2019.09.12 23:20 更新
2019.09.12 取材
マウスパッドながらPCが組めてしまうほどに高価、しかしそれには理由があった。株式会社竹内型材研究所(本社:神奈川県伊勢原市)が展示していた「NINJA RATMAT」、なんと予価は税抜6~9万円という。いったいどのような代物なのだろうか?
ブース自体は小規模ながら、常に人だかりができていた「NINJA RATMAT」の展示コーナー。技術も価格も驚きなマウスパッドに触ることができる |
「NINJA RATMAT」は、精密金型部品メーカーの株式会社竹内型材研究所が手がけた、金属製のハード系メタルマウスパッドだ。
精密金属加工のノウハウを活かしたプロダクトで、極限まで摩耗しにくく、超高精度・高精密な平面度と平行度(JIS 1級~2級レベル)をもつ、圧倒的にフラットなマウスパッドが完成。さらに表面加工技術を駆使して、マウスとの摩擦やセンサーの認識数値を徹底的に突き詰めた。卓越した職人の技術により、“物理的に”最高のマウスパッドを作り出そうという試みだ。
ちなみに正式発売後の納期は2~3ヶ月。マウスパッド1枚を作り上げるのに10時間以上かかるというから、まさに伝統工芸品のような製品といえる。予価は冒頭触れたように、驚きの税抜6~9万円。
こちらはフラッグシップモデルの「臨 -RIN-(型番:NR001)」。シリーズ中最も加工に手間がかかるため、予価は税抜9万円になる |
シリーズラインナップは現行4モデル。価格的にもフラッグシップに座る「臨 -RIN-(型番:NR001)」は、鉄の5倍の強度をもつ“鋼”を用いたマウスパッド。焼き入れ工程を経て圧延加工で作り上げた製品で、製法は異なるものの、日本刀に迫る強度(鉄の6倍)を誇る。そのため、重さは3kgほどもあるという。
センサーの表面評価値を高めるため、ランダムな細かい縦横の溝を施した特殊表面加工を採用。溝の深さはわずか0.5μm(0.0005mm)以下であり、リンギング(くっつき)を防止する効果もある。滑りの良さも極上だが、日本伝統技術のキサゲ加工を意識したという加工の手間から、最もコストのかかる製品となった。
“キサゲ加工”のような表面は、わずか0.5μmの溝で構成。肉厚で重量感たっぷり、マウスパッド裏には医療用クラスの滑り止めゴムシートが敷かれている |
「臨 -RIN-」の姉妹モデル?鋼を用いたもう一つのモデルが「兵 -PYO-(型番:NR002)」 |
続く「兵 -PYO-(型番:NR002)」は、「臨 -RIN-」と同様に鋼を用いたモデル。微細な波形状が表面に施されており、点接触になるように加工されているという。物理的には球体が重なったような表面形状で、心地よい滑り性能を生み出すよう作られている。
「闘 -TOU-(型番:NR003)」は、マグネシウム合金で作られたモデル |
「闘 -TOU-(型番:NR003)」は、鋼ではなく航空宇宙グレードのマグネシウム合金を用いたモデル。素材を変えたことにより、磁石内蔵のバランスウェイトを積んだマウスを使用した場合でも、磁力の影響を受けずに使用できる。性格としては、滑りとストッピング性能のバランスに優れ、いわく「取り扱いやすい万能モデル」とのこと。
最も滑りがよく、相性の良いセンサーが多いという「者 -SHA-(型番:NR004)」。モデル名は「シャッと滑る」という滑らかさ由来のダジャレも込みだとか |
最後の「者 -SHA-(型番:NR004)」は、「闘 -TOU-」と同じマグネシウム合金のマウスパッド。ただし含有率が異なるため材質的には別物で、シリーズ中で最も高い滑り性能を特徴とする。静摩擦係数と動摩擦係数が最も小さく、静摩擦係数は0.1μ程度、動摩擦係数は0.05μ程度という。正直数字の意味はピンとこないものの、マウスの慣性だけで滑るほど、驚きの滑らかさをもつ。ただしその分、シリーズ中で最も柔らかいモデルなのだとか。
ちなみに勘のいい人は気付いているかもしれないが、モデル名は「九字護身法」がモチーフになっている。金属の性質上、素材の含有率や表面加工を変えればほぼ無限の組み合わせが可能なため、「臨・兵・闘・者」に続く「皆・陣・列・在・前」の企画・開発も予定しているという。
価格的にも、愛用マウスのセンサーを熟知したユーザー向け。材質や加工の関係で相性もあり、第三者機関やゲーマーの評価も目安になるが、最終的に自分で試すのが一番だ |
それはさておき、現行の4モデルは10月に初回分(ごく少量)の受注を開始し、11月に発送予定。その後は受注生産に移行することになっている。
もちろん税抜6~9万円という高価すぎる製品であることから、今後は全国に試遊できる場所を設ける(イベントにも積極的に出展)予定という。神奈川県の本社を訪れて試すこともできる(要問合せ)とのことだが、まずは「東京ゲームショウ2019」のブース(ホール9 9-E10)で感触を確かめてみよう。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
東京ゲームショウ2019: https://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2019/
株式会社竹内型材研究所: https://mast-takeuchi.co.jp/