2020.08.07 00:00 更新
2020.08.07 取材
株式会社リンクスインターナショナル(本社:東京都千代田区)は2020年8月7日、教育向けコンピュータを手がけるKano(本社:イギリス)と国内総代理店店契約を締結。Windowsを搭載する2-in-1タブレット「Kano PC」の新規取り扱い開始を発表した。
Microsoftとの提携で開発された、英Kanoの教育向けWindowsタブが近く発売。ちなみにKanoという名前は、“柔道の父”こと嘉納 治五郎にインスパイアされたものだとか |
今回日本上陸を果たすKanoは、近年教育向けコンピュータの分野で注目を集めているイギリスの新興メーカーだ。2014年にRaspberry PiベースのPC組み立てキット「Kano」を約150ドルでリリース。そのプロジェクトがMicrosoftの目に止まったことで、両社の提携により新たにWindowsを搭載した2-in-1タブレットの「Kano PC」が誕生した。
教育向け端末であるためか、発表会の会場に選ばれたのは旧中学校跡地のギャラリー「3331 Arts Chiyoda」。昨今の状況を鑑みて、Kano CEOのAlex Klein氏もオンラインで製品の解説とQ&Aを行った |
発表会には、開発パートナーでもある日本マイクロソフト社の中井陽子氏によるビデオメッセージが寄せられた | 同じくビデオメッセージでスピーチを行った、Intelで公共・教育部門のグローバルディレクターを務めるCigdem Ertem氏 |
プログラミングをはじめとしたSTEM教育向けのタブレットで、まずはPCの仕組みを理解するために自分で組み立てて完成させるという、初代「Kano」同様のキット型製品。ガイドを見ながらプロセッサやバッテリー、スピーカーなどを接続していくことで、構造やそれぞれのパーツの役目を学べるという仕掛けになっている。こうしたモジュラー式の構造は、各パーツが故障した場合に該当部分のみを交換することで、端末を長く使用できるようにする、という狙いもあるようだ。
また、日本のGIGAスクール構想でも採用可能なスペックを備えつつ、価格は税抜39,800円と安価。落下への耐性を備えた頑丈さも特長で、子供が初めて触れるWindows端末にはピッタリな1台と言える。
簡易の組み立て式になっており、ガイドでパーツの役割と機能を理解しながら組み込んでいく。子供がじっくりガイドを読みながら組み立てた場合でも、30分とかからずに出来上がるだろう |
液晶モジュールとマザーボードは、あらかじめフレームに固定済み。ヒートシンクには、どこに何が実装されているかが刻印されている |
バッテリーとスピーカーを所定の位置に設置して端子を接続、あとはスケルトン仕様のカバーを装着するだけだ。ちなみに端末は、高さ1mからの落下テストをクリアしている |
あっという間に完成!キーボードは本体とポゴピンで接続されるため、充電や設定は不要だ |
Microsoftと提携して開発された端末だけに、Surfaceにインスパイアされたと思われるデザインを採用。カバースタンドになるキーボードカバーは、しっかり日本語配列にローカライズされている。
ディスプレイはタッチ対応の11.6インチ液晶で、プロセッサはデュアルコアのCeleron N4000、メモリ4GB、ストレージ64GBを内蔵。外部ストレージ用のmicroSDスロットを備えるほか、ネットワークは802.11ac無線LANとBluetooth 5.0をサポートしている。バッテリー持続時間は約10時間程度らしい。
搭載OSはWindows 10 Pro。ちなみにRaspberry Piベースの「Kano」で成功しながらWindows端末の開発にシフトしたのは、「Windowsの方がアプリやソフトウェア面における汎用性が高く、圧倒的に選択肢が豊富なため」(Alex Klein氏)という。
キーボードはスタンド機能付き。インターフェイスはUSB Type-Cや音声入出力、USB3.0×2、HDMI出力×1などを備える |
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そのほか、PCの仕組みを学べる「How Computers Work」、ゼロから始めるブロックコーディング学習用の「Kano Code」、テキストコーディングが学べる「Make Art」という、ミニゲーム形式の学習アプリが付属。マニュアル不要、ステップバイステップでプログラミングを学習できる。
こうしたパッケージで販売される「Kano PC」は、8月22日(土)に発売。価格はオープンプライスだが、前述の通り税抜39,800円程度で販売される見込みだ。マイクロスコープ機能も備えたWebカメラやマウス、組み立て式のヘッドセットといったアクセサリーも追って発売される。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社リンクスインターナショナル: https://www.links.co.jp/
Kano: https://kano.me/row