2021.03.31 08:00 更新
2021.03.31 取材
自由でユニークな発想から生まれる、スタートアップの気になるガジェットをチェックする「次に来るモノ」。今回は、チェスエンジンを搭載したスマートなチェスボード「ChessUp」を見ていきましょう。
最近は藤井聡太二冠の活躍もあり、将棋がニュースに取り上げられる機会もグッと増えた感があります。対局の配信にAIが導入されて趨勢が可視化されたことも、将棋の観戦風景を変えたと話題になりました。もっともAIが幅広く活用されているのは、チェスの世界も同様。今回Kickstarterで見つけた「ChessUp」は、まさにAIを駆使して棋力を磨くことができるという、スマートなチェスボードなのです。
AIプログラマーのJeff Wigh氏が率いるスタートアップが手がけたアイテムで、現時点で目標金額の3,100%以上を調達するなど、注目度は抜群。個人的に、チェスはかろうじて駒の動かし方を知っているくらいですが、そんな人間でもまともに対戦できるようになるんでしょうか?
さてこの「ChessUp」ですが、基本的に駒の動かし方すら知らない状態でもOKな模様。世界最強のオープンソースチェスエンジンとして知られている「Stockfish」が搭載されていて、ユーザーのレベルに応じたアシスト機能でトレーニングしてくれるんです。
「レベル1」では、駒に触れると移動できる場所がグリーンに点灯、悪手をレッドで表示。「レベル2」では悪手がレッド、ミスや微妙な手はブルー、より有効な指し手がグリーンで表示されます。駒の動かし方や「これはやっちゃダメな手」というパターンを教えつつ、どこに打てばより良い流れになるのか、段階を追ってレクチャーしてくれるというわけです。
このアシスト機能は「レベル5」まであり、最終的に最善手までの道筋をしっかり教えてくれます。それ以上は「Test Your Skills」、アシストは卒業して自分の腕前を試しましょう。
ちなみにアシスト機能付きのトレーニングを含め、AIが相手をしてくれるので対局相手は不要です。ぼっちでも最強AIをコーチにして、黙々とレベルアップできるというわけですね。ボードはBluetoothでスマホと連携、アプリで対局を分析することも可能。なぜあの手が悪かったのか(あるいは良かったのか)、全体の戦略の流れを理解しながら学ぶことができます。
なお、当然ながらAIだけでなく人間との対局も可能。アシスト使用の有無も自由です。ボードには駒を手に取り、置いたことを感知するスマートタッチセンサーが内蔵されているため、スマホアプリが自動でチェスクロックになってくれます。アプリ側に搭載されている、インスタントマッチメイキングのオンライン対局に挑戦するのもいいでしょう。
言い忘れましたが、色いろとハイテクな「ChessUp」はバッテリー駆動に対応しており、2時間の充電で12時間の連続使用が可能。ほぼ丸一日対局に没頭しても大丈夫なようです
さてそんな「ChessUp」のキャンペーンは、2021年4月22日21:59(日本時間/UTC+09:00)まで。249ドルから出資可能で、出荷は11月の予定です。ちなみに将棋の方は駒の動かし方すら怪しいレベルなので、これの将棋バージョンもあったらいいなぁ、と思ったりしました。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
Kickstarter: https://www.kickstarter.com/