2019.08.22 21:16 更新
2019.08.22 取材
株式会社リンクスインターナショナル(本社:東京都千代田区)は2019年8月22日、都内にてPlanet Computers Ltd.(本社:イギリス)が開発した物理キーボード搭載スマートフォン「Cosmo Communicator」の製品発表会を開催した。「Gemini PDA」に続く“変態スマホ”の最新作が近く日本にやってくる。
かつてのPDAやノートPCのようなスタイルを採用する、異色のスマホに最新作が登場 |
今回国内向け取り扱い開始が発表された「Cosmo Communicator」は、Planet Computers Ltd.(本社:イギリス)が開発した最新の物理キーボード搭載スマートフォンだ。
昨年末にIndiegogoにてクラウドファンディングを成功させ、「CES 2019」に合わせて実機が披露され話題になった。同社が手がけた「Gemini PDA」の系譜に連なる最新作にして、上位モデルという位置付けで市場に投入される。
発表会は駐日英国大使館のホールを貸し切って開催。冒頭で公使参事官 貿易・対英投資ダイレクターのChris Heffer氏が登壇し挨拶した |
Planet Computers CEOのJanko Mrsic-Flogel氏。「Gemini PDA」で一躍名を馳せたPlanet社、なんと日本市場が最も多くのセールスを叩き出したのだというから驚きだ |
発表会のため来日したPlanet Computers CEOのJanko Mrsic-Flogel氏によれば、なんと「Gemini PDA」が最も売れたのは日本市場だったという。「当初は当然ながらイギリスで最も売れるだろうと考えていたため驚いた」と語る同氏は「以前からタイピングを重視する文化、小型デバイスを愛する伝統が根付いていたからではないか」と分析する。
確かに「小型で高性能」や「キーボード搭載デバイス」というキーワードは、いかにも日本のマニアに“刺さりそう”な要素。はたして新たな「Cosmo Communicator」は、日本市場において「Gemini PDA」に続くヒットを飛ばすことができるだろうか。
ハンドヘルドコンピュータメーカー・PSIONの開発者やデザイナーなど、モバイル黎明期から活躍するメンバーがチームを形成するPlanet Computers。まさに“筋金入り”の男たちによって、懐かしくも奇抜なデバイスが作られている |
ノートPCかはたまたPDAか、独特な外観は「Gemini PDA」からそれほど変わらないように見える「Cosmo Communicator」 |
さて新たな「Cosmo Communicator」は、いったい「Gemini PDA」から何が変わったのか。2,160×1,080ドットの5.99インチタッチ液晶と物理キーボードを搭載するAndroidスマートフォンという点は同じで、厚みが約1mmほど増した以外はサイズも同等。しかし背面に最大の変化が詰め込まれていた。
背面の中央には、タッチ操作に対応する2インチ(570×240ドット)の小型有機ELディスプレイを搭載。この小型画面は指紋認証センサーを兼ねた2つのタッチボタンで構成される「Toggle Sensor」で操作が可能であり、ある程度の操作は閉じたままでもこなせるようになった。
実は背面が劇的進化していた。2,400万画素のカメラ、小型の有機EL、指紋センサー兼用の「Toggle Sensor」を搭載する |
さらに「Gemini PDA」は標準では搭載していなかった、2,400万画素の背面カメラを搭載。背面液晶にはカメラのプレビューが表示できるため、インカメラ(500万画素)より高性能なアウトカメラを使用した自撮りも可能というワケだ。この端末を“カメラスマホ”として運用する人は少数派かもしれないが、便利な機能と言える。
ちなみに背面液晶の制御は、メインのSoCとは独立した専用プロセッサ(STM32)が担っている。「Cosmo Communicator」はAndroidだけでなくLinuxなどを組み合わせたOSデュアルブートに対応しているが、制御をメインのSoCから分離させることで、OSが切り替わっても背面液晶が使用できるようにという配慮だ。
着信の応答や通知の確認など、最低限の操作は閉じたまま可能になった。背面液晶はタッチが可能なほか、「Toggle Sensor」を組み合わせて操作する |
かなりフレームレートは低いものの、プレビュー画面を背面に表示してアウトカメラを使った自撮りができる。Wi-FiやBluetooth、ドライブモードなどの設定も背面から可能だ |
国内版は日本語配列にローカライズ。新たにバックライト機能を内蔵し、暗い場所での迷うことなく入力できる |
そして「Cosmo Communicator」のスペックは、プロセッサがオクタコアのMediaTek Helio P70、メモリ6GB、ストレージは128GBという構成。いずれも「Gemini PDA」からパワーアップを果たした。丸一日使用可能という4,220mAhの大容量バッテリーを内蔵、MediaTekの急速充電にも対応する。
キーボードは新たにホワイトのバックライトを内蔵。暗所でもストレスなくタイピングが可能になった。充電・データ転送両対応のType-Cポートも両側に合計2基を備え、充電しながら外部デバイスを接続することもできる。
折りたたみのヒンジ部分は、展開すると自動的に最適な角度(いわく「タイピングアングル」)で固定。ヒンジ部分が底面を持ち上げ、やや角度をつけていることが分かる |
Type-Cポートは両側に2基搭載。音声アシスタントを呼び出せるスマートボタン、イヤホンジャックを装備。SIMスロットはトレイタイプに変更された |
ネットワークについては、デュアル4GをサポートするnanoSIM×2のデュアルSIM仕様で、日本国内の主要バンドに対応。eSIMもサポートしている。SIMスロットは、デュアルSIMとmicroSDスロット(512GB検証済み)の排他利用だ。
そして気になる発売日は、正規代理店の株式会社リンクスインターナショナルによれば「現状まだ調整中だが、9月末までには発売したい」とのこと。価格も未定だが、どうやら10万円前後になるようだ。詳細については、続報に期待しよう。
なお、国内取り扱いの「Cosmo Communicator」は、キーボード仕様が日本語配列(かな印字あり)の1モデルのみとなる。
日本国内の主要バンドもサポートした、4G対応のデュアルSIM仕様。発売は来月中を予定している |
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社リンクスインターナショナル: http://www.links.co.jp/
Planet Computers Ltd.: https://planetcom.squarespace.com/