2022.06.08 00:00 更新
2022.06.08 取材
キーボード系のスタートアップはよく目にしますが、ことキーキャップとなると珍しい存在と言えるかもしれません。今回チェックしていく「Cerakey」は、なんと世界初というセラミックス製のキーキャップ。高耐久で高コストなキーキャップとくればPBT樹脂を使ったタイプが思い浮かびますが、セラミックス製というのは確かに聞いたことがありません。
クリエイターによると、セラミックスのもつ“翡翠のような感触と、シルクのような滑らかな質感”が新しいキーキャップ素材に選ばれた大きな理由だとか。キーボード愛好家たちの注目度は抜群で、目標の8,000%以上もの資金を調達してプロジェクトは大成功しています。
セラミックス、つまり陶器で作られたキーキャップということで、まずは見た目のインパクトがスゴイですね。この美しさは、確かにプラスチック製キャップでは出せないかもしれません。スイッチはCHERRY MX(またはその互換スイッチ)に対応しています。
釉薬を塗布してから1,140~1,280℃の高温で焼かれるという製作過程は、まさに陶器さながら。10種類以上のバリエーションがあり、特にひび割れのような模様(貫入)の入った「Crazed」は、キーキャップとして異彩を放つ存在です。
ちなみに主要キーなどほとんどのキーキャップは重さ3.5gで、その他の大型キー用キャップは6~32g(一番重いのはスペースキー用)。プラスチック製キャップでは味わえない、絶妙な重厚さをもった打鍵感が得られるそうです。
一般的にプラスチック製キャップは、良質な打鍵感のためには厚みが必要な一方、バックライト効果を高めるには薄くしなければならないというジレンマを抱えています。その点でセラミックス製キャップは重厚な打鍵感が得られるほか、素材の特性として優れた光透過率を備えています。実はもとよりキーキャップに向いている素材だったのかもしれません。
もっとも陶器と聞けば、衝撃で割れてしまうのでは・・・という考えが思い浮かびますよね。ところが「Cerakey」にはアルミナ(Al2O3)と呼称される工業グレードの高精度ファインセラミックスが使われているので、耐衝撃性はかなりのもの。階段で放り投げたデモ映像では、優美な音を立てながら転がり、それでいてまったく破損しませんでした。
なお、セラミックスは物理的および化学的な安定性が高いため、色あせたり汗や油分による腐食の心配がない点も特徴。やはりキーキャップに向いている素材だったということなのか・・・。
さてそんな「Cerakey」ですが、キャンペーン期間の終了が2022年6月9日22:58(日本時間/UTC+09:00)に迫っています。現時点における支援額のプランは1,012香港ドル(約17,000円前後)から。キーキャップとしてはかなりの価格ですが、その一つ一つが陶器という素材の高級さを考えればやむなしでしょうか。
文: 編集部 絵踏 一
Kickstarter: https://www.kickstarter.com/
Cerakey: https://www.cerakey.com/