2023.06.02 21:09 更新
2023.06.02 取材
Cooler Master Technology(本社:台湾)と言えば、やはり元祖は冷却機器。どうしても低価格帯のCPUクーラーに注目が集まりがちだが、老舗メーカーの面目躍如とばかりにハイエンド製品の開発を坦々と続けている。そして今回のCOMPUTEXで見つけたのが、迫力の大型CPUクーラーのデモ機だ。
なんと言っても迫力のヒートパイプ8本仕様。受熱ベースプレートと配管の最適化から、大型ヒートシンク全体にまんべんなく熱が拡散できるよう、設計されている。理論上、搭載本数が増えることで熱移動がより高まり、受熱→放熱の素早い循環が構築できる。これに冷却ファンからの風を当てれば、高性能空冷クーラーが完成する。
ただし受熱ベースプレートおよび放熱フィンとの接合部分がキモとなり、精度が悪ければ想定以下の性能しか出ない。見た目は大迫力でも、工作精度が低ければ人気の低価格帯CPUクーラーを性能で上回ることはできない。きちんと満遍なく大型ヒートシンク全体に熱は行き渡っているのか。この状態を知るべく可視化させたのが“ヒートシンクの色が変わる”デモ機だ。
CPUクーラーの検証を行う場合、サーモグラフィーカメラを使って、おおよその表面温度状況を確認する。しかし大まかな目安であって、平面の状況を細かく見る事はできない。デモ機はヒートシンク全体に特殊な塗料が塗られており、温度が上昇すると赤く色が変わる。
アイドル時は黒いヒートシンクおよびヒートパイプも、負荷を掛けていくと徐々に赤くなっていく様子がお分かり頂けるだろう。熱の伝わり方や冷却ファンから風が当たる部分の様子など、なかなか興味深い。
さてここまでご覧頂き、気が付いた読者もいるだろう。実はこのデモ機は国内では販売が見送られた「MASTERAIR MA824 Stealth 30th Anniversary Edition」。色の変化をより分かりやすくするため、デモ機では外側の冷却ファンが外されていた。
ちなみに国内販売は未だに未定ながら、展開する場合は「MASTERAIR MA824 Stealth」として販売される(かもしれない)。最後に色が変わる塗料だが、残念ながらあまり長持ちしないらしく、回を重ねると色が変わらなってしまうそうだ。
文: 編集部 松枝 清顕/取材:池西 樹
Cooler Master Technology: https://www.coolermaster.com/