2019.05.31 01:22 更新
2019.05.30 取材
SilverStone Technology(本社:台湾)は例年になく意欲的だ。ここしばらくおとなしい印象だった同社が、仕切り直しとばかりに複数のPCケースを用意。中でもコンセプトモデル「ALTA S1」から、ブランド復活の兆しを予感させる。
”ミスターSilverStone”ことTony Ou氏が笑顔で待ち構える同社ブース。毎年趣向を凝らしたプロトタイプが複数用意され、熱心な解説に耳を傾ける。熱心が過ぎて、時間刻みのブース訪問(そのほとんどが予約済み)のスケジュールに狂いが生じるのは、決まってSilverStoneが始まりであり、Tony氏の製品に対する熱意だ。
しかしここ数年のSilverStoneは不作が続き、これまで得意としてきたミドルタワーからハイエンドクラスのPCケースに限っては、RAVENシリーズから抜け出せずにいる。
実はSilverStoneもこの状況を良しとしてはいない。Tony氏によると今後はRAVENシリーズに匹敵するような、新しい製品を投入していくという。その意気込みそのままに設計されたのが、今回ご紹介する「ALTA S1」だ。
単なる平面に頼らず、立体的にデザインされたフロントおよび左サイドパネルには強化ガラスを使用。ガラス自体に濃い色をつけることで、ひとたび起動時すれば内部のLEDイルミネーションがより映える演出だ。
サイドパネルはリア寄りには3つの蝶番を用いたスイングドアタイプ。デモ用に組み込まれた構成パーツを観察すると、3スロットを占有するグラフィックスカード2基は直立マウントだった。つまりマザーボードは90°倒立レイアウトでマウントされ、SilverStone伝統の”内部静圧状態”を作り上げる煙突構造である事が分かる。
内部フロント寄りには「ALTA S1」とSilverStoneロゴがあしらわれたアクリルプレート付き。ただしこれは仮の状態で、製品版ではリザーバー置き場あるいはHDDが複数搭載できる”上下フルケージ”が想定されている |
その静圧状態を強力に作り上げるのが、圧巻の200mm大口径ファン3基を並べたボトム面。大型インペラにより大風量を生み出し、筐体内部は常に風が上部へ流れている。なおトップ面には120mmファンが1基のみ。排気を補うのは、CPUソケット周辺のみだ。
まだ改良の余地が残されているが、販売目標は2020年Q1。想定売価約6万円でプロジェクトは進行している。来年のCOMPUTEXでは、あちこちに手が加えられた製品版が見られるはずだ。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
SilverStone Technology: https://www.silverstonetek.com/
COMPUTEX TAIPEI 2019記事一覧: https://www.gdm.or.jp/computex2019/