2021.07.14 08:00 更新
2021.07.14 取材
自由でユニークな発想から生まれる、スタートアップの気になるガジェットをチェックする「次に来るモノ」。今回は、個性的なデザインと独創的なレイアウトが魅力のエルゴノミクスキーボード「Model 100」を見ていきましょう。
クラウドファンディングにおいて、キーボードは人気のカテゴリの一つです。世界中のマニア集団が独自のこだわりを追求した自信作で勝負しているだけに、「これは!」と目を引くモデルも多数。今回の「Model 100」もその一つで、まず木製ハウジングの左右分割エルゴキーボードというだけで興味が湧いてきます。
もちろん見た目だけのインパクトだけでなく、考え抜かれたレイアウトやギミックが魅力の一台。手がけたのは、2012年に設立されたスタートアップ発のキーボードメーカー・Keyboardioで、現時点5,000万円以上の資金を調達してプロジェクトは大成功しています。
Keyboardioはローンチの際に「Model 01」なるエルゴキーボードを手がけていて、この「Model 100」はその発展型と言えるモデル。上から見ると蝶のように見えるデザインもそれを継承したもので、ちょうどメーカーロゴがそのまま形になったような外観です。
そしてこの手のエルゴキーボードにおけるキモはレイアウトなのですが、「Model 100」(あるいは「Model 01」)の64キーしかないレイアウトもまた、かなり独創的。一般的なキーボードのような(タイプライター由来の)千鳥配列ではなく、各キーを縦方向にストレート配置することで手首の負担を抑える設計です。さらにEnterやEscキー、CtrlやShiftキーといった使用頻度の高いキーは、人差し指や親指でアクセスしやすい“一等地”に配置。もっともこのあたりは、エルゴ系ではある意味定番の設計でしょう。
注目は、スペースバーをあえて周辺キーと同等サイズの“スペースキー”に置き換えたこと。大きめの領域が与えられることが多いキーだけに大胆な変更と言えますが、レビュアーからの反響は良好だそうです。
それに加えて、親指の付け根付近で押すことを想定した“パームキー”がグッド。いわゆるFnキーとして動作するキーであり、手のひらを押し当てるだけなので、同時押しはかなり楽そう。ちなみにパームキーを押すことで、HJKLキーが矢印キーに、数字キーはファンクションキーに、WASDキーがマウス操作に割り当てられたりと、機能をフルサイズキーボード並(あるいはそれ以上)に拡張してくれます。
ちなみにすべてのキーはカスタマイズ可能で、再マッピングやカスタムショートカット、マクロ設定などに対応。自分でコードを書ける人は、ジョイスティックエミュレーションを追加するなど、よりディープなカスタマイズが楽しめるようです。言い忘れましたが、全キーにはRGBバックライトを内蔵。もちろんこちらもカスタム可能ですよ。
キースイッチは、ホットスワップ可能なメカニカルスイッチを搭載。タクタイルタイプのKailh BOX Silent Brown、クリッキータイプのKailh BOX White、リニアタイプのKailh BOX Silent Pinkから選べるようです。
そしてキーキャップは、すべて高さや傾き、キートップ形状が異なるこだわりの塊で、なんと数百時間をかけてデザインしたというから驚きです。
また、文字通りタコの足を思わせる“オクトスタンド”は、回転させることで角度が変わる仕様。入力に最適な7.5°の傾斜をつけることが可能で、中央に高さをつけるテンティングスタイルや手前側を持ち上げるネガティブチルトにも対応します。
さて、そんな「Model 100」のキャンペーンは、2021年7月31日15:59(日本時間/UTC+09:00)まで。289ドルから支援を受け付けており、バッカーには選んだコースごとに2022年1月以降順次発送される見込みです。使い込むごとに味が出そうなハウジングは、ウォールナットとメープルから選べる模様。所有欲も満たしてくれて、何より使いやすそうなこともあり、個人的にすごく気になっています。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
Keyboardio: https://shop.keyboard.io/
Kickstarter: https://www.kickstarter.com/