2020.11.08 10:00 更新
2020.11.08 取材
2020年11月6日19:00、AMD第4世代Ryzenこと「Ryzen 5000」シリーズの販売が解禁された。2020年の自作市場を牽引する期待の新製品とあって、熱心な自作派たちが続々と秋葉原に集結。各ショップの店先には行列ができる大盛況となった。
エルミタ的速攻撮って出しレビューで検証済みの、Zen3採用AMD「Ryzen 5000」シリーズ。11月6日(金)の販売解禁から初めての週末を迎えた秋葉原だが、未だ興奮冷めやらぬといった状況。現在の自作PC市場は、間違いなくAMDが牽引していることを改めて思い知る事となった。
Ryzen 5000シリーズをザックリおさらいしておこう。最新コアアーキテクチャ「Zen 3」を採用する、AMDの最新メインストリーム向けCPUであるRyzen 5000シリーズは、「Zen 2」アーキテクチャと同じ製造プロセス7nmを採用。一方で、「CCX」(Core Complex)は4コア/L3キャッシュ16MBから8コア/L3キャッシュ32MBに拡張され、CPUダイ「CCD」(CPU Complex Die)の構成も2基の「CCX」から、1基の「CCX」に変更されるなど、内部設計には大きく手が加えられた。さらにIPC(Instructions Per Cycle)は最大19%の向上もトピックで、Zen2から新世代へ移行する理由を大いに秘めたCPUである事は、誰もが認めるところだろう。
今回はこの手の販売解禁モノとしては珍しく、通常営業時間内(19:00)に解禁時間が設定され、多くのパーツショップで一斉販売が可能。一方でコロナ禍における販売形態の見直しから、複数ショップでは事前に整理券の配布を告知。配布開始のお昼頃をピークに主要パーツショップ前には午前の早い段階から、Ryzen 5000シリーズをいち早く体感したい自作派達による行列ができた。
整理券配布中のパソコン工房 秋葉原 BUY MORE店前。17:00からの事前会計に向けて50名ほどの行列を確認 |
解禁に合わせて販売が行われたのは、パソコンショップアーク、オリオスペック、ソフマップAKIBA②号店 パソコン総合館、ドスパラ秋葉原本店、パソコン工房 秋葉原 BUY MORE店、ツクモパソコン本店、TSUKUMO eX.の合計7店舗。19:00の販売開始を前に、17:00には事前会計を行うパーツショップが大半で、いずれも50~60名の行列ができたものの、混乱もなく全体的にスムーズに進行していた印象だった。
ショップの店頭には整理券を求めた長蛇の列が。中には始発でアキバ入りしたという熱心すぎる自作派も |
中央通りに沿って長い行列ができたTSUKUMO eX.。店内の密を避けるため、いくつかのグループに分けて事前会計を実施 |
約150名が購入したツクモパソコン本店。整理券配布から事前会計、製品の引き渡しと時間を分けて進行したため、非常にスムーズに販売ができたという |
販売が開始された4モデル中、最も人気が集まったのは最上位「Ryzen 9 5950X」。整理券の配布に並んだものの、ショップ店員によりいち早く完売が告げられると、行列から離れる人も。在庫が確保できそうなパーツショップに移動してゆく姿も多く見られた。
2番人気は「Ryzen 9 5900X」。こちらも整理券を配布した時点で、ほぼ全てのショップで完売状態。残る2モデルのうち「Ryzen 7 5800X」は極少量在庫はあったものの、7日(土)の取材時には完売を確認。唯一「Ryzen 5 5600X」は各ショップとも豊富に在庫があるといった状況だ。
あっという間に完売の最上位「Ryzen 9 5950X」。次回入荷については「来週末に間に合うかどうか」というレベルだそう |
パソコンショップアーク(左)とツクモパソコン本店(右)の価格表。店員の反応から、今後もRyzen 9 5900Xを中心に売れていくことになりそうだ |
売れ行きの傾向は「対応マザーボードとのセット購入が半数以上」「ほとんどのお客さんが単品購入だった」などさまざま。また「事前に公開されたベンチマーク結果が予想以上に良かった事が、売れ行きに拍車をかけた」といった声も多数聞かれ、主要ターゲットではないとされていた、第3世代Ryzenからの”乗り換え組み”も多くいたようだ。
アキバでも高い集客力を誇るTSUKUMO eX.。正面の大看板もRyzen仕様にリニューアルされるなど、一番の盛り上がりを見せていた |
気になる今後の入荷状況について、解禁を見守るべく現場に居合わせたAMD関係者に聞くと、「海外でも非常に好調な滑り出し」とされ、日本市場への割り当てが増えるよう、鋭意対応中とのこと。ちなみに準備万端で迎えた解禁当日だが「昨夜は心配でよく眠れなかった」という。それでも多くの購入者を目の当たりにしたことで「まずは一安心です」と笑顔を見せてくれた。
50名以上が並んだ正午の整理券配布時点で「Ryzen 9 5950X」「Ryzen 9 5900X」「Ryzen 7 5800X」が全て完売したドスパラ秋葉原本店 |
ソフマップAKIBA②号店 パソコン総合館は人気の「Ryzen 9 5950X」のみ抽選販売を実施。他店で購入できない人も参加できたため高い競争率となっていた |
最後に解禁から一夜明けた7日(土)。昨夜の販売解禁に参加できず、週末入荷の可能性に賭けて来店する人も少なくないようで「上位2モデルの在庫について非常に問い合わせが多い」(複数ショップ)とのこと。週明け代理店に再入荷の状況を確認するとした上で「問い合わせが多いため次の週末までに入荷があれば助かる」と語る店員もいた。
第3世代Ryzenの大ヒットから1年。第4世代に移行したRyzen 5000シリーズの登場により、AMD Ryzenの人気は2021年も継続する事は間違いない。
エルミタージュ秋葉原編集部謹製。第4世代Ryzenの要点をまとめた冊子も全国のパーツショップ各店で配布中 |
文: エルミタージュ秋葉原編集部 Tawashi
日本AMD株式会社: https://www.amd.com/ja/