容には問題がなく、チームさえ円滑にまわればさらに良くなるのに……という環境であれば、テコ入れとしてぜひ取り入れるべき法則です。
会社として、組織としてではなく、個人の名前で仕事を請け負い働く「フリーランス」という形態も、だいぶ広まってきたように思います。
会社員として、フリーランスとして、働き方は多種多様です。大切にするべきなのは、働き方を重視するのではなく、「自分がどんな仕事をしたいか?」を忘れないようにすること。その先にチームとして働く必要が生まれるのなら、フリーランスとしての働き方には固執すべきではないと、個人的には思います。
フリーランス同士が集まってコミュニティをつくり、ともに仕事をするやり方も生まれつつある昨今は、個→集団の時代を経て個に戻り、ふたたび集団が重んじられるフェーズに入ってきているのではないでしょうか。
だからこそ、個としての働き方とともに、チームとしての動き方も身に着けておくべきだと思います。チームとは、1人1人素養の違う人間が集まった、目標を共にするコミュニティ。やりたいことがあるのなら、成し遂げたいことがあるのなら、1人の力では限界がくる瞬間が必ずやってきます。
その時に向けて、私たちは準備しておかないといけないのかもしれません。
この世には、多様な考え方をする人間が存在しています。仕事の進め方もそれぞれに違う集合体が1つにまとまって動くためには、「人と人は、決して分かり合えないものだ」と知っておくことが大切です。
こう言われると、矛盾しているように感じてしまうかもしれません。決して分かり合えないのだから、それを前提にして考え方や見方を整えておくべきというのがその真意です。働く上での悩みは人間関係にまつわるものが多く、それは、「あの人は私のこと分かってくれない」という誤解から生じることも多いもの。
そもそも、人と人は分かり合えないのだと知っておけば、苦痛に感じることもありません。
2019年、令和がスタートしました。これまでの働き方を見直し、「個」と「チーム」について考え方を変えるタイミングがすぐそこまでやってきています。本書が、その手助けになると確信したので、自信を持っておすすめします。
北村有(きたむら・ゆう) 国内一人旅と読書が趣味なフリーライター・旅する書評家。 ブログ:https://kitayu.net Twitter:https://twitter.com/yuu_uu_ |
文: フリーライター・旅する書評家 北村 有