2020.01.13 12:00 更新
2020.01.13 取材
さて、ここからは1月6日(現地時間)に行われたAMDプレスカンファレンスの内容をおさらいして行きましょう。「CES 2020」の初日に実施されたプレスカンファレンスの会場「Mandalay Bay Resort & Casino」には、世界中からたくさんの報道陣が集まりました。
カンファレンス冒頭、AMD CEOのリサ・スー氏が登壇。まず発表したのは、Zen 2コアを採用するノートPC向けの新GPU「Ryzen Mobile 4000」シリーズです。すでにデスクトップPC向けには7nmプロセスのRyzenシリーズを提供し、日本のみならず世界中で大ヒットを記録していますが、「Ryzen Mobile 4000」は初の7nmプロセスで製造されたノートPC向けCPU。以前より登場がウワサされていた製品は、“期待に応えての登場”と相なりました。
AMDの2020年の幕開けは「Ryzen Mobile 4000」。ノートPC向けながら8コア/16スレッドを実現し、ライバルであるIntelの牙城を崩しにかかる |
シリーズ構成は、従来通りラップトップPC向けの「U」、ゲーミングまたはクリエイタ―向けの「H」、プロフェッショナル向けの「Pro」がラインナップします。
このうちカンファレンスで触れられた具体的なSKUは、ラップトップ向けの「Ryzen 7 4800U」、およびゲーミング向けの「Ryzen 7 4800H」の2モデルでした。ノートPC向けCPUにおいてもメニーコア化は既定路線で、いずれもシングルダイで8コア/16スレッドを実現しているのが特徴。3000シリーズまで4コア/8スレッドに留まっていたRyzen Mobileも、いよいよ最新のデスクトップPC向けCPU並みのコア/スレッドを備えることになるわけです。
デスクトップPC向けと同じく、7nmプロセスで製造された「Zen 2」コアを採用した「Ryzen Mobile 4000」シリーズ |
「Ryzen 7 4800U」は、ベースクロックが1.8GHz、ブーストクロックが最大4.2GHzで、消費電力の指標となるTDPは15W。メモリはDDR4-3,200MHzまたはLPDDR4-4,266MHzをサポートし、グラフィックスとして8コアのGPU(1,750MHz)を内蔵。公開された「CINEBENCH R20」の結果を見ると、競合となるIntelのノートPC向けCPU「Core i7-1065G7」(4コア/8スレッド、TDP15W、Intel Iris Plus Graphics内蔵)にシングルスレッドテストで4%、マルチスレッドテストで90%の差が確認できました。
グラフィックス性能についても、「3DMark Time Spy Extreme」で28%の差があり、「Adobe Premiere」などのクリエイター向けアプリケーションで実施したテストにおいても、おおむね27~49%ほどパフォーマンスで上回るという驚きの結果です。
Core i7-1065G7よりもRyzen 7 4800Uが高性能であることをアピール。「Adobe Premiere」などクリエーター向けアプリでも最大49%の差が出ている |
採用製品のサンプルとして、FreeSync対応の14型フルHD液晶ディスプレイを備えたLenovo「Yoga Slim 7」が登場。厚さ14.9mm、重量1.4kgのノートPCに、8コア16スレッドのRyzen 7 4800Uが搭載されていました。なお2020年中に100モデル以上のノートPCで採用が予定されているようです。
「Ryzen 7 4800U」を搭載予定のLenovo「YOGA SLIM 7」。手軽に落ち運べる14型クラスのノートPCでも8コア16スレッドの時代に突入する |
そして、よりゲーミングやクリエイティブ向けのSKUとなるのが最上位の「Ryzen 7 4800H」。ベースクロックが2.9GHz、ブーストクロックが最大4.2GHzで、TDPは45W。メモリはDDR4-3,200MHzまたはLPDDR4-4,266MHzをサポートし、グラフィックスとして7コアのGPU(1,600MHz)を搭載します。
性能については、「3DMark」の「Fire Strike」におけるPhysicsテストにおいて、ゲーミングノートなどに幅広く採用されているIntel「Core i7-9750H」に対し39%の差をつけているとのこと。なお、同じテストを自作市場で人気のデスクトップ向けCPU「Core i7-9700K」(8コア/8スレッド、TDP95W)で行った場合、「Core i7-9750H」とのパフォーマンス差は26%に留まることから2倍のTDPのデスクトップPCよりも高いパフォーマンスを発揮できる点を強烈にアピールしていました。
「Fire Strike」におけるPhysicsテストで、デスクトップPC向けの「Core i7-9700K」を上回る性能を発揮。TDPはわずか半分程度 | 「Ryzen 7 4800H」を搭載する14型クラスのハイパフォーマンスなゲーミング向けノートPC、ASUS「ROG ZEPHYRUS G14」。2020年第2四半期に販売予定 |