2019.05.30 02:28 更新
2019.05.30 取材
COMPUTEX TAIPEI 2019の主役のひとつであるAMD X570マザーボード。ASRock Incorporation(本社:台湾)からも、AMDプラットフォーム向けでは世界初となるThunderbolt 3対応モデルなど、計10モデルが発表された。その最新機能と、すでに情報をお届けしたフラッグシップモデル「X570 AQUA」以外のラインナップを紹介していこう。
最大12コア/24スレッドに対応する第3世代Ryzenシリーズ。TDPは105Wから変更がないものの、電源への負荷は確実に増加することから、ASRockではハイエンドモデルを中心に、IR製「デジタルVRM」と「Dr.MOS」で構成される14フェーズ回路を搭載。さらにMOSFET用のヒートシンクを大型化することで冷却性能を高め、安定性を向上している。
上位モデルの電源回路は1フェーズあたり60Aまで対応。また8+4pinの補助電源コネクタには高品質な「Solid Pin」を採用する |
またPCI-Express4.0などへの対応もあり、消費電力が大幅に増加しているAMD X570チップセットの冷却のため、全モデル(水冷の「X570 AQUA」は除く)でヒートシンクファンを標準装備。これにより、チップセットの周辺に実装されることが多い、M.2スロット(およびそのヒートシンク)にも風が吹き付けるようになり、PCI-Express4.0(x4)接続の高速M.2 SSDを使用した場合でも、サーマルスロットリングを抑え、安定したデータ転送が可能になるという。
チップセットヒートシンクには小型ファンを標準装備。M.2スロットの冷却効果もあるという |
さらにハイエンドモデルを中心に、AMDプラットフォームでは初めてThunderbolt 3に対応するのも大きなトピック。NVMe SSDに匹敵する外部ストレージを利用できるようになり、大容量データを持ち運ぶことが多いクリエイターには、特に嬉しい装備と言えるだろう。
その他、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)や、PCI-Express4.0対応になったM.2スロット「Hyper M.2」、同じくPCI-Express4.0に対応し、アンカーポイントも4つから6つに拡張された堅牢なグラフィックスカード用スロット「Steel Slot Gen4」などの最新機能を搭載する。
ちなみに他のメーカーと同じく第1世代のRyzenシリーズには非対応。その理由を確認したところ、Socket AM4が汎用性に優れるプラットフォームであることから、登録するCPUのマイクロコードが多くなり、BIOS ROMの容量が足りなくなったのが原因らしい。とりあえずマザーボードのみ交換して、CPUは既存のものを使い続けようと思っている場合は対応に注意が必要だ。
「X570 AQUA」のすぐ下に位置づけられるハイエンドモデルは、Thunderbolt 3と10ギガビットLANを搭載するクリエイター向けモデル「X570 Creator」、2.5ギガビットLANを搭載するゲーミングモデル「X570 Phantom Gaming X」、Thunderbolt 3や2.5/10ギガビットLAN機能を省略し、コストパフォーマンスを追求した「X570 Taichi」の3モデルがラインナップ。いずれも電源回路は14フェーズで、ヒートパイクを使用した大型のヒートシンクを搭載する。
X570 Creator |
X570 Phantom Gaming X |
X570 Taichi |
「X570 Phantom Gaming-ITX/TB3」は、今回唯一のMini-ITXマザーボード。「Phantom Gaming」シリーズに属するモデルで、電源回路は10フェーズ、ネットワークはIntelギガビットLANとWi-Fi 6に対応する。またThunderbolt 3も標準装備され、かなりハイエンド寄りの製品だ。
なお担当者により低価格なMini-ITXマザーボードの予定を聞いてみたところ、AMD X570チップセット自体がかなり高価なこと。そして第3世代Ryzenシリーズを安定動作させるには電源回路が重要になり、スペースの関係でフェーズ数を拡張できないMini-ITXでは、高価なコンポーネントを使う必要があるため、難しいだろうとのことだ。
X570 Phantom Gaming-ITX/TB3 |
メインストリーム向けは、耐久性を重視した「X570 Steel Legend」と、今回展示がなかったスタンダード向け「X570 Extreme4」の2モデルがラインナップする。
X570 Steel Legend |
バリューセグメントには、スタンダード向けのATXフォームファクタ「X570 Pro4」、MicroATXフォームファクタ「X570M Pro4」、ゲーミング向け「X570 Phantom Gaming 4」の3モデルがラインナップする。
X570 Pro4 | X570M Pro4 |
X570 Phantom Gaming 4 |
文: エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
ASRock Incorporation: http://www.asrock.com/
COMPUTEX TAIPEI 2019 記事一覧: https://www.gdm.or.jp/computex2019/